表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
五章 (麗しの)巫女姫を救え!
55/377

小銭無双で神殿のお宝ゲット〜



 さらに画面を見る。

 すごいぞ。これ。

 さすが勇者の最終装備だ。

 防御力が220ある。

 あのゲームで言うメタルな王様のよろいと大差ない。それで魔法ダメージが三分の一って、美味しすぎないか?


 なんとか今すぐ、これが手に入れられないかなぁ?

 こういうのって、たいてい、勇者の証明とか言われて、クエストすることになるんだよな。今の僕らじゃムリかぁ。


 と思ってたら、あっけなく神官は言った。

「神殿の修繕費が必要なので、十万円でならお譲りしますよ?」

「えッ?」


 いいのか? 最終装備がこんな中盤手前で手に入って?

 あっ、そうか。十万だもんな。

 ふつう、この段階で十万もたまらない。千八百円のブーメラン買うために、何度もバトルしてお金を集めてるころだ。

 十万ためることじたいがクエストなんだな。


 ああ、無双……。


「これ、ください」


 今度は神官がおどろいた。


「えッ?」

「ください。ここに十万ありますから」

「えっ……」

「はい。十万。じゃ、貰っていきますよ?」

「は、はい……」


 僕はよろいをかついでみた。

 か、軽い……なんだ、この軽さ。紙か? しかるに鋼鉄の強度!

 これが精霊界の技術なんだな。

 たぶん、魔法で作られてるんだ。

 そのうち終盤で精霊界とか行くことになったりして。


 人前でそれを着させると、蘭さんが“選ばれし者”だとバレてしまう。

 僕は宿屋に行って、一晩の部屋を借りた。

 そこで初めて、よろいを蘭さんに渡す。


「はい。蘭さん」

「えっ? 僕に?」

「うん。これ、勇者しか着れないみたいだ」

「ああ、うん。そうかなとは思ったんだ。これの前に立ったとき、呼ばれてるような気がした」

「ふうん」

「でも、お金は? 僕、今、お小遣いしか持ってきてない」

「出世払いでいいよ」

「ありがとう! かーくん」


 蘭さんが抱きついてきた。

 甘い花のような香りが鼻腔をくすぐる。

 うーん……早く巫女姫に会いたい。



 *


 精霊王のよろいを身につけた蘭さんは、輝くばかりだ。

 ほんとに、キラキラとこぼれる光のベールみたいなものをまとっている。

 綺麗だなぁ。

 男でも見惚れるよ。


「じゃあ、かーくん。かわりに僕がつけていた銀の胸あてをあげます。これなら、たぶん、かーくんにも着れる」

「わ〜い。銀の胸あてだぁ。けっこう強いやつだよね」


 シルバーシリーズの装備品は、中盤の中盤くらいに出てくる。まだ店で買うことはできない。防御力は45。


「さっそく着替えようかなぁ?」


 ん? 胸あてって、仲間モンスターのほとんどが装備できるんだったよね?

 さっき、僕は銀行で貰った旅人の帽子をかぶってる。防御力が35から引くことの皮の帽子ぶんの3で、32も上がった。

 これは装備できる防具が限られてるモンスターのぽよちゃんにつけさせよう。


「ぽーよちゃん」

「キュイ?」

「あ、やっぱり装備できるね。おいで。おいで」

「キュイ。キュイ」

「ほら、ケープ外して。銀の胸あてだよぉ」

「ピュ〜イ」


 不思議なもんだ。

 さっきまで蘭さんが着てたのに、ぽよちゃんにつけさせると、胸あてはちぢんで、ぽよちゃんにちょうどいいサイズになった。あとは木の帽子さえ違うものにできれば、だいぶ可愛いぞ。


「じゃあ、僕とシャケは防具屋行こうか」

「せやなぁ」


 僕と三村くんは防具屋で黒金のよろいを買った。僕は盾も黒金の盾に変えた。

 やっと一人前になった気分。

 これでかなり守りは強くなったぞ。


「さあ、妹を助けに行きましょう!」


 いや、その前にちょっと休ませて。

 山登りしてきたんだもん。

 さすがに、すぐはムリ。


 そして、夜が明けた。

 よし。今日こそは巫女姫を助けに行くぞ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