第2話 魔法使い(疑惑)
チリンチリン
「いらっしゃいませーって、神父さまとソルベールさん。どうしたんですか?」
調合作業をしていると、ドアのベルと共に神父さまとソルベールさんが来店してきた。
「いや、メルくんに少し相談事があってね。
神父さまに聞いたら、君が力になれるだろうって教えてくれたんだ。」
そう言ってソルベールさんは一つの指輪を差し出してきた。
「これの持ち主について知りたいんだ。何かわかることはあるかい?」
受け取ってよく見てみる。
大きさからして女性物、年季が入っていることがわかる。
「女性物ですね。んー、多分ですけど、赤毛の長髪を三つ編みでまとめている女性だと思います。
その人がすごく大切にしているものです。大切にしてほしい、幸せになってほしい、あと、少しだけ、‘‘ごめんね‘’っていう申し訳なさも入っています。
あと、持ち主の手を離れたのは、だいぶ前な気がします。
手掛かりになりそうですか?」
ソルベールさんは私が返した指輪を受け取りながら目を見開いた。
「すごいね。持ち主の詳細までわかるのか。」
「ただの勘です。鵜呑みにしないで下さい。」
「いや、正解だよ。これは私の母のものだ。形見なんだ。
母は赤毛の綺麗な髪をいつも後ろで三つ編みにまとめていた。
そうか…この指輪にそんな思いが込められているとは知らなかった。
ありがとう。」
「いえ。お力になれたなら何よりです。」
「ところで、お父さんかお母さんとお話しがしたいのだけれど、どちらにいらっしゃる?」
仕事関係の話だろうか?
「母でしたら奥の調合部屋にいるので呼んできます。」
お母さんにわけを話すと、診療所にいる父を呼びに行くように言われた。
父は近所の診療所で医師をしている。
と言っても、小さな村なので忙しくなることは町中の診療所よりは少ないと父は言っていた。
「お父さん」
「メル、どうした?」
お父さんに今までの経緯を話すと、患者がいないこともあり、すぐに来てくれることとなった。
歩きながら父が口を開く。
「実はな、神父さまからは前々からお話しをいただいていたんだ。」
「ソルベールさんは、王立魔法学院の研究者だって言ってた。
薬か治療に魔法を応用するってこと?」
「いいや。仕事の案件ではないよ。
メル、君のことさ。」
「どういうこと?」
「まあ、そう言った話も含めてこれから話そう。」
疑問を今すぐ解消したい気持ちでいっぱいだが、近所なので家の前にすぐについてしまう。
ソルベールさん達は店舗ではなく、母と共にリビングのテーブルに座っていたが、父を見るなり席を立った。
「初めまして。
わたくし王立魔法学院の研究者をしております。ライラン・ソルベールと申します。」
「初めまして。
村の診療所で医師をしています。ペレス・グランテと申します。
どうぞ、おかけになってください。」
大人の挨拶が終わったあと、みんなでテーブルを囲む。
なんだか、すごく緊張するので席を立ちたい。
が、父は私のことと言った。
疑問とここに居るべきという責任感が居心地の悪さに勝った。
「神父さまからおおかた聞いています。
私たち夫婦といたしましては、メルの意志を尊重したいと思っております。」
「…あの、話が見えないんですけど…どういうこと?」
「メルくん。君はおそらく、魔法を使える人間だ。」
は?




