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学校日和  作者: めろん
27/102

第27回 修復日和

自分のした事には責任を持ちましょうね。


トントントントン


談話室の三分の一を吹っ飛ばしてしまったので、板と金槌と釘を使って談話室を修復するミントくん。


トントントントン


ミントの頭には大きめのバケツが乗っています。


トントントントンゴッ!!


金槌で釘ではなく自分の指を打ってしまったミント。


「…ったぁ!?」


赤くなった人指し指を押さえていると


ふわっ


「?」


その指は両手で優しく包み込まれた。


「…ヒール」


ぷわっ


白い光が消えたと同時に、ミントの人指し指の痛みは退いていた。


「…ありがとポトフっ!」


「どォいたしましてェ♪」


回復魔法をかけてくれたのは黒髪眼帯男、ポトフ。


「随分はかどってるなァミント?」


ミントが修復させた壁を見ながらポトフが言った。


「はあ…やっともう少しだよ…」


ミントが溜め息をつく。


「? なんでバケツなんか頭に乗っけてんだァ?」


ポトフがミントの頭に乗っているバケツに目をやりながら尋ねた。


「…委員長が乗っけた」


委員長、つまりレモンの事である。




≫≫≫


「なっ…何ですのこれは?!!!」


崩壊した談話室を見て驚愕する赤縁眼鏡委員長、レモン。


「…」


その後ろをレモンに気付かれないように気配を消してそろそろ移動するミント。


「…ウフフ…何処におゆきになられるのかしらミントさん?」


レモンが振り向きもしないで自分の後ろを歩く人物を的確に言い当てた。


「!!」


ビクッと動きを止めて振り向くミント。


「お…おはよう委員長?」


そして冷や汗を掻きながらレモンに挨拶した。


「おはようございますミントさん。どういう事か説明しろ畜生?」


ミントの方に向き直り、爽やかに微笑みながらレモンが言った。


「え、ええっと…回復魔法使ったら自然に…こう…」


ミントが右手で頭を掻きながら言った。


「ウフフ、随分素敵な回復魔法だこと?」


微笑むレモン。


「…あ…あはは…」


とりあえず笑ってみるミント。


「ウフフ、謝りやがれ畜生?」


レモンは微笑んだまま言った。


「ゴメンナサイ」


透かさず頭を下げるミント。


「ウフフ」


ガッ!!


「?!」


いつの間にか目の前にやって来たレモンに胸ぐらを掴まれたミント。


「…謝って済めばこの世に死刑はねぇんだよ糞が?」


「ごごごごごごごごごめんなさいっ!!!!!!!」


地獄の底から響いてくるようなレモンの声に震え上がるミント。


(自分で謝れって言っておいて?!)


とか思いながら。


「ウフフ、今日は皆さんで病院に行くから出来ねぇけど明日中に修理しとけよ屑?」


突き飛ばすようにミントの胸ぐらを放すレモン。


「っ!」


「それとその日は罰として頭にバケツ乗せて修理しろよ?」


「ええ?!」


レモンの意味が分からない発言に思わず突っ込むミント。


「その中にテメェが大好きなコーラを大量に入れてやるから溢すんじゃねぇぞカスが?」


そう言ってレモンは寮をあとにした。


(糞に屑にカス…)


