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学校日和  作者: めろん
21/102

第21回 特訓日和

机から分厚い教科書が浮遊し、一人の少年が笑顔になる。


「見て見て見て見て見て見て見て見て見て〜〜!?」


ミントが興奮しながら言った。


「おおゥ!?爆発しない!?」


ポトフが驚いたように言った。


「凄い凄い凄い凄ーい!やったねミントー!!」


ココアも興奮しながら言った。


「それにホラっ!」


ミントが教科書を机に戻すと、今度は杖で宙に円を描いた。


ぽんっ


すると何もない所から帽子が現れる。


「おおゥ!?炎上しない!?」


「凄い凄い凄い凄ーい!」


ポトフとココアがはしゃぐ。


「ロストリングって素晴らしい!!」


ミントが腕にはめられた黄色の腕輪、ロストリングを見ながら言った。


「もう重さには慣れたのか?」


枕に顔を乗せたプリンがミントに尋ねた。


「うんっ!お陰で前より力持ちになった気がするよ!!」


ミントがそう言いながら腕を振ってみせた。


「でもそれだと普通すぎて主人公っぽくねェ―…」


「ポトフーーー!!!?」


全力でポトフの発言を食い止めたココア。


「……………………ふっ」


ミントが微笑した。


「み…ミント?」


プリンが心配そうにミントの名前を呼ぶ。


「ふはっ…ふはははははははははははははは!!!」


ミントが狂ったように笑い始めた。


「「ミント?!」」


驚く三人。


「…そぉだよね?デキの悪い落ちこぼれがオレのアイデンティティだもんねポトフ?」


ミントが言った。


「ち、違っ!俺そんなつもりで言ったんじゃ―…」


「いいよ」


ポトフの弁解を遮るミント。


「…ポトフ、君の言ってるコトは非常に正しいのさ」


帽子を深々と被り直すミント。


「み、ミント…」


ポトフが何かを言いかけると


「ふははははははははははははははははははははは」


狂ったように笑いながらミントは部屋を出ていった。


「「…」」


ムッとした目でポトフを見るココアとプリン。


「…うはァ…」


顔を青くするポトフ。


「もー!ポトフの馬鹿ー!ミントが壊れちゃったじゃなーい!!」


「まったくだ。貴様は空気というものが読めないのか?」


ココアとプリンが怒った声で言った。


「い、いやァ心の声が…つい…」


ポトフが困ったように笑いながら言った。


「そーゆーのは胸の内にしまっておくもんなのー!!もー!馬鹿馬鹿馬鹿ー!」


ポトフをポカポカ叩くココア。


(可愛いなァ…)


微笑むポトフ。

ココアの必死の攻撃はポトフにまったく効いていなかった。


「…生温いぞココア」


「「!?」」


プリンの邪悪な言葉に驚き振り向く二人。

その瞬間


「枕が代わってお仕置きよー!!」


バシーン


「うごァ?!」


枕をバットのように持ったプリンがそのまま枕でポトフを吹っ飛ばした。


ドカッ


「っ!!」


飛んでいったポトフは壁に激突し、その壁を伝って床に崩れ落ちた。


「それ凄いねプリン…」


呆気にとられていたココアが言った。


(枕って武器にもなるんだ…)







「ふはっふはははははは」


屋上で狂ったように笑う少年が一人。


「…そうだよね?オレ、コレがなきゃなの何も出来ないんだもんね?」


ロストリングを見ながらミントが呟いた。


「でもコレのせいで唯一得意だった召喚魔法が使えないってね?わろてまうな?ふはははははははははは」


自暴自棄なミントの後ろで屋上の扉が開いた。


「あっ…ミントさん?」


「?」


名前が呼ばれたので振り向くミント。

そこには茶髪の眼鏡っ娘が立っていた。


「アロエ?」


ミントが言った。


「あっ!はいっ!よかったぁ…憶えてて下さったんですね?」


アロエがペコペコ頭を下げながら言った。


「うん」


ミントが返すと


「あっあの…此処で何をしてらしたんですか?」


アロエがミントの隣へ移動しながら言った。


「…」


「あっあっ!すみませんっ!私的なコトに首突っ込んですみませんっ!!」


ペコペコ頭を下げるアロエ。


「はは…大丈夫だよ」


ミントが言った。


「少し………いじけてたんだぁ」


「はっはい?」


アロエが驚く。


(いじける?)


