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屋上

 昼休みごろ昼食をとっていたリコとセレェナ。セレェナはリコに、週末にあったことを話した。件の墓地での出来事だ。

「先生にも教会にも連絡したけれど、私、久々に魔物とあったわ、それに……」

「それに?」

 周囲の顔色をうかがい、耳打ちで伝える。

「多分嘘だと思うけど、その時、別の魔物か幽霊に助けられたのよ、彼はこう名乗っていたわ……“悪魔トレトー”」

 背筋がゾクっとした感覚に襲われるリコ、何か、今朝から胸騒ぎがあったのだ。ふとセレェナをみると、またもやぼーっと廊下をみている。

「どうしたの?今日はめずらしくぼーっと、セレェナ?セレェナ?」

 返事がない、それどころか目で何かを追って、そして立ち上がったかと思うと、弁当のフタをとじて廊下へ歩いて行ってしまった。リコは、

「もぉー途中で」

 といってセレェナの弁当をあけるとものの数分もしないのに、食事はすべて平らげられていた。

(さすが、“姉御”セレェナね)


 廊下をいくセレェナ、その先にはあの時の子供の姿があったが、すぐに横切って上へ上へとのぼっていく。

「何なのよ……誘っているの?あの時の“約束”を果たせって、本当に悪魔なの?」

 セレェナは右手のこぶしにちからをいれて、また階段を上り始めた。


 ふと屋上のドアが少し空いていて、屋上で人が話している声が聞こえる。

「なんだ、こんな昼休みに屋上にいる生徒がいるのかしら……」

 男子生徒の声がする。

A「まあ、こんなものか」

B「クラントの野郎、せっかく舎弟にしてやったのに、こんだけしかよこさねえ、三千円ってしけてやがんなあ」

A「まあ、いうてやるなあいつの親金持ちだから、まだまだ“先”があるぜ」

B「お前の《悪魔憑依》があればもっとうまくできるぜ……」

 ふと、一瞬でセレェナの頭に血がのぼった。

「……セ、セレェ」

 階下からリコがやってきて彼女をとめようとしたが無駄だった。目が白く光り、こめかみに欠陥がうきでて、歯をくいしばっている。次の瞬間。

《ドゴォオオーーン!!!》

 屋上の鉄扉はけとばされ吹き飛んだ。

「おらああ!!お前らああ!!学園の風紀を乱す奴は、悪魔憑依だろうがなんだろうが、ボコボコにしてやるう!!!」

 ふと、モヒカンを金にそめた細い目の生徒と、長髪を左右にわけたごつごつとした四角い輪郭の生徒があっけにとられた。だが、ふとモヒカンの生徒がいった。

「生徒会長?……ふっ……単独で“男のエリア”にくるとはなあ……」

長髪を左右にわけた生徒が腹を抱えて笑った。

「女一人で、顔や名前もしらない三年の不良の前に……わらけ……」

《ドゴォオオオオオオン……ガシャアア》

「る……??あえ?」

 セレェナは言い放った。

「おい、モヒカンのほうはたしか、ゼン、そしてお前はフロスっつったな……“私の前で学園の風紀を乱したら容赦しねえ、わかったな!?”」

 そういってフロスの襟首をつかみ、ビンタをした。

「うぐうう……こんなの、聞いてねえ……そもそもあいつが……」

 ふと、彼が指さした方向をみると、一人の生徒が階段のペントハウスの裏手で膝を抱えてうずくまっていた。

「誰だ……!?」

 リコが後ろからやってきて、事情を見るに、とコソコソと耳打ちをした。そして顔を赤らめると、リコに何かを命令して、そっちのほうに向かった。


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