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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
六章 就活って難しい
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オバケ怖い……



 ガサガサ。ガサガサガサ……。

 つかのま、頭上の枝が激しくゆれた。

 が、とくに何も現れないし、姿も見えない。


 変だな。気の迷いかな?

 怖い怖いと思うから、なんでもオバケのせいに思えるのか?


「い、行こうか……」と、僕はおびえをふりはらって、仲間たちに声をかける。


 歩きながら、急に三村くんが言いだした。


「知っとるか? じつは、世界のどっかにホラーワールドっちゅうのがあるらしいで」

「えッ? 何それ?」

「その国のなかのダンジョンはオバケやゾンビや幽霊ばっか出てくるんやて。ほんで、イベントも怖いことしか起こらんのや。国全体がオバケ屋敷みたいなもんやな」

「ヤダッ! 何それ? そんな国、絶対、行きたくない!」


 僕は叫んだ。

 なのに、蘭さんまで言いだす。


「そのウワサ、僕も聞いたことがありますね。その国の最奥にある開かずの扉の前に生贄いけにえを捧げると、神の国へ行けるんだ、とかなんとか」


 ホラーの国でイケニエとか、何を怖いこと言ってくれちゃってるんだ。

 そんなとこ、僕は絶対に行かないんだもんねぇ。


 それにしても、何もこんな夜中の森のなかでそんな話をしなくても。

 よけい怖いじゃないか。

 やっぱり、なんかついてきてるような感じがするし……。


 と、そのとき、僕は見てしまった。

 ヒューっと青白い火の玉のようなものが木の陰から、こっちにむかって飛んでくる。


「出たー! オバケー!」

「あっ。ほんとだ。出ましたね。ゴーストンです」

「えっ? 何そのモンスターっぽい名前」

「モンスターですからね」

「えっ?」



 野生のゴーストンが現れた。

 野生のカボタンが現れた。

 野生の火の玉が現れた。




 *


 そもそもモンスターに野生のって言うのも変だけど、野生の火の玉ってなんなんだ?

 この世界の概念がわからない。


 目の前に現れたのは、まあ、オバケと言えばオバケの集団だ。

 亡霊と書いて“お化け”と読むような、もっとリアルなオバケを想像していた僕は、ひょうしぬけしてしまった。

 怖いというよりは、可愛い。


 どう見ても、ハロウィンの時期にお菓子売り場に置いてある、期間限定のお菓子の包装に描かれてるようなやつらなのだ。


 ゴーストンは定番の魔法使いのとんがり帽子をかぶった白いゴースト。

 カボタンはジャックオランタン風の目鼻をくりぬいたカボチャのランタンだ。

 火の玉は正直、メラりんとの違いがわからない。差別化ができてないぞ。ポワポワした青い炎のモンスターだ。


「ドラキュラとフランケンシュタインがいたら、完璧なハロウィンの仮装かな」

「火の玉だけエレメンタル系ですね」

「ゴーストなのに物理系なんだ。ゴーストンとカボタン」

「攻撃パターンがわからないけど、とりあえず簡単に倒せるゴーストンとカボタンから倒しますね?」

「お願い」


 僕にはMPを使わずに魔法攻撃ができる、破魔の剣がある。朝日のあたる崖までさきが長いんだから、パーティーのMPはなるべく温存しとかないと。


 蘭さんの鞭が四回、宙に舞った。

 流星の腕輪の威力を実感。

 ピシピシピシピシと、鞭が鳴ったとたん、ゴーストンとカボタンは倒れた。

 早かった。


 あとは火の玉か。

 これは楽勝かな?

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