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魔法使いの捜査官  作者: ハチワレ
学院編
5/17

第5話 マチバリーシチュー


学園に着いた頃には、月が真上にまで昇っていた。


夜なのに建物の中が昼間のように明るい。

どうやらこれも魔法の一種らしい。

村ではランタンに火を灯してた。

でもここのランタンは、村のものと比べ物にならないくらい明るい。

ソルベール先生によると、魔法で真空状態にした特殊なランタン、とのことだった。


まず通されたのはソルベール先生の研究室だった。

扉の上には、“第5魔術研究室“と書かれている。



「今日はもう遅いから、入学の署名と魔力確認だけするよ。」


渡された入学契約書にサインをすると、片手に乗るくらいの水晶を渡された。


「これに魔力を流してごらん。

貯めているものを水晶に流すイメージだ。」


言われた通り、水晶に向かって念を送る。

が、色はほとんど変わらない。


「確かに、魔力は少しあるね。」


「やっぱり、私の魔力は無いに等しいんです。」


「そんなことないよ。

アハ体験並みだけれど。」


「気づかれないじゃないですか…。」


「ま、詳しいことは明日話そう。

今日の明日で悪いが、事務がまだ追いついていなくてね。

明日の入学式は、私が寮まで迎えに行くからロビーで待っててくれないか?」


「わかりました。」


わからないことの方が多いが、今はそう答えておくしかない。



そのあとは女子寮に案内された。

学校と同じ敷地にある場所から通うなんて、なんだか不思議な感じがする。



「マリちゃ——」「このアホなんだらあああー!」


「ブワハッ」


ソルベール先生のお腹にはたきがクリティカルヒット。

はたきって、あんなにしなるんだ。知らなかった。


「何時に子どもを連れ歩いてるんだい!」


「さ、さすがマリちゃんのはたきは眠気に効くなあ」


先生、声が掠れてるよ…


「マリちゃんと呼ぶな。

私は女子寮の寮長をやっている。マチ・バリーだ。」


「荷物はそれだけかい?

ほら、こっちだ。部屋まで案内する。」


「はい。」


「メルくん、達者でねえー。」


先生に頭を下げつつ、マチバリー寮長の後をついていく。


マチバリー寮長は、すごく身長が低いおばあちゃんだ。シルエットで見たら子供と大差ないだろう。

でもおばあちゃんにも子供にも見えないくらいさっきは機敏に動いていた。

そういう生き物、妖精——なんだかそんな言葉がピッタリと合う不思議な人。


「他の新入生は明日入寮してくる。

静かに休めるのは今日くらいだ。

あんたもあのアホ教師に連れまわされて疲れただろ。

ゆっくり休むといい。

夕食は後で持っていく。

食器は朝食の時に食堂へ返してくれればいい。」


案内された部屋は机とベットが鏡向きに置かれた2人部屋だった。

簡素で落ち着く良い部屋だ。


少ない荷解きが終わる頃、ノッックの音が聞こえた。

ドアを開けるとシチューとパンが置いてあった。


夕食を1人で食べるのは初めてだ。

昨日まではこんなことになるとは思わなかった。


噛み締めるたびに、今日のことを振り返る。

シチューの中には鶏肉も入っていた。


(ラルクには…何も言わず来ちゃったなあ。

お母さんからきたら、驚くだろうな。)


もしかしたら、花屋のおばさん経由で耳に入る方が早いかも知れない。



寂しさと明日からの不安を、温かいシチューが慰めてくれているようだった。



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