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学校日和  作者: めろん
23/102

第23回 年越し日和

学校の周りに雪が降り、辺りを神秘的な雰囲気に変えてゆく。

夜更かししましょ。今日くらい。


「いや〜もーすぐ年が明けますね〜」


コタツにとっぷり入ったミントが言った。

今宵の冷え込みは厳しいようで。

此処は暖炉が煌々と燃えるウサギさん寮の談話室。


「ぷわ…ねむねむ」


ミントの向かい側に座ったプリンが欠伸をしながら言った。


「っもー!今日は頑張って起きててよー?」


プリンの向かって左側に座ったココアが言った。


「むぅ…どうして?」


プリンが目を擦りながら言った。


「まーたく…今日は大晦日でしょー?だから大掃除なんかしたんだしー!」


ココアが溜め息をつきながら返す。


「そうそう。大掃除は杖一振りで終わったけど…折角こんなに大量に蜜柑用意したんだから、皆でカウントダウンくらいしようよ〜?」


ミントが言った。

魔法って便利ですネ。


「ぶう…眠い」


プリンが膨れながらコタツの中央にある籠から蜜柑をひとつ取ると


ブシュッ


「ぐはっ?!」


プリンの目に蜜柑の汁が大量放射された。


「あっはっはっ!どォだ!目に染みるだろ!?」


ポトフがプリンの目の前で蜜柑の皮を力一杯捻ったようですね。


「きっ……さまぁ!!」


あまりの痛さに枕に顔を埋めたプリンが、ポトフに右手を向け


「テレポート」


って言った。


ピュッ


と、ポトフがコタツから消え


シュパンっ


「どっひゃァ?!」


と、煌々と燃える暖炉の中に現れた。


「しししっ死ぬゥ?!」


暖炉から飛び出すポトフ。


「…じんじんする」


そんなポトフを気にせずにプリンが言った。


「大丈夫ー?プリンー?」


ココアが心配そうにプリンを見る。


「もう酷いなぁ…ちゃんと謝ってよポトフ?」


ミントがポトフに言った。


「いやソイツのが酷ェよ?!見て?!俺、燃えてるぜェ?!」


ポトフは必死に訴える。


「あそーだ!年越し蕎麦用意してたんだったー!」


ココアが立ち上がりながら言った。


「へ?」


首を傾げるミントに


「えへへーちょっと待っててねー?」


と言って、ココアは鼻唄交じりに女子寮の方に消えていった。


(ん?…今、流され…いやいや、俺に限ってそんなハズは…)


自分の考えに横に首を振るポトフ。


「…ココアって料理出来るんだ?」


ミントが驚いたように言った。


「蕎麦は茹でるだけだ」


プリンが返す。


「あそっか!」


納得したように手をポンと叩くミント。


「おいおいお前ら…その発言はレディに対して失礼だぞォ?」


ポトフが服についた火を叩いて消しながら言った。


「そんなんじゃ良い男には程遠いぜェ?…俺みたいなな?あっはっはっ!」


コタツに戻ったポトフが言った。


「女誑らしの君こそ、果たして良い男なのかい?」


ミントが冷ややかに質問した。


「まったくだな。自分のコトは棚どころか屋根の上か?」


プリンが鼻で笑いながら言った。


「しっ、失礼な!?おおお俺は決して女誑らしなんかじゃねェぞ!?断じてな!!」


ポトフが返す。


「俺はただ…みんなを幸せにしたいだけなのさァ!!」


「では僕の視界から速やかに消えてくれ」


ポトフが言い終わると同時にプリンが言った。


「枕テメェ喧嘩売ってんのかコラ?」


ポトフが噛みつく。


「ふふふ。今なら無料で提供してやれる気がする」


プリンが不敵に笑いながら言った。


「やったね年末大セール!ってアホかァ?!」


「ノリノリだねポトフ」


ツッコミを入れるポトフにツッコミを入れるミント。


「…でも、プリンの目を覚まさせる為に蜜柑の汁をかけたんだよね?」


ミントが微笑みながらポトフに言った。


「なっ?!」


顔を赤くするポトフ。


「余計なお世話だな」


プリンが鼻で笑いながら言った。


「ち、違っ!?俺はただテメェがムカつくから―…」


「奇遇だな。僕も貴様が激しく気に喰わない」


ポトフの必死の否定にノってくるプリン。


「…あァ?」


両手の指をボキボキ鳴らすポトフ。


「ふふふ。やるか?」


右手をポトフに向けるプリン。


「…本っ当素直じゃないね二人とも〜?要は一緒に年を越したいんでしょ?」


二人のやりとりを見て呆れながらミントが言った。


「「違っ―…」」


「はいはーい!おー待たせー♪」


二人が顔を赤くしながら否定しようとした時、ココアが年越し蕎麦を持ってやってきた。


「わ!美味しそ〜う!」


ミントが目を輝かせる。


「えへへー♪でしょー?」


ココアが微笑みながら蕎麦を配る。


「君の手料理が食べられるなんて、夢のようだぜェ?」


ポトフの必殺流し目攻撃。


「はぁ?早く食べないと伸びるよー?」


「あ、はァい…」


ココアに流し目攻撃はまったく通用しない模様。


(え?今ウザがら…いやいや、俺に限ってそんなハズは…)


