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第4話 生まれて初めて
それからはもう早かった。
急いで荷造りを済ませ、父のお古のトランク片手にソルベール先生と馬車に乗り込む。
すでに日が傾いていた。「明日でも良いのでは?」と尋ねると…
なんと明日が入学式、らしい。
ソルベール先生が神父さまとの手紙のやり取りを無視して急いできたのは、そんな事情もあったのか。
研究者特有の好奇心だけかと思ってた。
馬車の中から村を見る。夕日に照らされた見慣れた家屋が初めて寂しく感じる。
そんな私の心を読んだようにソルベール先生は私の肩へ手を置いた。
「長期休みには帰ってこられる。大丈夫だ。」
本当に良かったのだろうか、今ならまだ断れる。
ーーいや…学院で学べば、きっとこの村の役に立てる。
そんなことを反芻しながら、私は生まれて初めて村を出た。




