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学校日和  作者: めろん
15/102

第15回 補習日和

キーンコーンカーンコーン


終業の鐘が鳴り、皆が教室を後にし始める。


「あれー?ミントはー?」


ココアがプリンに尋ねた。


「ミントは補習だ」


プリンが欠伸をしながら言った。


「ええっ?!ミント結構点数取れてたじゃーん?」


ココアが驚いたように言った。


「うむ。実技が学年で二番目に悪かったそうだ」


「ああー…そっちかー」


ココアが納得したように言った。


「って二番目?!ミントより酷い人なんていたのー?!」


何気に酷いことを言うココア。


「うむ。意外だな」


コイツもか。







「まったく…ミントさんはもう少し自分のMPを制御出来るようにして下さい?」


黒髪のポリー先生が言った。


「…はぁい」


ミントが元気なく返事をした。


「…貴方はもっとMPを増やしなさいアロエさん?」


先生がミントの隣に立っている、茶髪の眼鏡っ娘、アロエを向きながら言った。


「は、はいっ…すみません」


ペコリと頭を下げるアロエ。

黄色のネクタイをした彼女は、ヘビさん寮の生徒である。


「…ではアロエさんはグランド二十周、ミントさんはアロエさんが走り終わるまでY字バランスをやってて下さい」


先生が言った。


「「ええっ?!」」


思わず聞き返す二人。


「あっ…その…かぶっちゃってすみませんっ!」


ペコリと頭を下げるアロエ。


「え?いや別に謝らなくても…?」


ミントが言うと


「あわわ…謝ってしまってすみませんっ!!」


ペコペコと頭を下げるアロエ。


「…ははは」









ピーー


暑い暑い真夏の空の下で、ホイッスルが鳴り響いた。


「あと十八周ー!!」


ホイッスルを持ったポリー先生が言った。


「はっ…はひっ!!」


早くも息切れしたアロエが返す。


「…オレにこんな特技があったとは…」


ポリー先生の隣でビシッと綺麗にY字バランスをしているミントが呟いた。


ピーー


「コラっ!スピード落ちてますよアロエさん?!」


先生が言った。


「はっ…はひっ!!」


アロエがトテトテとスピードを上げた。


「…ヤバイヤバイ…なんかクラクラしてきた…」


ミントが少しだけふらつきながら言った。


「…先生?あとどのくらいですか?」


ミントが先生に尋ねた。


「あと十八周です」


先生がさらりと答える。


「ええっ?!さっきと変わってないじゃないですか?!」


ミントが突っ込んだ。


「…仕方ありません」


「?」


先生が溜め息をつきながら言ったのでアロエを見るミント。


トテトテトテトテトテトテ


「はひっ…はひっ…」


トテトテトテトテトテトテ


汗を光らせながら精一杯走るアロエを見てミントが一言。


(おっせぇ…)


