表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学校日和  作者: めろん
100/102

第100回 学校日和

太陽が明るく煌めいて、大空が蒼く染まり、今日も一日が始まります。


「ねっ粘菌アメーバ?!」


冷や汗を掻きまくったポトフは、そう叫びながらガバッ!!とベッドから起き上がりました。


「…どんな夢見てたのさ?そしておはようポトフ」


そんな彼に、すでに身支度を整え終わったミントが突っ込みと挨拶をしました。


「お…おゥ おはよォミント…」


ポトフは手で額の冷や汗を拭いながらミントに挨拶し


「…粘菌アメーバって怖ェな?」


って言いました。


「うん。顔洗っといで?」


ミントは深入りせずに、ポトフにタオルを渡して顔を洗いに行かせました。


「さてと、次はプリンを起こ―…」


そう言いながらミントがプリンの方を向くと


「ねっ粘菌アメーバ?!」


って叫びながらガバッ!!っとプリンがベッドから起き上がりました。


「・・・」


ミントは一瞬固まりましたが


「…おはようプリン」


至って普通にプリンに挨拶しました。


「う…うむ。おはようミント…」


プリンは手で額の冷や汗を拭いながらミントに挨拶し


「…粘菌アメーバって怖いな?」


って言いました。


「うん。そだね」


ミントはあくまで深入りせずに、彼の言葉に頷きました。










キーンコーンカーンコーン


薬草学の授業が始まると、クー先生は今回の実験に用いる道具を次々と述べてゆきました。


「…で、今日の実験のメインはコレ!」


パパーン!!と勢いよくクー先生が今日のメインを指さすと


「にゃ?あれは…」


「前にワイらが取ってきたキノコやな」


包帯だらけのサラダと、彼の隣に座っているタマゴが口を開きました。


「そう!先日みんなに取って来てもらったキノコです!」


それを聞いて、クー先生はにこっと笑いながら頷くと


「このキノコは可愛いけどわりと殺るキノコなので、間違っても絶ッッッッ対に食べないで下さいね♪」


今日のメイン・ペーズリー柄のキノコを生徒の皆さんによぉく見せながらそう言いました。


「「はーい」」


それにきちんと返事をする皆さん。


「よろしい♪じゃ、次は実験の行程を説明するよ!」


クー先生は再びにこっと笑うと、黒板にチョークを走らせました。


「へ〜これ毒キノコだったんだ〜」


教卓から目を離し、自分の目の前に置いてあるペーズリー柄のキノコを見ながらミントが言いました。


「食べないで下さいって…こんな怪しいキノコなんか誰も食べないと思うんだけどー?」


彼の隣で頬杖をつきながらココアが言うと


「む?やりかねない奴が一人いるだろう?」


そのまた隣で小首を傾げながらプリンが言いました。


「え?」


小首を傾げ返すココア。


すると


くいくい


ミントの隣に座っているポトフが、彼の服を弱く引っ張りました。


「? 何ポトフ?」


ミントが彼の方を向くと


「…食べちゃった…」


冷や汗を掻きつつも弱々しく笑いながらポトフが言いました。


「せんせえぇええぇ!!」


ミントは物凄い勢いで挙手しました。










コンコン


ポトフの肩を支えながらミントが医務室のドアをノックすると


『はーい』


ガララッ


「! やぁん!おはようミントきゅんっV」


チロルがドアを開けて出てきました。


「うん おはようチロル」


彼女にさらりと挨拶を返すミント。


「…?どうしたの邪魔者C?」


顔色が悪いポトフに気が付いたチロルが彼に話し掛けると


「あっ…はっはっ…綺麗な…おねェさんは好きデスカ?」


ポトフが意味不明なことを言いました。


「ちっちちチロル!?こっここで解毒とかって出来るよね?!」


このままでは危ないと直感したミントは、慌ててチロルに尋ねました。


「オフコースもちろんよ!ベル先生〜?」


ミントの問いに、チロルは元気よく頷くと、奥にいる先生を呼びました。


「はぁい♪」


(医務室の先生ってちゃんといたんだ!?)


次いで現れた桃色の髪の毛の先生を見て驚くミント。


「あらあら"可愛いけどわりと殺るキノコ"を食べちゃったのね?」


ベル先生はポトフを見ただけで的確に状況を言い当てました。


(あれ名前だったんだ?!)


