12話 創生、二つの奇跡 ②
アウターワールドに着いて、すぐ逢夢とティアが俺の前に転移してきた。
目をあわせうなずくだけでお互いに状況を理解しあう。ベインとの闘いがはじまる、すでに心の準備はできているようだ。
「レイター共。また会えて嬉しいぜ」
その後に破壊王ベインが転移し、俺達の前に現れた。
ブレイドとの闘いによって受けた傷跡は消えており、ボロボロな黒い服を変わらずに身につけている。
「嬉しいか……我らはそうは思っておらぬぞ。大切な仲間を消されたのだからな」
「おいおい、勘違いしないで欲しいなぁ。あいつは自ら自滅の道を歩んだ。最終的に俺があいつをしとめたわけじゃない、あの剣士が神の力に耐えきれず消えただけなんだよなぁ」
「貴様がなにもしかけてこなければ、そもそも良かったのだ」
「なにもしない……それじゃあ楽しめない、つまらないままだ。創造に深く関わっているお前達は無関係じゃないんだ、悲しみも苦しみもすべて受け入れてくれなきゃなぁ」
ティアの主張はベインにはまったく響いていない。不気味な笑みを浮かべ、すべてを楽しもうとするがゆえに挑発し、自らを正当化するための論理を展開する。
強引だと思える部分もあるが、すべてが無茶苦茶な論理だとも思えない。
身勝手な理屈で闘っているけれど、無差別じゃない。今もそれは徹底している。
「だからってすべてが正当化されるなんてことはないだろ。ブレイドが消え、絵麻が苦しんでいる。その連鎖は断ち切らせてもらうぞ」
「弔い合戦ってやつか。楽しめそうだなぁ」
赤黒い破壊の意思を全身から放出させた後、俺達に不気味な笑顔をベインは向けてきた。
「多少は俺への対策をしてきてるんだろ」
「好かぬやり方ではあるがな」
「お前達なら少しは足掻いてくれると思ったぜ」
逢夢とティアで調整を進めてきた危険な力。それは諸刃の剣でもあるが、今はその力に頼ることしかでない。
「逢夢、変身だ」
「レイター・ブリリアントチャンジ!」
逢夢は創造の輝きをまとわせ
「未来へ続く創造の輝き、レイ・クリエイト」
桜色のバトルコスチュームを着た、レイ・クリエイトへと変身した。
「今回は手を抜くつもりはない。最初から力を出させてもらうぜ」
「そちらがそのつもりなら、こちらも力を解放させてもらいます」
最初から本気をだしていかなければ、ベインの圧に飲まれことになる。
「創造の戦花、クリエイト・ストレングス」
クリエイトは創造力を強化する術式を付与することで、身体能力が強化された。
「それは以前見たやつだな。まさかそれだけで終わりじゃねぇだろうな」
「それを今から見せます」
ここからは未知の世界。クリエイトへの負担が大きいが、やるしかない。
「創造の荒魂、ブレイク・インストール」
クリエイトは破壊力を取り込む術式をさらに付与すること、クリエイトの中にある破壊力と創造力が融合していく。
赤と白、創造と破壊のオーラがクリエイトの身体を強靭なものへと変えていく。
創造力では手に入れることのできない力、それを手に入れることには成功した。
「いいねぇ、自ら破壊を受けいれてくれるなんて。俺は嬉しくて嬉しくてたまらねぇよ」
「こんなもの使いたくはありませんでした」
「そうはみえないね。苦しみ悲しんだその記憶が今の力を創りだした。もっと誇らしく思ってくれ。俺に感謝してくれてもいいんだぜ」
「だまりなさい。あなたは許しません」
クリエイトは感情をむき出しにし、憤怒に染まる。 破壊力により、逢夢は目つき鋭く攻撃的になっている。
人相までは変わっていないもののの、ドスの利いた声は明らかにいつもと違っていた。