アロエは信じられないくらい鈍かった。それはもう歩った方が速いくらい。


「はひっ…はひっ…!!」


それでも必死に走るアロエ。


「あと十七周ー!!」


「はっ…はひっ!!」


トテトテトテトテトテトテ


「わは〜オレの足がどんどん冷たくなってく〜」


何かを諦めたように笑いながらミントが言った。









紺色の空に輝く黄色い月と白銀の星。

静かで涼しい風が、皆に夜の訪れを知らせる。


「お疲れ様、二十周クリアです。アロエさん」


ポリー先生が言った。


「はっ…はひっ!ゴホゴホ…お疲れ様…でした…」


アロエが喘息を起こしながら言った。


「ミントさんも、もう足を下ろしていいですよ?」


先生が振り向きながら言った。


「ははは。あれ〜?もう終わったんですか〜?速かったですね〜?」


ミントは狂っていた。


「…大丈夫ですか?」


先生が尋ねると


「ははは〜足にドバッと血流を感じますよ〜?面白いですね〜!血流フィーバー!!」


ミントが足を下ろしながら言った。


「…長時間Y字バランスをしていたせいでパッパラパーになってますね」


先生が呟くと


「すっすみませんミントさんっ!あ、アロエのせいで…」


アロエがペコペコと頭を下げた。


「ははは〜血が循環していく〜!血流フィーバー!」


「…どうしようもありませんね」


「あわわわわ…すみません…」







「…はっ!あれ?!オレは一体何を!?」


学校に戻るとミント我に帰った。


「き、気が付かれましたか?」


眼鏡をかけ直しながらミントの隣にいたアロエが言った。


「あ、あれ?二十周終わったの?」


ミントがアロエに聞いた。


「あ、はい!」


アロエが答える。


「そっか!お疲れアロエ!」


ミントが微笑みながら言った。


「あっ、ありがとうございますっ!」


アロエがペコペコと頭を下げながら言った。


「あ、あと…その…明日の放課後も…補習だそうです…」


アロエが言った。


「…うえ…マジで?」


ミントが言うと


「すっすみませんっ!」


ペコペコ頭を下げるアロエ。


「いやいや別にアロエが悪いわけじゃなくて…」


「あっ…あっ、そうですよね?すみませんっ」


ペコリと頭を下げるアロエ。


「…はは…教えてくれてありがとアロエ。じゃ、また明日ね?」


ミントが手をヒラヒラ振りながら言った。


「はっはい!…おやすみなさい」


そう言って、ペコリと頭を下げると、アロエはトテトテとヘビさん寮へと走っていった。


「…はぁ…明日もか…」


溜め息をつきながらミントもウサギさん寮へと帰っていった。







ガチャ


「…んだと枕ァ?!」


「汚い手で僕に触るな」


ミントが部屋に戻ると、例の如く黒髪眼帯男、ポトフと水色髪枕常備男、プリンが喧嘩をしていた。


「…」


「「!!」」


ミントに気付くと、速攻でプリンの胸ぐらを放すポトフ。


「よ、よォミント!今日は遅かったなァ?」


ポトフが笑いながら言った。


「ほ、補習お疲れミント」


プリンもミントに声をかけると


「…ただいま二人とも」


ミントが微笑んだ。そして


「約束、忘れたんかなぁ?」


「「っ!!」」


青ざめる二人。


「はぁ…なんで仲良く出来ないかなぁ〜もう…」


ミントが溜め息をつくと


「…今日は面倒臭いから仲直りとして二人で添い寝でもしなさい」


と言った。


「「ええっ?!」」


「待て待てミント!?それはおかしいだろう?!!」


ポトフが焦りながら言った。


「いいいつものヤツのがいい!!」


プリンも続く。


「ダぁメ!たまにはパターン変えなきゃ、マンネリしちゃうでしょ?」


ミントがタンスから着替を引っ張り出しながら言った。


「「マンネリしても良いからっ!!」」


必死で訴える二人。


「…しつこいなぁ…喧嘩すんのが悪いんでしょ?」


するとミントが琥珀色に輝いた。


「いにしえより来る琥珀、σぁ〜」


『またまた登場なんだなぁ〜』


グリフォンのσを召喚したミント。


「ポトフのベッドで寝なさい」


ミントが微笑みながら言った。


「「ちょっ?!」」


『了解なんだなぁ〜』


どしんとポトフのベッドに乗るσ。お陰でポトフの寝るところがなくなった。


「じゃ、仲良く寝るんだよ?」


ミントがイケメン二人に言うと


パタン


とお風呂場に入っていった。


「…有り得ねェ!!」


ポトフが頭を抱えながら言った。


『快適なんだなぁ〜』


ポトフのベッドの上でゴロゴロするσ。


「ってか召喚したまま風呂なんて…どんだけMPあんだよミント?!」


ポトフが突っ込んだ。


『ふかふかなんだなぁ〜』


ポトフのベッドの上でピョンピョン跳ねるσ。


「ミントならまだしも…コイツとは絶対添い寝なんかしたくねェ…」


ポトフがプリンを見ながら呟いた。


「僕も貴様となんか御免だ。ミントならまだしも」


プリンが返す。

…いやいや二人して軽く危険な発言しないで下さい。なんでミントなら良いんですか?


「貴様が床に寝れば万事解決だな」


プリンが言った。


「はァ?!ふざけんなよ枕お前がそうしろ!!」


ポトフが返す。


「これは僕のベッドだ。僕が寝るのは当然だろう」


プリンが鼻で笑いながら言った。


「テメェはベッドなんかなくても立ったまま寝れんだろ?!」


ポトフが言い返す。


ガラガラ


「「!!」」


「…」


短時間で風呂を済ませたミントに驚く二人。


「…まぁだやってたの?」


ミントが言った。


「やっ違うんだミントこれは―…」


ポトフが言いかけると


「戻ってσ」


『バイバイなんだなぁ〜』


σが消えた。


ぶわんっ


と同時に、ミントが水色に輝き出す。


「「!」」


驚く二人をしり目に


「…波紋広がる水色」


ミントの前に、見慣れた魔法陣の水色バージョンが出現する。


「θ(シータ)」


魔法陣が激しく水色に輝いた。


『ぽぽ〜?』


光が収まると、小さな少女の姿をした半透明の召喚獣"ニンフ"が現れた。


「あの二人を眠らせてあげて?」


ミントがプリンとポトフを指さしながら言った。


「「っ!?」」


嫌な予感がひしひし伝わってくる二人。


『ぽっぽ〜!!』


θが水色のキラキラ光線を二人に向かって放った。


「「っ!」」


キラキラに包まれる二人。そして


「「ぐー。」」


二人仲良くプリンのベッドで寝始めた。


『ぽぽ〜!!』


「よしよし。戻ってθ?」


θの頭を撫でながらミントが言うと


『ぽぽ〜♪』


θが手を振りながら消えた。


「はぁ…おやすみ二人とも」


そう言って部屋の電気を消すミント。


「「ぐー。」」


寄り添いながら寝ている二人のモテ男くん達は、今宵どんな夢を見るのでしょうか?

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