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学校日和  作者: めろん
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第2回 魔物日和

緑の間に垣間見える青い空から日差しが溢れ、辺りの草花を優しく照らし出す。

此処はそんな深い森の中。


「学校までまだまだだねー?」


桜色の髪を風に踊らせながら、ココアが言った。


「うむ。」


白い枕を離さず大事に持っているプリンが答えた。


「なんかお腹すいてきちゃったねー?」


「うむ。」


プリンが頷くと、こう尋ねた。


「で、先程から気になっていたのだが」


「ん?何ー?」


ココアが聞いた。


「君は誰だ?」


「え!?今更?!」


ココアが驚く。


「うむ。僕まだミントしか知らない」


プリンが言うと


「そっか、自己紹介まだだったね…私、ココア!よろしくねプリン!」


ココアが手を差し出した。


「ふむ。ココアちゃんか。」


手を握るプリン。


「ええ?!"ちゃん"なんかつけなくていいよ?!」


ココアが言った。


「うむ。学習した」


そして手を離す二人。


「んなコトどうでもいいから助けてよ?!」


ミントの叫び声が聞こえたので会話をやめる二人。


『ぐにょーん』


「ぎゃー?!」


ミントの前方には、水色のスライムチックな魔物が立っていた。


「頑張ってミント!」


「うむ。応援してるぞ」


「何この距離感?!助けない気マックス?!」


二人はミントから大分離れていた。


『ぐにょーん』


スライムがミントに接近する。


「ぎゃーっ!!プっ、プリン!!君、前回オレになんて言った?!」


ミントが叫んだ。


「相席願う?」


プリンが小首を傾げながら言った。


「もっと後だよっ!!」


ミントが叫ぶ。


「レッツらゴー?」


プリンが反対側に小首を傾げた。


「んん惜しいっ!!…って馬鹿?!オレを守ってくれるって言ったでしょ!?」


「あー。そっちか」


手を一回叩いて納得するプリン。


「そう!そっち!!早く助けてよ!!!」


スライムは今にもミントに襲い掛りそうだ。


「ねむねむ」


「あららープリン寝ちゃったわ」


「可愛いな?!」


『ぐにょーん』


ついにスライムがミントに襲い掛った。


「ぎゃあああああ!!?」


なんとか攻撃を避けたミントが叫んだ。


「ココア!!逃げよう!」


「え!?でもプリン寝ちゃったよー?」


ココアが言った隣では、プリンが立ったまま枕に顔を埋めて眠っていた。その姿はまさに直立不動。


「知るか!!…って言いたいトコだけど…」


ミントがプリンの左腕を掴んだ。


「…友達は大切にしなきゃね!!」


「流石ミントー!!行こう!!」


ココアが微笑みながら走り出した。


「うん!!」


同時にミントもプリンを引っ張りながら走り出す。


「ぐー。」


走りながら寝ているプリン。


「凄い芸当だな?!」


「感心してる場合じゃないよー?」


「あ!そだった!」


そして三人はスライムから逃げ出した。









「はぁ…はぁ…もう駄目〜…」


息切れしたココアが座り込んだ。


「な…何回も回り込まれたけど…もう大丈夫だろ…」


そう言ってミントが鞄を開けた。


「…あったあった♪」


そして微笑むミント。


「?何してるのー?」


隣から覗き込むココア。


「疲労回復アイテムだよ!」


そしてミントが取り出した物は


「コーラ?!」


ココアが言った。


「あげないよ?!」


素早くミントが言った。


「いや要らないし?!」


ココアが言うと


「うまーっ♪」


一気にコーラを飲み干した。


「凄っ?!ってか太るよー?」


ココアが言った。


「コーラで太れるなら本望だよ!!」


ミントが幸せそうな顔をする。


「はぁ…いいなぁ〜そんなに飲んでも太らないなんて…」


ココアが羨ましそうに言った。確かにミントは細身だった。


「幸せ〜♪」


そうこうしてる内に三本飲み干したミント。


「うむ。よく寝た」


「あっ!おはよープリン!」


ココアが言った。


「…眠ったまま走れるなんて器用だね」


ミントが言うと


「うむ?何の話だ?」


プリンが小首を傾げた。


