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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
第二部 物語は動きだした 四章 再会の兄弟
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僕の宝箱……



 ミミック。

 それは今や万人が知るところとなった、宝箱に擬態ぎたいするモンスター。

 ほかのモンスターは著作権が関係するかなと思って、似たような造形をイメージしても、名前は微妙に変えてあったりするんだけど、コイツはもうスライム同様、いろんなゲームにこの名前で出てくるんで、ゲーム界共通の名称として見ていいと思う。


 大人の事情を長々と書いてしまった。


 気をとりなおして、ミミックだ。

 僕はふたをあけたばかりの宝箱を、ちろりと流し見る。

 ふたのすきまから、黄色く光る目が一対、こっちを見あげていた。


「出ーたぁー! バケモノー!」


 ミミックはムッとしたようだった。

 いきなり、僕の腕にガツンとかみつこうとする。


「燃えろ〜」


 蘭さんの呪文詠唱とともに、ミミックの口のなかに炎がとびこんでいった。ミミックがあわてて僕から離れる。

 そのすきに、僕はなんとかとびのいた。

 あっ、危なかった。腕、食いちぎられるところだった。


「ありがとう。ロラン」

「油断しないで。ミミックは『死んじゃえ〜』を使う手強いモンスターです」


 ああ、即死系魔法ね……。

 そうだった。

 コイツは危険注意モンスターなんだ。

 なんか『死んじゃえ〜』と言うと、ちょっと可愛いような気もするけど、くらったら、たまらない。


「なるべく早く倒さないと。でも、ミミックは素早いから、僕も二回攻撃ができない」

「よし。次はおれの番やな」


 三村くんはブーメランをなげた。

 が、ヒラリ!

 かわされたッ!

 コイツ、ほんと素早いぞ。回避率も高い。


 僕は蘭さんほど素早くないんで、ふつうの攻撃があたる気がしない。

 しょうがない。ここは、装備魔法だ。


「破魔の剣〜」


 何回やっても恥ずかしいな。

 まだ、これ、破魔の剣だからいいよ?

 もっと笑える名前の装備品だったら言えなくないか?

 たとえば、『変なおじさんの鼻メガネ〜』とかさ。

 絶対、戦闘に支障をきたす……。


 とにかく、小さな炎がポッと浮かびあがって、ミミックに命中した。ミミックはプルプルと体をふるわせている。でも、そんなに効いてる感じはない。


 ぽよちゃんは……。

 うん。あいかわらずの定番の“ためる”ね。お目々ギュッとして可愛いね。

 でも、速攻で倒さないといけないモンスター向きの攻撃ではない。


 さて、ミミックのターンだ。

 僕らは恐る恐る、願っていた。

 どうか、『死んじゃえ〜』だけは言わないでくれと。


 しかし、ヤツは唱えた。

「死んじゃえ〜!」

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