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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
六章 就活って難しい
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まさか、ブラン王は……



「スズラン!」

「お兄さま!」


 抱きあってる兄妹は、男女の差こそあれ、ほんとに見ためは絶世の美女姉妹。

 蘭さんが男なぶん、ちょっとだけ中性的なので、身長も高く、一、二歳年上に見える。


 それにしても、そうかぁ。

 ここで鈴蘭が来たか。

 じつは、これも僕の小説のキャラクターだ。

 えーと、カクヨムではまだ公開してないんで、ザッと説明すると、蘭さんのクローンがある女性に体外受精で授かった遺伝子上の娘。

 それが鈴蘭だ。

 誰にも言ってなかったけど、鈴蘭のイメージは美月ちゃんかな? なんて、ひそかに思ってたんだよ。ランチ〇〇探偵のショートカットも可愛いよね。


 はぁ……可愛いなぁ。鈴蘭。

 さっきの冷たい視線はきっと気のせいだ。

 ま、まさかと思うけど、ツンデレじゃないよね?

 こんなに清楚で可憐で可愛いんだもんな。絶対、違う。ツンデレなんかじゃない!


 僕がそんなことを考えているところに、うーんとうなって、安藤くんが起きてきた。


「あれ? ここは? おれ、なんで、こぎゃんとこにおうかいね?」

「…………」


 ごめん。安藤くん。

 僕の設定そのままだね。

 出雲弁まるだしだ。

 でも、これで、やっぱり安藤くんは悪のヤドリギにあやつられてただけなんだとわかった。


 悪のヤドリギって、アレだよね?

 神殿で聞いたばっかりの魔王の四天王の一人だ。魔物だから一人じゃないのか。柱? ソロモン七十二柱とかの柱。本来は神様や仏様の数えかただ。神様と悪魔の単位が同じって変な気がするなぁ。


 まあ、そんなことはいい。

 問題はヤドリギだ。

 なんで、ブラン王の兵士が四天王の一柱にあやつられてるんだ?

 たまたま?

 いや、でも、ブラン王の命令だって話してたもんね。

 ミルキー城には不審な連中が出入り……とてつもなく嫌な予感がするんだけど!



 *



 蘭さんとスズラン(この話ではこの表記で行こうと思う。ロランの蘭さんとシャケの三村くんだけでも、ややこしいし)が、僕らのほうを同時にかえりみた。

 やっぱり双子だね。

 タイミングがまったく同じだ。

 シャイニング〜

 ん? ちなみに僕は観たことないけど。


「じゃあ、マーダー神殿へ帰りましょう。アンドーくんでしたか? あなたは悪のヤドリギにあやつられていました。ヤドリギのカケラが体からぬけたので正気に戻ったのです。ミルキー城の内部のことも聞きたいし、いっしょに行きましょう」

「あれ? らんらん姫?」

「ああ、そうか。お城の兵士ってことは、僕のこと、そう思ってますよね」


 とにかく、僕らは危険なモンスターの出る森のなかから、安全なマーダー神殿へ場所を移動することにした。


 でも、その前に、もう一つやっとかないといけないことがある。

 人さらいBだ。

 安藤くんは改心したけど、Bはまだヤドリギのカケラがぬけてない。あやつられたままだ。

 そもそも、人さらいBって誰なんだ? 安藤くんの地元の友達に、Bで始まる名字の人いたっけな?

 び、び……備中呉妹びっちゅうくれせ? いや、それは駅の名前だ。しかも無人駅。

 坂東ばんどう! そうだ。坂東とか? いや、でも、そんな人、あの村にはいなかった。


 僕は倒れたままの人さらいBをながめた。こいつも喉のあたりで何かモコモコ動いてる。

 僕は気になって、まず覆面をはぎとってみた。


「あッ! 池野くんじゃないか」

「池野だな」と、猛。


 なんだぁ。池野くんか。

 坂東じゃないのか。

 人さらいBのBは坂東のBじゃなかった。


 もちろん、池野くんは安藤くんと同じ村の住人で、僕らの友達だ。

 これは救わなければ。


 僕は「えい!」と喉のモコモコを鞘をつけた剣で叩こうとした。

 だけど、その前に池野くんが目をあけた。白目をむいたままだ。まぶただけは、しっかりあいている。怖い。ホラーっぽい。


 池野くんは白目をむいたまま走っていった。


「池野くーん!」

「ああ、イケノ! どこ行くや?」


 僕や安藤くんが呼びとめても、まったくとどまるようすがなかった。池野くんは森のなかに消えてしまった。

 きっと、あやつっているヤドリギのところへ帰る気なんだ。

 心配だなぁ。

 池野くん……。

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