タイムマシン
大分前ですがBlogに書いたものです。
記事を整理していたら見つけました。
ある夏の日の学校からの帰り道、歩道橋の下でおじさんがタイムマシンを売っていた。
2850円だった。
やっぱり結構するんだな、タイムマシンだからな。
お年玉と、貯金箱のお金と、今月のお小遣いを足して何とか足りそうだ。
ボクはおじさんの居る、歩道橋の下へと走った。
売れてないといいな。
あれ?
タイムマシンを買ったらどうしよう。
何故か足取りが急に重くなり、やがてボクは立ち止まった。
結局ボクはおじさんの居た歩道橋には行かず帰ってしまった。
ちょっともったいなかったかな。
それから20年後、ボクはタイムマシンを作り上げた。
とても巨大で、原子力発電所がいくつも必要な3秒後の世界に行けるタイムマシンだった。
あのおじさんのタイムマシン、やっぱり買っておけばよかったな。
いつか絶対に買いに行こうとボクは思った。
その50年後、ボクはやっと過去の世界に行けるタイムマシンを作り上げた。
サイズもかなり小さくなった。
ボクはあの日の歩道橋へ行く。
歩道橋の下には懐かしいあのおじさんが椅子に座ってタイムマシンを売っていた。
ダンボールに手書きで書かれた値札は2850円だ。
そのタイムマシンはブリキ缶にペンキで丁寧に塗装された、このおじさんのお手製のものだった。
ボクは2850円でおじさんからタイムマシンを買った。
おじさんが「おみやげですか?」と聞いたので、ボクは「はい」と答えた。
幼い日の想い出は、思わぬ原動力になったりする事があるかもしれません。