それとは違うところに突っ込みを入れるミント。


「さ!ベル先生が治療し終わるまで遊んでましょミントきゅんV」


ミントが心の中で突っ込みを入れていると、ひしっと彼の腕に抱きついたチロルがそう言ってきました。


「? 遊ぶって…何して?此処、医務室だよ?」


ミントが小首を傾げると


「何して?…って…」


チロルはミントの腕から離れ


「…此処、医務室だよ?」


って言いながら、自分のワイシャツのボタンを外し始めました。


「待て待て待て待て待て何考えてんのチロル?!」


慌てて彼女の動きを止めるミント。


「きゃは♪ミントきゅんったら照れちゃって可愛〜いV」


「医務室は病気や怪我を治すところです!!」


そんな会話をしている二人を見て


「あらあら♪若いっていいわねぇ♪」


「…先生って普通…止めるんじゃないんスか…?」


にこっと笑うベル先生と、ベル先生にいささかの疑問を感じるポトフでした。










その頃


「はぁ…ポトフってば本当に馬鹿だったんだねー?」


薬草学が終わったので、医務室に向かい始めたココアが言いました。


「む?今更気が付いたのか?」


彼女の隣で小首を傾げるプリン。


「…まあ、前から知ってたけど、今改めてしみじみと思ったワケですよ」


ココアはやれやれと溜め息をつきながらそう答えました。


「ふむ。これからいろいろと大変だなココア」


そんな彼女を見て、プリンはそう言いました。


「そだねー…って…なんの話ー?」


若干顔を赤らめながらココアが聞き返すと


「ふふふ さあ?」


プリンは笑いながら首を傾げました。


「…もー…最近プリン意地悪くなーい?」


ぷーと膨れたココアがそう言った直後


「タイダルウェーブ!!」


背後から呪文が聞こえてきました。


「カオスシールド!!」


ドッシャ―――――ン!!


瞬時にそれに気が付いたココアは、透かさず防御魔法を唱え、その攻撃・水魔法を見事に防ぎました。


「あら?広範囲型の盾を出すなんて、なかなかいい勘をお持ちですわねココアさん?」


すると、後ろからムースの声が聞こえてきました。


「ふふっ♪嘗めないでよね―…ってムース?!」


「む?帰ったのではないのかムース?」


いつも突然現れるムースにココアとプリンが驚いていると


「"む?"じゃなくてよ?!プリンったらわたくしの目の届かないところで浮気していましたのね!?」


ムースはツカツカとプリンに詰め寄りました。


「なっ何を言って―…」


「わたくしというものがありながら…っ!不潔極まりないですわ!!わたくし、もうプリンなんて―…」


聞き返そうとしたプリンの言葉を遮って、ムースがそこまで言いかけると


「違うよムースー?プリンと私は友達だよー?」


ってココアが言いました。


「―…大好きですわっV」


「…えらく調子がいいな?」


コロっと態度を変えたムースに突っ込みを入れるプリン。


「ねーそう言えばムースはどーしてプリンと同じ学校に通わないのー?」


プリンに引っ付いているムースを見て、ココアが小首を傾げながら尋ねると


「…プリンと同じ学校に通ってしまったら、わたくしが勉学に集中出来なくなってしまうでしょう?」


頬を赤らめながらムースが言いました。


「「なっ?!」」


その答えにつられて赤くなるプリンとココア。


「だって…こんなに素敵な男性なんですもの…V」


ムースは両頬を両手で押さえながら続けました。


「なな何を言っている!?お前が隣国の学校に行くのは土地的に当たり前のことだろう?!」


そんな彼女に、顔を赤くしたプリンが突っ込みを入れると


「「…"お前"って…」」


プリンに"お前"と呼ばれて照れるムースと、それを聞いてにやけるココア。


「てっ照れるな!!そしてにやけるなっ!!」


慣れない突っ込みを入れまくるプリン。


「あっ!みんな!!」


すると、そこに走ってやって来たミントと


「! ミント!」


彼に気が付いたプリンが


「「助けて!!」」


と、同時に叫びました。


「…へ?」


「…む?」


お互いが疑問符を出していると


「やぁん!待ってミントきゅ〜んV」


後ろからチロルが走ってやって来ました。


「あ、おはようチロルー」


ささっとプリンの後ろに隠れたミントはほっといて、チロルに挨拶するココア。


「! 邪魔者A!お世話になったわね邪魔B!!と…誰?」


すると、チロルは初めて見るムースに小首を傾げました。


「あら、お初お目にかかりますわねチロルさん わたくしはムース。プリンの婚―…」


その問いに答えるべくムースがチロルに自己紹介をしていると


「あ!いたいた!もォ酷ェなミントォ〜俺を置いてくなよォ?」


解毒が済んだポトフがやって来ました。


「「あ。馬鹿が来た」」


彼を見るなりプリンとココアがそう言いました。


「酷くない?!」


帰ってくるなり馬鹿よばわりされてショックを受けるポトフ。


「事実を言ったまでだ」


そんな彼を鼻で笑いながらプリンが言いました。


「ァんだと?」


素早く喧嘩腰になったポトフに


「もー無駄な心配させないでよねー?」


と、ココアが言いました。


「…心配してくれてありがとォココアちゃ―…」


スパァン!!


コロっと態度を変えてココアを抱き締めようとしたポトフは、彼女の平手打ちによって吹っ飛ばされてしまいました。


「…ついでに無駄な体力使わせないでくれる?」


吹っ飛んだ彼にココアがそう言い放つと


「か…かっこいい…」


「平手打ちだけであんなに飛ばすことが出来るなんて!!凄いですわココアさん!!」


チロルとムースから尊敬の眼差しが向けられました。


「えへへ♪でしょー?」


二人にそう言われて胸を張るココアの横で


「ぷわ…アイツならあれくらい見切れるはずなのだがな?」


欠伸をしながらプリンが呟きました。


「うわァん!ミントォ!」


「ななな泣かないでポトフーっ!!?」


泣き出してしまったポトフに、ミントは慌てて駆け寄ってゆきました。


「ウン。分かった」


「よし 良い子」



光り輝く太陽の下、国立魔法学校では、いつもと変わらない賑やかな生活が送られています。


国立魔法学校は、今日も学校日和です。



   おしまい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