ミントはなんか泣けてきた。


≫≫≫




「うっはァ…スゲェ並々…」


ポトフがバケツの中を覗き込みながら言った。

バケツの中ではコーラがシュワシュワと美味しそうな音をたてている。


「あはは〜♪これ終わったら飲んでいいんだって〜♪♪♪」


幸せそうな顔をしながらミントが言った。


「…こんなにか?」


ポトフが引きつった笑みを溢す。


「うんっ!…あはは〜♪♪しゃ〜〜わせ〜〜♪♪♪」


トントントントン


そう言ってまた釘を打ち始めたミント。


「…」


トントントントン


バケツを微動だにさせずに釘を打ち込むミントに驚くポトフ。


トントントントン


「…俺も手伝おっか?」


ポトフが言った。


「えっ?だ、大丈夫だよ!!それにこれはオレのせいだし…」


ミントが慌てて、且つ、頭の上のバケツを動かさないで言った。


「あっはっはっ!遠慮すんなよォ〜♪」


そう言って金槌を呼び出すポトフ。


「オレが…ポトフを吹き飛ばした結果なのに?!」


ミントが驚いたように言った。


「気にすんなって!」


ポトフが微笑みながら言った。


「わーん!!ポトフ大好きー!!」


ミントがバケツを微動だにさせずにポトフ抱きついた。


「あっはっはっ!俺もだぜミントォ♪」


そして作業に取り掛かる二人。


トンゴッ


「ったァ?!」


「早っ!?」


ポトフが早くも人指し指を打ってしまった。


「〜っ!!」


「だ、大丈夫ポトフ?」


ミントが言うと


「…遠近感がつかめねェ…」


ポトフが悔しそうに言った。


「ええ?!」


ミントが驚く。


「す…すまねェ…」


ポトフが眼帯をした右目に手を当てながら言った。


「…ポトフ…いつも眼帯してるよね?…そっちの目は…?」


ミントが言いにくそうに尋ねると


「…右目は…使えねェ…」


ポトフが小さく呟いた。


「っ!ごめんポトフ?!」


ミントが慌てて謝った。


「あっはっはっ!すまねェなミント!俺使えねェみたいだ!!」


ポトフが笑いながら言った。


「ポトフ…」


「あ!やべェやべェ…デートの時間じゃねェか!!」


ポトフが立ち上がりながら言った。


「デート?」


ミントが聞き返した。


「おう!クルミちゃんとカカオちゃんとスモモちゃんとアンズちゃんとマロンちゃんとミルクちゃんと…」


「待て待て待て待て?」


指折り数えながら続々女の子の名前を挙げるポトフにストップをかけるミント。


「ん?どしたァ?」


ポトフが小首を傾げながら聞き返すと


「君は一度に何人とデートする気なのさ?」


ミントが尋ねた。


「ん?今日は九人だ」


ポトフがさらりと答えた。


「…せめて一人ずつになさいよ?つうか"今日は"?」


ミントが頭を押さえながら言った。


「あっはっはっ!…そんなコトしたら、レディ達がヤキモチ妬いちゃうだろォ?ちなみに明日は違う八人だ♪」


ポトフが薔薇の花束を魔法で呼び出しながら言った。


「はは…………頑張れ?」


ミントが何かを諦めたように笑いながら言った。


「おう!ミントも頑張ってなァ☆」


そう言って花束を担ぐと、ポトフは寮をあとにした。


「…」


トントントントン


再び作業に戻るミント。


「ぷわ…おはようミント」


すると今度はプリンがやって来た。


「あれ?!お、おはようプリン…」


プリンが一人で起きたことに驚きながら挨拶するミント。


「? バケツ?」


プリンがミントの頭の上に乗っかっているバケツを見ながら首を傾げた。


「ああこれは…(略)」


ミントが説明し終えると


「ミント大変そう」


プリンが言った。


「あっ!て、手伝わなくて良いからねっ?」


先程の流れを思い出しながらミントが言った。


「うむ?そうか?」


右手を壁に向けたプリンがそう言うと、伸ばした右手を引っ込めた。




・・・




・・・・・・




・・・右手を壁に向けた?




バッとバケツを揺らさないように振り向くミント。


「…プリン?今、何しようとした?」


ミントがゆっくりとプリンに質問した。


「む?ミントを手伝おうとしたけど中止した」


プリンが返答する。


「違う違うそうじゃなくて、今、君は、何をやらかそうとしたのかな?」


ミントが更に尋ねると


「物質修復魔法?」


これまた便利な上級魔法をご存知でいらっしゃるプリンさん。


「お願いシマス」


ミントは透かさず前言撤回した。


「む?でも…」


プリンが小首を傾げながら言いかけると


「ごめんごめん!さっきの無しにしといて?プリンの好意を無駄にするワケにはいかないからねっ♪」


ミントがなんかほざいた。


「うむ。分かった」


コクンと微笑みながら頷くプリン。

ミントにまんまとのせられちゃったプリンは、再び右手を壁に向けた。



「…リノベーション」



プリンがそう言うと、壁は見る見る元の状態に戻り始めた。




・・・




・・・・・・




・・・・大破した状態に。




「ははは…アホなの君は?」


「ちっ違うもんっ!!」


人生に近道無しってコトですネ。

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