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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
第三部 サンディアナの攻防 七章 怪しいキャラバン
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やっぱりボラれてる気がする



 紺色をベースにして赤やグリーンの線の入ったタータンチェックのワンピース、赤いリボン、赤いくつを身につけて、クマりんが持つのにちょうどいいサイズの茶色のクマを持つと、恐ろしく可愛かった。王冠とのかねあいもいい。クマりん本体がピンクのクマなので、色味のバランスがとてもキレイだ。


「ぎゃ〜可愛い〜。この可愛さで防御力トータル100って、僕より固いんですけど! あっ、王冠の30もよせれば130か!」

「クマりんはぬいぐるみやさかい、体にあうもんのほうがええんや。愛情もこもっとるしなぁ」


 愛情の押し売り……。


 なんかこの可愛さと、装備できるものをとりあえず着せられてるぽよちゃんを見くらべると、かわいそうになる。


「ぽよちゃんにはないのぉ? ぽよちゃんにも可愛いの着せたげてよぉ」

「ぽよちゃんは靴がはけへんやろ。盾も持てへん。よろいも形によってはムリやし、難しいんや。でも、このクマりん用セーターとズボンのセットなら着れるやろ。赤いリボンもつけられる」


 胸もとにクマのアップリケがついたセーターだ。手編みだけど、すごく上手。機械で編んだみたい。セーターは水色で、ズボンが紺地のデニムだ。


 な、なんと! ワンピースには一歩およばないが、セーターとズボンなのに防御力が50。銀の胸あてより強い。しかも、これにも幸運プラス30のオマケつき。

 そして何よりも重要なのは、可愛い!


「これと赤いリボンください」

「まいどあり! セーターとズボンセットが五千五百円。赤いリボンが五百円の六千円や」


 今度は負けてくれないのか。


「ぽ〜よちゃん。おいで。おいで」

「キュイ〜」

「ほら。こっちに着替えようね」

「キュイ、キュイ!」

「あっ、着れる。着れる。わあっ、似合うねぇ」

「ピュイ〜」


 いつものようにサイズは自動でちぢむ不思議仕様。

 水色のセーターを着て赤いリボンをつけた白ウサギ。似合う。可愛い。

 ただ、それだけに残念感がただようのは、鉄かぶとだ。


「シャケ。帽子はどうにかならないの?」

「しゃーないな。ちょっと待っときィ」


 どうするのかと思えば、三村くんはカバンから黄色い厚手の生地を出して、見ている前でバババッと裁断し、バババッと縫った。

 す、すごい。神技だ。

 みるみる幼稚園児がかぶってるようなアゴひもつきの黄色い帽子になる。ちゃんとウサギの耳も出る。こっちのアップリケはリンゴだ。ぽよちゃんってピンクの糸でネームししゅう入り。


「これで、どないや!」

「うわーっ。即席なのに防御力が30もあるーっ! し、しかも、これ、即死系魔法回避率プラス50%がついているぅー!」


 見事だ。ぽよちゃんの弱点をカバーする付与効果。これかっ。これが愛情パワーなのかっ。


「このネームししゅうがミソなんや。これがやな。ぽよちゃんを即死から守りたいっちゅう愛情やねん」

「いくらッ?」

「せやなぁ。三千円でどないや?」

「買うよ! もちろん買う!」


 はぁ……可愛い。

 ぽよちゃんが見ちがえるほど可愛くなった。幸せ〜。

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