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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
六章 就活って難しい
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変なヒヨコ



「ピヨピヨ。ピヨ〜」


 トコトコとかけてきたのは、あのヒヨコだった。

 さっき泉で休憩したときに、僕らのサンドイッチを盗み食いした妙に派手なヒヨコ……。

 赤というか、オレンジ色というか、とにかく目立つ全身のうぶ毛に、七色のかんむりばねと長い尾羽。


 ん? に、似てる?

 もしかして、このデブデブの派手なヒヨコ、フェニックスの配色に似てないか?


 すると、するとだ。

 さっきまで怒り狂っていたフェニックスが、とつぜん、おだやかな表情になった。

 ピヨピヨ、なんて優しげな鳴き声で派手なヒヨコを翼でかきよせる。


 蘭さんがつぶやいた。


「そうか。このヒヨコ、フェニックスのヒナだったんですね。だから、フェニックスは怒ってたんだ。わが子がいなくなってしまったと思ったから」


 僕も思いだしたぞ。


「そういえばさ。ここに来るとき、ずっと、なんかつけてきてるような気がしてたよね? それに、たまりんとの戦闘のとき、最後に何かが助けてくれた。あれって、このヒヨコだったんじゃ?」


「もしかしたら、人間にさらわれとったんかもしれへんな。自力で逃げてきたヒヨコが、ちょうどいっしょな方向に歩いとったおれらについてきたんやな。一匹でモンスターのおる山んなかウロつくのは危ないさかいな」


 ピヨピヨ、ピヨピヨと鳥語で話していた親子は、納得がいったようで、僕らに向きなおった。


「みなさん、さきほどはごめんなさい」と、ビックリ!

 お母さんフェニックスがしゃべった。

 そうか。この世界ではクマのぬいぐるみだけじゃなく、鳥も人語をしゃべるのか。


「この子をさらったのが、あなたたちだと勘違いしたものですから。長いことこの場所に巣を作っていたので、わたしたちの居場所が人間にバレてしまったようですね。わたしたちの体や灰は人間にとっては、とても貴重な薬となるので、よく狙われるのです。とつぜん襲いかかったことは謝ります。それと、この子をここまで送り届けてくれて、ありがとう」


 よかった。誤解が解けた。

 もう一回、一から戦闘しなくてすむだけで、もう嬉しい。


 蘭さんはあらためて、フェニックスのお母さんの前にひざまずいた。


「では、我々の願いを聞きとどけてもらえますか? あなたの羽を一枚だけでいいので大切な人のためにわけてくださいますか?」

「よいでしょう。あなたがたは心のきれいな人間です。あなたたちに、これを授けましょう」


 そう言って、フェニックスのお母さんは自分の胸元にクチバシをつっこんで、短い羽を一枚、すいっとぬいた。


 チャラララッチャッチャー!

 あっ、やっと戦闘終わりだ。

 よかった。長かった。

 さすがに不死鳥だ。手ごわかったなぁ。

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