そして首を傾げた。


「…アロエはMPが増えて普通に魔法が使えるようになったんだよね?」


ミントが言った。


「あっ!はっはい!」


アロエが答える。


「なぁんにも出来ないのは…オレだけかぁ…」


体操座りをするミント。


「えっ?えっ?ど、どうしたんですかっ?!」


アロエも焦って体操座りをする。


「オレ…まだロストリングに頼らないと…魔法もろくに使えないんだぁ…」


ミントがロストリングを見ながら言った。


「そっそんな!ミントさんは…以前浮遊魔法が使えたじゃないですかっ!!」


アロエが言った。


「ああ…アレね?アレは奇跡でも起きたんじゃない?ふはははははははははは」


ミントはまだ壊れていた。


「そっそんなコトないですっ!…あれがミントさんの本当の実力なんですよっ!」


アロエが言った。


「アロエ…」


顔をあげるミント。


「…それに、アロエはミントさんがいたから頑張れたんですっ!!」


「…へ?」


ミントが驚く。


「あっあっ…その…ミントさんの…わ、Y字バランスが面白くてっ!」


アロエが顔を赤くしながら焦って付け加えた。


「Y字バランス…」


ミントが驚いたように繰り返した。


「そっそうですよ!み、ミントさんにはY字バランスっていう素敵な特技があるじゃないですかっ!」


アロエが言った。


「それに…まだこの学校に来て九ヶ月しか経ってないんですよ?…少しくらい、道具に甘えたって良いんじゃないですか?」


そう言ってアロエが立ち上がった。


「そう…かな?」


つられてミントも立ち上がる。


「そうですよ!!少なくともアロエはそう思います…だから…」


アロエが微笑んだ。


「…もう一度、頑張りましょうミントさん!!」


優しい風が吹き、二人の髪をなびかせた。


「…うん!オレ…頑張ってみるよ!!」


ミントがアロエに微笑み返す。


「よしっ!!じゃあ早速特訓だ!」


「はいっ!頑張って下さいっ!!」


「うんっ!!」


そう言って屋上の出口に向かうミント。


「あっ!そだ!」


扉を開けてミントが思い出したように振り向いた。


「ありがとうアロエ!!」


そう言って手を振ると、ミントはウサギさん寮へと戻っていった。


「…」


屋上に一人残されたアロエ。


「…どういたしましてっ」


そう呟くと、アロエは顔を赤くしながらヘビさん寮へと帰っていった。









ガチャッ


「「!」」


ウサギさん寮の扉が開き、バッとそっちを向くココアとプリンとポトフ。


「ただいまぁ〜」


そこにはミントが立っていた。


「「ミント!」」


ミントに駆け寄る三人。


「わ?!ど、どうしたのさ三人とも!?」


驚くミント。


「…すまねェミント…俺が悪かった!!」


ポトフが言った。


「へ?」


更に驚くミント。


「大丈夫だよミントー!ポトフはプリンにキッチリ絞めてもらったからー!!」


ココアが言った。


「うむ。お望みならもう一度絞めてやるが?」


「てっ?!止めろよテメェ?!」


ポトフが青ざめると


「あははっ!もういいよプリン?」


ミントが笑いながら言った。


「!ミントー!元に戻ったんだねー!!」


ココアが安心しながら言うと


「うんっ!!」


ミントが元気よく返事をした。


「ミント元気になってよかった」


プリンが言った。


「本当だぜェ…まぁ詫びとして今日はなんでも言うこと利いてやるぜェミント?あっはっはっ!」


ポトフが笑いながら言った。


「本当に?!」


ミントが目を輝かせた。


「オレ、今から魔法の特訓しようと思うんだ!!」


「あっはっはっ…?」


ポトフの顔から少しだけ笑みが消える。


ポイッ


ミントがロストリングを床に投げた。


「「?!」」


三人が驚く。


「…さっき先生に外してもらったんだ!だから…」


最高の笑顔になるミント。


「オレの素の魔法の実験台になって!!」


「あっはっはっ…ふっざけんな?!」


ポトフが突っ込んだ。


「あれー?ポトフさっき自分で言うこと利くって言ったんじゃなーい?」


ココアが言った。


「う…」


「…貴様の言う"良い男"に二言は無いんじゃないか?」


プリンが鼻で笑いながら言った。


「く…」


ポトフに変な汗が噴き出る。


「じゃあ早速特訓だよ!」


「!!」


ミントが笑いながら杖を取り出した。


「まっ、待て待てミント?!」


「浮け〜いっ!!」


ドカアアアアアアアアアン


ポトフ大爆発。


「ミント、ミント、もう一回!」


プリンが楽しそうに言った。


「うん!浮け〜い!!」


ドカアアアアアアアアアン


ポトフ大爆発。


「うっはー!凄い凄ーい!ミントもう一回!」


ココアが興奮しながら言った。


「うん!!浮け〜い!!」


ドカアアアアアアアアアン


ポトフ大爆発。


「「もう一回!」」


「テメェら鬼かァ?!!」


自分の言葉にはきちんと責任を持ちましょうね。

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