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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
六章 就活って難しい
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アンドーくん、仲間入り〜



 池野くんの姿は、またたくまに見えなくなった。もう探しようがない。


「イケやん。どげしただやら? なんか、おかしかったが?」

「うん。池野くんはヤドリギにあやつられたままなんだと思う」

「どげしたら助けられるだらか?」

「もう一回、会って、ヤドリギのカケラをぬきだせば……」

「おれ、いつか必ず、イケノを助ける」


 猛が告げた。

「イケノを助けるためには、本人からカケラをとりだすか、ヤドリギ本人を倒すかしないとダメだ。このまま勇者と旅をしていけば、どこかでヤドリギと対決することになる。ただの兵士には命の保証がない道だぞ? それでも友達を助けるために行くのか?」


 安藤くんは力強くうなずいた。

 わずかの迷いもない。

 うんうん。わかってた。

 安藤くんはそういう人だよね。

 というか、あの村の人たちは村人同士の結束がものすごく強かったしね。


 これで、安藤くんは僕らの仲間になった。


「じゃあ、神殿に帰ろうか? 帰りはらくちんだよ。旅人の帽子があるからね」


 僕が自慢して言うと、なぜか、猛がさみしげに笑った。猛はいつも、そんなふうに笑う。笑っていても、いつも心の底では悲しみを抱えてるみたいな。


「かーくん。かーくん」と、手招きして僕を呼ぶ。


「うん。何?」

「これ、かーくんが持っててくれ」


 猛が渡してきたのは、赤いちりめん生地のお守りだ。かなり古びてる。


「これは?」

「おれが子どものころ、ばあちゃんが作ってくれたお守りだよ。きっと、おまえの冒険の役に立つから」

「いいの?」

「ああ。いいよ。おれは免疫力の特技で必要ないから」

「ふうん」


 アイテム画面で確認すると、毒、痺れ、魅了のステータス異常無効の効果がある。これは嬉しいぞ。


「ありがとう! 兄ちゃん」

「うん。兄ちゃんはどんなことがあっても、おまえの味方だから」


 そう言って、ぽんぽんと僕の頭を叩いた。

 変だな。猛のようすがいつもと違う。


 そんな気はしていた。


「早く帰りましょうよ」と、蘭さんが言うので、僕らは一ヶ所に円陣を組んでかたまった。

 僕が旅人の帽子をかかげて魔法の呪文を詠唱すると、景色がゆらいだ。

 ワープするのだ。

 その最後の瞬間、一人離れて手をふる猛の姿が、ぼんやりと見えた。

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