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キュウリ

作者: 大石次郎

油断してた。たった1週間。「夏休みの自由研究する」という長女に家庭菜園の管理を任せていた。


私は昼間デイサービスで仕事をしているのだが、この時期は同僚がすんごい休む。

この1週間は他の人の穴埋めに続く穴埋めでてんてこ舞いだった。


まぁお陰で5連休をゲットし、今日くらいは庭の管理に使おうと、長女の『自由研究』が既に終わったらしい家庭菜園に出てきていた。


「・・何、だと?」


キュウリのスペース以外は至って普通の状態だったが、キュウリがっっ。

トウモロコシ並みのサイズに成長したキュウリは数十本広くもないスペースにみっちり成っている!

倒れないように、支柱がグサグサと30本ぐらい追加で刺されて支えられている。


「何の研究をしていたんだ??」


ちょうどスイミングスクールから妹と一緒に帰ってきた長女を捕まえて聞くと、


「水捌けを良くして、木酢液を撒いて、あとは油かすと牛糞肥料」


「それだけ?」


「どれだけ肥料に耐えられるか研究した」


フォアグラみたいなことしてる??


だがちゃんと食べられヤツだった。皮は分厚いようだけど、身は甘く濃厚だった。


しょうがないから私は軽自動車で御近所や知り合い等に配って回ることにした。


「わぁっ? ズッキーニ??」


「ズッキーニみたいだね!」


「施設でも出しましょう」


「ズッキーニかと思った!」


めちゃズッキーニって言われる・・


ともかく残り2本のキュウリと共に隣町でダイニングバーをやってる弟の所に行った。開店準備中。


「コイツで何か気の利いた物を食わしておくれよ、弟よ」


「・・ズッキーニ?」


もうその件いいわ。


弟はキュウリの冷製パスタとキッシュ、ジンジャーエールを作ってくれた。


「ふうっ、満足満足」


私は今日行く予定じゃなかったけど霊園に向かい、夫の墓に1本供えた。


「・・美味しい変なキュウリも食べられたし、また明日から頑張るわ! じゃ、コレ、傷んじゃうから」


あたしはちょっと供えただけなのに墓石自体が焼けてるから熱くなったキュウリを回収し、帰宅した。


冷製パスタは娘達にも作ってあげよう。

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