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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
五章 (麗しの)巫女姫を救え!
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人さらいが現れた!



 初回に大失敗したので、そのあとは慎重に子グマちゃんを最速で倒し、僕らは森のなかを進んでいく。

 樹木のあいだから、青空とともに、そびえたつ塔のいただきが見えてきた。


「僕の妹って、どんな子なんだろう? 可憐かれん清楚せいそなのかな? ずっと巫女として育ってきたわけだし」

「だよね! きっと蘭さんみたいに上品で気高い巫女姫さまだよ」


 僕の期待度はマックスだ。


 あんなに可愛いんだもん。可憐に決まってる。

 きっと助けてあげたら、うるうるしながら「かーくんさん。ありがとうございます」とか言うんだ。

 いいなぁ。美女に感謝されるのって気持ちいい。


 拾う小銭の額がちょっと上がった。

 百円単位になっていく。

 所持金が一万円を超えたらしい。

 まさか、敵が強くなったわけじゃないよね?


 僕が悩んでいたときだ。

 森がひらけてきた。

 木々がまばらになり、塔の入口が見える。


 その前に見覚えのある男女が三人、なにやら争っている。

 まちがいなく、あの黒服の男二人と、蘭さんの妹。祈りの巫女姫だ。


「ほら、あけろ。おまえならこの扉をあけられるんだろ?」

「ついでに聖女の秘宝とやらを奪ってやる」


 男たちが巫女姫をひったてて、むりやり塔の扉をあけさせようとしている。抵抗する巫女姫を男のひとりが殴ろうとした。


 むむっ。女の子に乱暴するなんて、ゆるせないぞ。


 僕はサッと彼らの前に駆けだし、カッコよく宣戦布告した。

「た……助けにきました」


 あ……巫女姫の視線が痛い。

 いいから、あなたはこの人たちにられる前に逃げなさい——そう目が告げている。


「なんだ、こいつら。追ってきたのか」

「こうるさい連中だ。やっちまおう」

「おう!」


 あっ。これで何度め?

 固定ボス戦のBGMだ。



 *


 人さらいAが現れた。

 人さらいBが現れた。



 黒い服の男たちが並んで前に立つ。

 やっぱり忍者というか、アサシンとか、そんな感じの服装だ。


 ほんとに彼らをさしむけたのは、蘭さんのお兄さんのブラン王なんだろうか?

 そういえば、マーダー神殿のなかで嫌なウワサを聞いたなぁ。近ごろ、ミルキー城には怪しい連中がいっぱい出入りしてるって。

 自分の妹を誘拐しようとするなんて、それはほんとに蘭さんの身代わりとして、コーマ王に嫁入りさせるためだけ?

 なんとなく、それだけじゃないような、もっと深い陰謀が関係してそうなイヤ〜な感じがするんだよな。


 とにかく戦闘だ。

 お姫様を助けないと!

 待っててください。

 僕のお姫様。今、お助けしますよぉ。


 こっちはあいかわらず、先陣は蘭さん。


「みんな、がんばろ〜」


 いつもの呪文を二回、くりかえした。

 が、今回は男たちの素早さがそこそこ高いらしい。

 蘭さんはそこで待機行動に移る。

 それでも二回行動か。

 さすがは流星の腕輪。


 鉄のブーメランが空間を切りさく。

 空間をね。


「うわッ。回避しやる。こいつら、素早いで」

「みたいだね。ということは、僕は地道に装備魔法で行くよ」


 攻撃魔法は回避できない。

 蘭さんの精霊王のよろいみたいに、装備で軽減することはできるけど。


「破魔の剣〜!」


 ダメージは小さいけど、効いてはいるみたいだ。

 もうちょっと攻撃力の高いアイテムが欲しいなぁ。

 自力で攻撃魔法覚えられたら、もっといいんだけど。


 ぽよちゃんは、ためている。

 そして、男たちのターンだ。

 人さらいAが呪文を詠唱した。

「みんな、巻きで行こう〜」


 巻きで行こうって、業界人か!

 てか、ズルイよ。

 もともと速いくせに、素早さ上げてきたー!

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