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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
五章 (麗しの)巫女姫を救え!
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ヤドリギのカケラよ、去れ!



 蘭さんの体が赤と青に交互に光る。

 鞭をかまえると、スゴイ!

 三連打だ!


 ビシッ、ビシッ、ビシッ!

 激しく皮がしなり、安藤くんを打擲ちょうちゃくする。

 なんだか友達にヒドイことしてる気分。

 でも、勝たないと安藤くんの目をさましてあげられない。


 一瞬、安藤くんが白目をむいた。

 ちょっと、ぽわんと黒い霧みたいなものが口からのぞく。

 僕が凝視すると、あわてたみたいに口のなかにひっこんだ。

 なんだ? 今の? 変な顔みたいなものがあったぞ?

 むむっ。今のがヤドリギのカケラかな?


 安藤くんの喉のところが不自然にふくらんで、モコモコ動いてる。

 でも、安藤くんはすぐに黒目に戻って、体勢をたてなおした。喉は……まだモコモコしてる。

 気になる……。


「ねえねえ、シャケ。ぽよちゃん。相手は素早いしさ。三人同時に攻撃しようか。自分が動けるようになったら、すぐ攻撃だよ?」

「わかった」

「キュイ!」


「ほな、行くで」


 三村くんが鉄のブーメランを投げた。

 三村くんの手がブーメランから離れるとともに、僕は走った。

 あとから、ぽよちゃんが追っかけてくるけど、僕より素早いんだよな。

 僕のわきを駆けぬけていく。


 安藤くんは三村くんのブーメランをヒラリとよけた。

 波状攻撃で、ぽよちゃんがタックル!

 安藤くんのお腹を直撃。

 安藤くんがよろめいて、一歩、二歩、あとずさったまま、ドスンと尻もちをついた。


 いいぞ!

 安藤くんは僕より背高いからね。

 これで喉元が狙いやすくなった。


 僕はすかさず、破魔の剣をふりかぶる。もちろん、さやをつけたままだ。友達の首、落とすわけにいかないし。


 ブンと風を切る音。

 モコモコ動く喉をめがけて、剣をふりおろす。


 それを打った瞬間、キイイイイイイイーーーーンと甲高い、金属音のような、悲鳴のようなものが響きわたった。

 そして、安藤くんの口から、ぽわんとゲル状の黒いかたまりが出てきた。

 それはキュルキュルと螺旋らせんを描いて空に昇っていくと、ものすごい速さで、いずこへかと飛び去った。


 ヤッター!

 ヤドリギのカケラ、追いだした!



 *


 戦闘終了のいつものあれこれ。

 僕の幸運度が高すぎるんで、アイテムはほぼ必ずドロップ。

 人さらいAはポイズンダガーを、人さらいBは小さなコインを落とした。

 お金は八百円。

 経験値も八百。


 テレレレッテテー!

 あっ、ぽよちゃんがまたレベル上がった。

 レベル14かぁ。

 わが子が大きくなっていくのにも似た喜び。

 スゴイねぇ。素早さはいっきに10上がってる。ぐんぐん伸びてくな。

 この調子だと、蘭さんにも追いつくかも?


 その蘭さん。

 鞭をおさめると、縛られて放置されてる巫女姫に駆けよった。

 あっ、美女ー! そうだった。助けないと。


「ケガはない? 僕はロラン。君は僕の双子の妹だろ?」


 蘭さんが巫女姫のさるぐつわをはずし、両手を縛るロープをほどいた。


 おおーッ!

 う、麗しいーッ!

 さすが、蘭さんの双子の妹……。

 山本美月ちゃん似のめっちゃくちゃ美少女だー!

 はぁ……よかった。ここまで生きてこれてよかったぁー!


 僕はすっかりテンションアゲアゲだ。

 いそいそと、巫女姫に近づいていった。


「だ、大丈夫でしたか? あ、あの。怖くありません……でしたか? えへへ」


 巫女姫はいったん僕を見た。

 がっ!

 そのまま、きれいにスルーして、蘭さんを見つめた。


「じゃあ、あなたが、わたしのお兄さまなんですね? わたしに双子の兄がいることは聞いていました。お目にかかれて光栄です」

「僕はロラン。君は?」

「スズランです」


 うーん。なんか、ちょっと思ってたのと違うぞ?

 ま、いっか……。

 どうせ、いっつもふられるしねぇ。

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