「ミントがプリンを助けてくれたんだよー?」


ココアが説明した。


「ふむ?そうなのか?」


ミントを向くプリン。


「ありがとうミント」


「…まあね」


ミントが照れながら言った。


「…?その飲み物は?」


プリンがミントに近付いた。


「…」


「…」


「…」


「…何さ?」


プリンがじーっとミントが持っているコーラを見つめていた。


「…」


「コーラ…飲んだコト無いの?」


ミントが尋ねた。


「うむ。」


プリンが答えた。


「ええ?!本当に?!この十四年間何してたのプリン?!」


ミントが信じられないという風な顔で言った。


「まばたき」


「損してる!君は人生の半分を損してる!!」


「その計算だとプリンが二十八歳で死ぬことになっちゃうよー?」


ココアが突っ込んだ。


「美味しいのか?」


プリンが尋ねた。


「…飲んでみる?」


そう言ってコーラを差し出すミント。


「うむ。」


コーラを受け取るプリン。そしてそれを飲んだ。


くぴっ


「…ぷちぷちしてる」


プリンが言った。


「美味しいでしょ?」


ミントが尋ねた。


「…原材料は糖類、カラメル色素、酸味料、香料、カフェインだな」


プリンが言った。


「「へ?!」」


二人が驚いた。


くぴくぴ


「うむ。美味しいな」


なんとも可愛らしくコーラを飲むプリン。


「で、でしょ?美味しいよね!!」


「いいなぁ〜…私にもちょうだーい?」


「ココアさっき太るよとか―…」


「え、え?何のこと?」


ココアが目線を逸らした。


「…まあいいや。ハイ」


ミントがコーラを渡した。


「いいの?!ありがとー!」


喜ぶココア。


「く…今回は…スペシャルサービスだ…っ!!」


ミントが呟いた。


((凄い後悔してる?!))


ガササッ


「「!」」


ミントのすぐ横の茂みが動いた。


『ぐにょーん』


「うわ!?」


先程のスライムが現れた。


『『ぐにょーん』』


しかも九匹のお友達付き。


「プププっプリン!!」


ミントがプリンの後ろに隠れた。


「む?ミントは魔法が使えないのか?」


プリンが尋ねた。


「使えないから学校に行くんでしょ?!」


ミントが言った。


「そだよー!私も使えないよー?」


ココアも続く。


「ふむ。そうなのか」


プリンが納得した。


『『ぐにょーん』』


十匹のスライムが襲い掛ってきた。


「「わああ!?」」


ミントとココアが叫んだと同時に


フワッ


「「!」」


プリンの長い髪が風もないのになびき出した。


『『ぐにょーん?』』


スライム達の動きも止まる。


「何何何が起きてるのー!?」


ココアが言った。


「プリ―…」


ミントが言いかけると


「テレポート」


プリンが言った。

次の瞬間、スライム達の前から三人の姿が消えた。









ひゅんっ


「うわっとっと?!」


突然足が地面に付き、よろけるミント。


「大丈夫?」


それをプリンが支えた。


「あ、ありがとプリン」


「…照れる」


プリンが枕で顔を隠しながら言った。


「凄い凄い凄い!!プリンってもう魔法が使えるのねー?!」


ココアが興奮しながら言った。


「テレポートでしょ?!凄い凄い凄ーい!!」


「テレポートっていうの?」


ミントが尋ねた。


「うん!!さっきのはテレポートっていって、指定した物質を瞬間移動させるコトが出来る上級魔法なんだよー!!」


ココアが説明した。


「そうなの?!凄いねプリン!!」


凄さが伝わって、プリンを誉めるミント。


「…照れる」


プリンはまだ枕で顔を隠していた。


「で、オレら何処に移動したの?」


ミントが言った。


「? 学校」


プリンが枕を下げながら言った。

俊敏に振り向くミントとココア。


「凄い凄い!あなた達が一等賞だよ!!」


駅で会った紫色の髪をした先生が現れた。


「しかも無傷!!凄いねー!!」



・・・



・・・・・・



「「最初からこうしてよ?!」」


「…照れる」


再び顔を隠すプリン。


「「いや誉めてないし?!」」


こうして、三人は無事無傷で学校に辿り着くことが出来ました。

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