「それでいい。俺は敵だ。敵に同情なんてされちゃあ困る。俺達の闘いっていうのはそうしねぇとなぁ!」
しかしベインはクリエイトの力を恐れるどころか、両手の手首をゆらゆらと揺らしながら歓迎していた。
「破壊力を取り込んだお前に良いことを教えてやろう。なぜ俺があの剣士が扱う神の力を前にして消えずに残ったのかきにならねぇか?」
ベインは握った拳を手で叩きながら、問うてくる。
「強い破壊力を当てて、耐えたんじゃないのか」
「それもある。だが俺が生き残れたのは、クリエイトと似たようなことをしたからだ」
今のクリエイトは破壊力を取り込んでいる。ということは……
「そう、俺はあいつの莫大な創造力と同化をすることで、消滅を回避した。後は残った創造力を破壊力に変換すれば、元の身体を元通り。あんなけ創造力が拡散されていやがったからな。剣士が使った決死の攻撃も無駄、すべては無駄に終わったのさ。あいつのやったことはなぁ!」
ベインはわざとらしくブレイドのしたこと無駄だと言いきり、クリエイトの感情を逆なでしていた。
「無駄じゃない。それを今から証明します!」
さらな破壊力を取り込み
「いきます」
クリエイトは数十メートルほど真上に飛びあがってから、創造と破壊のエネルギーを推進力にして急降下をはじめた。
破壊と創造はねじれ混ざりながら加速。見ることすら困難だと感じるほと速度があり、ベインが視線を合わせた瞬間にはすでに左足を突き刺していた。
ベインはその攻撃を手でブロックしているものの、衝撃を受け止めきれず後方に押しだされている。以前とは比べ物にならないほどの威力がある蹴りをクリエイトは繰り出されるようになっていた。
花の周りを飛び交う蝶というよりも、巣を守る毒針を持った蜂のように敵だと認識したものには容赦はしない。
「潰れろ、潰れろ」
突き出した左足を軸にして回転、すかさず空いてる右足で回しげりを決めた。
ベインの顔面を吹き飛ばす強烈な一撃は今までのクリエイトでは考えられないような攻撃、相手のことは考えない。徹底的に叩き潰すという意思がそこにはこめられいる。
クリエイトの攻撃は止まらない。顔面に強烈なキックを浴びせたあとも、二発のボディブローをベインにいれた。
「中々のパワー、お前にしちゃあ荒々しいじゃねぇか……だが!」
身体が宙に少し浮くほどの攻撃を喰らっていながらも、ベインは反撃に転じ左足で膝蹴りをを浴びせた後、さらに頭突きまで加えた。
「荒々しいのはこっちも得意だぜ」
攻撃一辺倒だったゆえに防御は考えていなかったのか、クリエイトは顔面でまともに受けてしまう。
「この程度でどうにかるとでも」
頭に強烈な激痛がはしるも、それに耐えクリエイトは右ストレートをベインのみぞおちにいれて吹き飛ばす。
むき出しな感情をそのままに闘う姿は戦士や、武道家というのとは程遠い。破壊力が望むままに力をふるう、その姿ブレイカー達と重なってみえた。
「破壊を楽しんでるだね、お前も」
「だまれ、あなたとは違う」
「どこかだ? 教えてくれよ」
「だまれ!」
ベインに煽られるたびにクリエイトは破壊の意思を増幅させ、理性は消えていく。
クリエイトは駆け出した。獲物を追い詰め、敵を倒すために加速し、
「創造の衝花、クリエイト・インパクト」
創造と破壊が混じった自らの魂が創りだした赤と白の輝きを、ベインにぶつけた。
「なるほど、強くなったっていうのは本当みてぇだな」
ベインは赤黒い破壊の障壁で身を守っていたが、その障壁をクリエイトは破壊していた。
黒い服こそ破れてはいないが、クリエイトが放った衝撃は確実にベインに届いていた。




