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学校日和  作者: めろん
19/102

第19回 友達日和

湿った雪が風に乗って激しく降り始めた。


「わわ!?ふ、吹雪いてきましたよ!!ホテルに戻りましょう!!」


サラダが言った。


「「うん!」」


そう頷くと、ウサギさん寮の皆さんはホテルへと戻っていった。


ゴーッ


「…酷くなってきたね…」


ミントが外を見ながら呟いた。


「うむ。」


フロントに返してしまったソリを名残惜しそうに見ながらプリンが言った。


「…あら?ココアさんとブドウさんが居ませんわ?!」


人数確認をしていたレモンが言った。


「え?!」


ミントが驚くと


ばんっ


とホテルの扉が開いた。


「「?」」


驚いて扉の方を振り返る皆さん。


「たたた大変大変大変だよー!!」


「お、落ち着いてよぉココアっ?!」


ココアとブドウが現れた。


「無事よかったですわ二人とも!!」


レモンが言った。

すると


「全然よくないよー!!」


ココアが言った。


「どうしたのココア?!」


ミントが尋ねる。


「ミント…ポトフが…ポトフがぁっ!!」


ココアが泣きながら言った。


「っ!!!?ココア?!ポトフがどうしたの?!」


涙に極端に弱いミントが焦る。


「このままじゃ死んじゃうよー!!」


「「!!」」


ココアの言葉に皆が絶句した。


「ポトフが…死ぬ?!」


ミントが聞き返した。


「…うん」


ココアが力なく頷いた。


「ポトフは…何処にいるの?」


ミントが聞いた。


「か…かまくらと大きな雪だるまがある崖だよぉ!!」


ココアが言った。


「かまくらと大きい雪だるま…?」


ミントが繰り返す。


「…!雪太郎!!」


そして閃いた。


「プリン!オレをテレポートさせて!!」


ミントがプリンを振り向きながら言った。


「…僕も行く」


「!」


プリンが立ち上がりながら言った。


「待って!わ、私も行く!…わたしのせいだもん…」


ココアも言うと


「ち、ちょっと!お待ちになって?!」


レモンが代表して言った。


「この吹雪のなか…危険すぎますわ!!」


皆が言おうとしたことを、レモンが代表して言った。


「大丈夫だよ!こっちにはプリンがいるんだし!!」


「そだよー!!いざとなったらピュッて戻れるし!!」


ミントとココアが返した。


「で、でも―…」


「テレポート」


ピュッ


レモンの発言途中で三人が消えた。


「…まったく…」


レモンが呟いた。


「だ、大丈夫ですよ!ミントくん達なら…多分」


サラダが言った。


「そやなー!…多分」


「無事に帰ってくるよ!…多分」


「「多分多分」」


皆が言った。


「…そうですわね!…多分」


レモンが頷いた。


「しかし、わたくしの発言途中でいなくなるなんて、無礼すぎますわ!!きっちりお仕置きしなくてはなりませんわね…うふふ」


「「…」」


邪悪に微笑むレモンに恐怖を抱くウサギさん寮の皆さんでした。









「し…死ぬ…!」


ポトフは崖から飛び出た岩にしがみついていた。

怖いけど、本当に怖いんだけど、試しに下を向いてみるポトフ。


「うゥん…これは死ぬべな」


下を向いたことを早くも後悔するポトフ。

下は、底が見えないほど黒くなっており、まあ、多分落ちたら死ぬべな。


「あーもー!!誰でも良いから、助けてくれェ!!」


ポトフが叫ぶと


「ポトフ!!何処?!」


「!」


吹雪の音に混じったミントの声がしたので上を向くポトフ。


「ミント、ミントか?!俺は此処だァ!!」


ポトフが叫んだ。


「ポトフ?!」


するとミントが崖の上から顔を出した。


「ミントォ!!流石俺の親友だァ!!」


ポトフが言った。


「ななななんでそんなトコにいるのさ?!」


ミントが帽子を飛ばされないように押さえながら言った。


「それは…」


ポトフが言うと


「わ、私のせいなの!!」


ココアが代わりに説明した。


「どういうコト?」


ミントが尋ねた。


「私とブドウがこの崖に落ちそうになったのをポトフが助けて…それで…」


ココアが崖の上から顔を出した。


「…崖にポーンって」


「「その擬声語やめない?」」


ミントとポトフが突っ込んだ。


「って…突っ込んでる場合じゃなかった!ポトフ!!捕まって!!」