自分の考えに横に首を振るポトフ。


「わ〜!美味し〜♪」


ミントが蕎麦を食べながら言った。


「うむ。なかなか」


プリンも続く。


「本当ー?えへへー流石私っ♪」


ココアが笑いながら言った。


「いや〜夜遅くに食べる蕎麦も、良いモンですな〜」


ミントが言うと


「こんなに起きてたの、初めて」


プリンが言った。


「ええ?!じゃあプリンって毎年カウントダウンとかしないのー?!」


ココアが驚いたように言った。


「うむ。僕はいつも九時就寝だ」


プリンが偉そうに言った。


「…で、オレが起こさなかったら夕方の六時起床だよね?」


ミントが言うと


「うむ。」


これまた偉そうにプリンが言った。


「どんだけ寝れば気ィ済むんだよ…」


ポトフがボソッと呟くと


「二十一時間だ。それくらいも分からないのか?」


プリンが鼻で笑いながら言った。


「いやそう意味じゃなくて…って寝過ぎだから?!」


ポトフが突っ込む。


「何を言うか。僕は最低でも一日十五時間は寝る男だ」


プリンが膨れながら言った。


「膨れる意味が分かんねェしどっちにしろ寝過ぎだから?!」


再びポトフが突っ込む。


「凄い凄い凄い凄ーい!!そんなに寝てるのー?!」


ココアがプリンに言った。


「…照れる」


枕で顔を隠すプリン。


「それにしても今年は色々あったね〜」


ミントがコーラを飲みながら言った。


「うんうん!まずはこの学校から入学便りが来てー」


ココアが微笑みながら言った。


「蒸気機関車でミントと相席してココアにあって…箒で空を飛べるようになって…」


プリンが斜め上を見て思い出しながら言った。


「少し遅れて俺の登場☆」


ノリノリなポトフ。


「でスキー学習があってー」


ココアが続ける。


「最後の最後に枕のストーカーが現れたな?あっはっはっ!」


ポトフが笑いながら言った。


「くっ…忘れてたのにっ」


プリンの顔が青くなる。


「え?何何ー?プリンにストーカーなんかいるのー?!」


ココアが聞いてきた。


「うん。なんか知らない人から誕生日プレゼントが部屋に届いてたんだ」


ミントが説明した。


「うっわー…特殊ー」


ココアが呟くと


「まったくだ。貴様のせいで変なことを思い出してしまったではないか」


プリンがポトフに言った。


「あっはっはっ!様ァみろ!!」


「テレポート」


ピュッ


シュパンっ


「あっつゥ?!」


ポトフが暖炉から飛び出した。


「まったく…懲りないねぇ…」


ミントがコーラをお茶のようにすすりながら時計を見ると


「あ」


って言った。


「「?」」


ミントの声に振り向く三人。


「……もう明けちゃったみたい」


ミントが言った。


「「え」」


時計を見る三人。


カッチカッチカッチカッチ


時計は零時三分を示していた。


「「…」」


無言になる四人。


「………まぁ…いっか?」


ミントが言った。


「う、うん…そだね…?」


ココアが頷く。


「年明けって、意外とあっけない」


プリンが言った。


「…あっはっはっ!そんなもんだって!よく考えたら普通に日にちが変わるだけだもんなァ?」


少し凹み気味にポトフが言った。


「そ、そうだよね!高々…日にちが一日動いただけだもんねっ?」


無理矢理納得するミント。


「じゃあ…言おっか?」


ミントが言うと、三人が頷いた。

そして一方向を向く四人。


「新年、明けましておめでとうございまーす!」


と、ココア。


「うむ。今年もよろしく頼む」


プリンが言った。


「随分と偉そうだな…?パッとしない年末でどォもすみませんね?あっはっはっ!」


ポトフが続く。


「今後も、オレ達にお付き合いして頂ければ光栄です。よいお年を!…せーのっ」


ミントが言い終わると、掛け声をかけた。


「「A HAPPY NEW YEAR!!」」


今年もどうぞ宜しくお願い致します。


「…ふィ〜終わったァ!」


「ぷわ…ねむねむ」


「この後、初詣でも行こっか?」


「「賛成〜♪」」


…コラコラ。

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