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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
五章 (麗しの)巫女姫を救え!
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旅に必須、それは馬車



 朝になると、どこからか猛が現れた。


「巫女姫、助けに行くんだろ?」

「うん」

「おれも行くよ」

「うん」


 夜のあいだ、猛のやつ、どこに行ってたのかなぁ?

 聞きたいけど、聞けない。

 そこは兄弟でもプライバシーかな?


 神殿の外におじいさんが立ってる。


「おぬしたち、旅をするのなら馬車はいらんかね? 仲間が増えすぎるとつれて歩けなくなるぞ。馬車があれば、八人まで、ともに行動できるんじゃ」


 ああ、馬車ね。

 巫女さま助けたら、いるかもな。


「いくらですか?」

「一万円!——と言いたいところじゃが、千円にまけてしんぜよう」

「えっ? いいんですか?」

「わしにはもう必要ないからのぉ。ふぉっふぉっふぉっ」


 銀行に大半、預けたから、僕の現在の所持金は七千円。ま、千円くらい出してもいいや。


「はい。千円」

「うん。たしかに。しかし、ちょうどいい馬の支度がまにあわんでなぁ。おぬしたちが神殿を出立するまでには用意しておこう。またあとで来なされ」

「…………」


 まさかと思うけど、詐欺か?

 馬車を売るよ詐欺?

 お金だけとって商品を渡さない気か?

 いや、薫。

 ダメだぞ。ここはゲームの世界だ。

 現実みたいに詐欺をしかけてくる人は、そうそうイベントでもないかぎりいないはずだ。


「わかりました。よろしくお願いします」


 僕は人を信じることにした。

 信じる者は救われる……はず?



 *


 可憐な花畑をぬけて、森へ入ると、エンカウントが始まった。

 神殿のエリアを出たのだ。


「東にあるって言ってたよね。聖女の塔」

「ですね。なんで、そんなところに向かったんでしょうね?」

「僕らに見つかったせいもあるんだろうけど。しばらく身をひそめてから逃げだすつもりかなぁ?——あっ、小銭、見っけ」


 所持金が六千円に減っちゃったんで、六十円だ。厳密に言えば、プラスアルファのランダム係数で六十三円。現実で六十円拾うと、そこそこ嬉しいものの、ここでは二、三千円ずつ拾ってたからな。ちょっとガッカリ。でも、まあ、これで出てくるモンスターが僕らとのレベルのひらきが少ないことがわかった。


「まさか、また毒虫軍団じゃないよね? それなら、もっと毒消し草、買っとけばよかったなぁ」

「いつも、あんなに毒まみれのエリアばっかりじゃないと思うんですけどね」


 すると、猛が言った。

「このへんに出てくるのはビースト系だよ。ぽよぽよのちょっとレベル高いやつとか。スライムのちょっと強いやつとか。あばれ馬とか。子グマちゃんとか。メレメレとか」

「ふうん。聞いたことないのも多いなぁ。メレメレって何?」

「メレメレーって鳴く鳥だよ」

「どんな敵か想像つかない」

「それよりテディーキングには気をつけたほうがいい」

「テディーキング……テディベアの王様かな? あんま怖そうじゃない」


 僕らはすっかり油断していた。

 名は体を表すっていうし、テディーキングじゃね。


 すると、さっそく、テロップ。



 野生の子グマちゃんが現れた。

 野生のスライムレベル10が現れた。



 さて、戦闘だ。

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