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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
第二部 物語は動きだした 四章 再会の兄弟
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なにやら陰謀っぽい?



 ああッ! 言いやがった。

 死んじゃえって言いやがったよ、コイツぅー!

 聞いた? 聞いたよね? お母さーん!


 あっ、すいません。パニクりすぎて、なんか変なこと口走った。


 僕らは息をのんで、そのときを待った。

 一分。二分……。

 ん? 何も起こらない?

 いや、違う。

 ぽよちゃんが、ぽよちゃんが、またもや棺おけにィー!


「ぽよちゃーん。ごめん。ごめんよ。あとで必ず生き返らせてあげるからねぇ」

「ぽよぽよは即死系魔法に弱いからな」と、猛。


 そうか。魔法との相性もあるんだ。


「あと、幸運が高いほど、即死魔法が効きにくい」


 ん? 幸運が高いほど……。

 むむむ。むむむむ。

 それは、つまり、今の僕なら、ほぼほぼ効かないって意味じゃないか?

 僕の幸運度マックス手前1。


 たいていのゲームではさ。

 レベル上限まで上げても、幸運の数値がマックスまで上がりきることってないんだよね。たいていは上限の三分の一ていどまで育てばいいほう。

 で、種系の数値あげるアイテムは希少だから、上限に達するまで上げることは、まず不可能。

 しかるに今の僕はカンスト一歩手前。


「ねえ、ロラン。シャケ。なるべく、あいつの詠唱が聞こえないくらいのところまで下がってて」

「え? なんでですか?」

「つねに僕がターゲットになれば、即死することはないと思う。こいつの魔法は、まだ単体だ。全体魔法じゃないから。二人は遠距離から援護してよ」

「でも……」


 と言ってから、モニターをながめた蘭さんと三村くんは絶句した。


「な、なんや。かーくんのこの数値!」

「いつのまに?」

「へへへぇ。いいでしょ?」


 というわけで、僕が矢面に立った。

 攻撃は蘭さんの『燃えろ〜』と、なかなか当たらない三村くんのブーメラン。それに僕の『破魔の剣〜』だ。

 チマチマとミミックの体力をけずりとり、ようやく倒すことができた。

 その間、十回は即死魔法をあびたが、僕は一度も死ななかった。



 *


 チャリーンと音をたてて、ミミックがくずれおちた。ふたのすきまから千円硬貨と小さなコインがこぼれてきた。


「ああっ、小さなコインだ〜。これ、ちょうだい? お金いらないから」

「ええで」

「ええ、まあ。僕もそういう気長にコツコツ集めるの、性分じゃないんで」


 あはは……現実の蘭さんは超お金持ちだし、こっちの蘭さんも王子様だもんね。手に入らないものなんてないか。


 僕が小さなコインをひろってミャーコポシェットに入れていたときだ。

 なにやら人の話し声が聞こえた。


「ほんとに、こっちで間違いないのか?」

「この洞くつを出たところに峠を越える道があるはずです」

「早く国境を越えないと、追っ手がかかると面倒だからな」

「まったく、ブラン王もムチャをおっしゃる」

「おっと、その名をここで出すな。誰が聞いてるかわからないぞ」


 そのとき、僕らはちょうど、ミミックが宝箱のふりをしておさまっていた、岩壁のくぼみの部分に入りこんでいた。だから、僕らの姿はその会話の連中には見えていなかっただろう。無人だと思って、安心して秘密の話をしているのだ。


 それにしても、会話を聞いた蘭さんの顔色が青い。ハッと小さく息を飲む音が聞こえた。


 待てよ? ブラン王……どこかで聞いたことがあるような?

 ロラン、ブラン……そうか!

 この世界での蘭さんのお兄さんの名前だ。

 まさか、こんなところでお兄さんの名前を聞くなんて。


 僕は心配になって、岩壁の端っこから、ちょっとだけ顔を出してみた。

 前方のT字路のようになった、つきあたりの部分を、男が二人歩いていく。

 だが、それだけじゃない。

 二人は女の子を一人つれている。

 どうやら、女の子はロープで縛られた上、さるぐつわで口をふさがれている。


 人さらいだ!

 ブラン王の陰謀なのか?

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