第15話 クイズ!ワタシはダーレ?
柵を越えて、地図とコンパスを頼りに、森の中をみんなと進んでいく。
「よー!こっちだー!」
しばらく歩いていくと、大柄な男性がこちらに向けて手を上げた。
「私は、魔法科副主任のトニオ・ドルボザークだ。以後、よろしく頼む。」
黒い眼帯に、筋骨隆々な大きな体。
赤毛の顎髭は、怖い顔に不釣り合いな赤い小さなリボンで三つ編みになっている。
「私の魔法は回復促進のため、怪我をしたら言うといい。魔法をかけてやろう。
このチェックポイントでは、謎解きをしてもらう。
問題は、周辺を探してみろ。」
見渡すと、数グループが草木をかき分けて何かを探している。
「私達も行きましょう。」
「うん。」
「探し物なら、僕に任せて。」
いつの間にかジンの肩にはシマリスが止まっていた。
「うわー!
可愛い!!」
「森に入ってすぐ、肩に止まってきたんだよ。
『この辺りで、普段は見かけない物があったら、案内してくれるかい?』」
魔力を含んだ声でシマリスに語りかける。
リスは、肩から飛び降りると、私たちの前を走り出した。
「追いかけよう。」
リスは、枯れて横たわる丸太の上に立った。
ジンが丸太の穴を覗く。
「あったよ。」
ジンの手には、学校のシーリングスタンプが押された封筒だった。
「えーと…
“私は可憐なお姫様。
約束守って愛する人。
私の姿は純白ドレス。
また会えるわナイト様。
どうか私を忘れないで。
わたしはだーれ?“ 」
「これ、建国神話の一説だよね?」
「建国神話にあやかった私は誰でしょうクイズってところでしょうね。」
ユートとジンも拍子抜けした顔をしている。
「なんか…思ってたのと違うな。」
「もっと、魔法に関する知識を聞かれるんだと思ってた。」
「とりあえず、先生のところに戻る?」
意外なクイズに顔を見合わせた。
でも、アルトだけは、じっーとクイズを見つめて何か考え込んでいるようだった。
———答えを探すと言うより、何かを思い出そうとしている?
アルトの目の奥が虚気に見えて、そんな気がした。
「おお?見つかったか?問題をこちらに見せて見なさい。
“私は可憐なお姫様。
約束守って愛する人。
私の姿は純白ドレス。
また会えるわナイト様。
どうか私を忘れないで。
わたしはだーれ?“ 」
ドルボザーク先生は、大袈裟に乙女の演技をしながら言う。
想像して欲しい。お姫様のような仕草と高い裏声を披露する鍛え上げた大柄の中年男性を…。
思わず笑いそうになるところを堪える。
横を見ると、他のみんなも肩を震わせて笑いを堪えていた。
「こ、答えは“ミオソティス”です。」
笑いを飲み込んだレンが答える。
「正解だ。コンパスを出してみろ。」
レンがローブのポケットからコンパスを出して、ドルボザーク先生は手をかざすと、光った。
さっきまで白かった盤面が緑色に変化した。
「地図を開いてみろ、反映されているだろう。」
地図を開いたジンは驚いた。
「違う場所にある!さっきまで、ここを指していたのに。」
私も横から覗いたら…星マークの位置が大きくずれていた。
ここから山頂に向かってしばらく歩いたところに印がある。
「次の目的地だ。
日が暮れる前に着かないと失格だから頑張れよ。」




