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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
六章 就活って難しい
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フェニックス戦! 1



 回復の泉の前の細い道をあがると、やがて山の頂上にたどりついた。

 そのさきに鳥のクチバシみたいにつきだした崖があった。


 いる。

 フェニックスだ。

 翼竜みたいに大きな鳥が、朝日をあびて、そこにいる。

 赤とピンクのちょうどあいだくらいの朝焼けを背景に、大きく翼を広げた巨鳥は、怖いというより荘厳そうごんだった。

 全身が金色こんじきに光って、黄金細工のよう。


 これは神鳥だ。

 神の世界の生き物。

 ただの鳥とは思えない。


 でも、なんだか気が立ってるみたいに見えるな? なんでだ?


 ドシン——と足をふみならし、ケーーーーーーンと空も割れそうな雄叫びをあげている。


 ん? 足元に見えるのは巣だろうか?

 なんか干し草みたいなのが積みあげられてるけど。

 巣のなかは……と、からっぽか。


 奇声を発する神鳥にむかって、蘭さんは走りよっていった。

 ああ、蘭さん。危ないよ。


「お願いです。神の鳥よ。どうか、あなたの羽を一枚だけ僕に授けてください。まだ死んではならない人が死にかけています。このとおり、お願いします」


 フェニックスの前にひざますき、蘭さんはこうべをたれる。

 そういえば、神獣とかって人間の言葉が理解できるんだよな?

 もしかして、戦わなくても貰えるかな?


 なんて都合のいいことを考えたものの、やっぱり、そうはいかなかった。

 いきなりボス戦用の音楽にBGMがチェンジ。


 フェニックスは翼をひろげ、甲高い鳴き声をあげながら、襲いかかってきた——


 そうだよね。

 そうなるよね……。



 *



 なんでかわからないが、フェニックスは最初から怒り狂ってた。

 もともと人間と言葉をかわせないのか、それとも憤激のせいで我を忘れてるのか知らないけど、礼をつくして話しあおうとする蘭さんを、いきなり大きな翼で払いのける。


 あッ。蘭さんのHPがいっきに70も減ってしまった。つ、強いな。フェニックス。


 ちなみに久々にちゃんと見た。

 蘭さんのステータス。

 レベルは20だ。

 HP176、MP75、力56、体力37、知力77、素早さ121、器用さ84、幸運92。

 あいかわらず、力と体力が女の子なみ。素早さがとっくに百超えてるよ。

 ん? 蘭さんの魔法、増えてるぞ。


 死なないでー?(>ω<、)


 これって、もしかして蘇生魔法なんじゃ?

 死なないでー? って、クエスチョンマークがついてるってことは、確率で蘇生したりしなかったりするやつだ。

 そうか。勇者だもんな。

 この魔法があれば、長期戦の戦闘が可能になる。

 僕が回復役にまわって、なるべく蘭さんのMPを温存しないとな。


 僕らのターンだ。

 この戦いはフェニックスの先制攻撃で始まった。そういう演出のようだ。


「みんな、がんばろ〜」


 いつもの蘭さんの呪文。

 それが二回くりかえされる。

 そのあと、鞭攻撃が二回。

 さほど素早い敵じゃない。

 ただ、蘭さんの攻撃でさえ、あんまり効いてる感じがしないんだが?

 もしかして、このボス、HPがめちゃくちゃ高いんじゃ?

 敵のステータスを見ることができないんだけど、どうも……心配だなぁ。


 次は三村くんの攻撃。

 僕と三村くんは、まだ武器を交換したままだ。だから、三村くんは破魔の剣を持って、フェニックスのふんばった両足のあいだに入っていった。

 ぷすりとつき刺すんだけど、針山に刺した針って感じだ。

 フェニックスはぜんぜん、痛みを感じてさえいない。


 さて、いつものように、ぽよちゃんがためる。

 次は僕の番だ。

 僕は鉄のブーメランをなげた。

 ほかにすることない。

 いちおう当たることは当たる。的が大きいから外すことはないんだけど……き、効いてない?

 僕らの攻撃、効いてない?

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