ミントがポトフに手を伸ばした。


「お、おお!」


ポトフがミントの手を掴むと


ズルッ


「おわっ?!」


「「ミント?!」」


ポトフの重りに耐えられなかったのか、雪で滑ってしまったのか、助けようとしたミントがポトフの服のフードにぶら下がる形になってしまった。


「ぐ…ぐるし…」


「オレカッコ悪っ!!」


そんでもって


「いやぁー!!死ぬー!!高いー!!」


ミントを助けようとしたココアも滑って、ミントの手にぶら下がるハメになっていた。


「高い高い高いー!!いやぁー!!怖いー!!」


「あ、暴れないでよココ…あああ?!」


その時、ミントの帽子が吹雪で吹き飛んだ。


「帽子!!オレの帽子が!!」


「ばっ!?暴れんなよミント?!」


ポトフが言った。


「「わあああああ?!」」


「お前ら一体何しに来たんだァァァァ!!!!!?」


ポトフが叫ぶと


ピョコっ


「…」


「!」


崖の上からプリンが顔を出した。


「…枕」


ポトフが呟くと


「…」


「!」


プリンが右手を差し延べた。


「…ず…すまねェ」


ポトフが左手を伸ばしてプリンの手を掴もうとした。すると、


ヒュッ


「!?」


プリンが右手を引っ込めた。


「フェイ…ってお前こんな非常時になに考えてんだ?!」


ポトフが叫んだ。


「汚い手で僕に触るな」


プリンが言った。


「ふざっ―…」


「―…テレポート」


ピュッ


プリンが呟くと崖にぶら下がっていた三人の姿が消えた。

そして


シュパンッ


「「「わ?!」」」


プリンの後ろに三人が瞬間移動した。


「あああありがとうプリン〜!!」


「助かったー!!本当にありがとー!!」


ミントとココアがプリンに駆け寄った。

その後ろでゆっくりとポトフが立ち上がった。


「…」


そして小鼻を書きながら


「あ…ありが―…」


「別に貴様を助ける為にテレポートを使ったんじゃない」


「なっ?!」


プリンが鼻で笑いながら言った。

赤面するポトフ。


「僕はミントとココアだけ助ける為―…」


「もお〜プリンの嘘つきっ!!本当はみんな助けようとしたんでしょ?」


ミントが言った。


「うっ…」


「プリン優しいもんねー!!」


ココアが言った。


「…やっぱり枕…」


ポトフが呟くと


「だ、黙れ!…疲れたから寝る!!」


プリンが顔を枕に突っ込んで寝た。


「あははー!プリンが照れてるー!!」


「本当、素直じゃないね〜」


ココアとミントが微笑みながら言った。


「…はっ!クールだねェ」


ポトフが肩をすくめながら言った。


「…ありがとな、枕」


「「…キザ」」


ミントとココアが呟いた。


「う、うっさい!!ほ、ホラ!!帰るぞ?」


ポトフが顔を赤くしながら後ろを向くと


ビュワアア


物凄い吹雪。


「…どうやって?」


ココアがポトフを向いた。


「あ、あっはっはっ…どうしよォミント?」


ポトフがミントを向いた。


「プリン…」


「ぐー。」


「…は疲れてるらしいから、起きるまでかまくらに入ってよ?」


ミントが言った。


「うん!」


ココアが頷くと


「ったく、使えねェ枕だな〜」


ポトフが言った。


「ポトフも本当に素直じゃないね〜」


ミントが溜め息混じりに言った。


「本当はプリンのコト好きなクセにー!!」


ココアが言った。


「ちっ違―…」


「少なくてもプリンは君のコト、結構大切に思ってると思うよ?」


ミントが言うと


「は?!」


ポトフが驚く。


「そだよー!!私が皆にポトフのコト報告したら、プリンったら委員長の発言が終わるのも待てないくらい急いでポトフのトコにテレポートしたんだからー!!」


ココアが言った。


「…っそ…そうなのか…」


ポトフが照れたように小鼻を掻くと


「「本当キザだねー」」


ミントとココアが笑いながら言った。


「うっ煩いっ!!入るぞ!!」


「「はーい」」


こうして四人は、雪太郎の隣に建っているかまくらに仲良く入ってゆきました。


「はっ!そう言えばオレの帽子!!」


「もう諦めなよー?」


「良い男は引き際が肝心だぜェミント?」


「わーん!!」


「ぐー。」


本当に仲がよろしいようで。


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