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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
第二部 物語は動きだした 四章 再会の兄弟
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アナコンダ戦!1



 緊張の高まっていく音楽。

 蘭さんが険しい表情で言った。


「前方に強いモンスターの気配があります。レベルは25くらい。たぶん、アナコンダですね」

「というと、お城でワレスさんが戦ってたやつ?」

「まさか。あれはスネークドラゴンって言って、れっきとしたドラゴンの一種です。今の僕らじゃ太刀打ちできません。でも、アナコンダなら、やってやれないことはないです」


 三村くんが不安そうな顔になる。

「中ボスやろ? 回復魔法必須やで。おまえら、MP残っとるんか?」


 僕はパラメータを見た。

 ヤバイ。最大値110のMPが、あと30しか残ってない。“元気になれ〜”が一回使用するのにMP3必要だ。つまり、十回しか回復魔法が使えない。

 ボス戦の場合、蘭さんは“みんな、がんばろ〜”を優先的に使う。つまり、回復役は僕しかいない。その上で毒攻撃……これは、かなりマズイかも。


「ど、どうする? ひきかえす?」

「それはできませんよ。ここまでに使った毒消し草の数を考えてください。帰り道にも同じ枚数が必要なら、どう考えても僕らは途中で全員、倒れますよ」


 それは、そうだ。


「行くしかありません」と、蘭さんは勇者らしい勇ましい顔つきで言いはなった。


「そうだね。どうせ倒れるんなら」


 僕の幸運で、なんとか奇跡が起こせないだろうか?

 どうか、ミノタウルス戦ほど過酷になりませんように。

 てか、猛ももっと戦ってくれェ。


「じゃあ、行きますよ?」

「う、うん」


 僕らは、そうっと小屋のほうへと歩いていった。

 すると、その直前、とつぜん木の陰から、スルスルっと、そいつがすべりだしてきた。


 赤と黒のシマシマの体。

 アナコンダ実物のカラーリングじゃないけど、そこはモンスターだから、しかたがない。


 出た。アナコンダ!

 しかも、お供に大ムカデを二匹したがえてる。


 また毒攻撃か……。

 僕らの毒消し草とMPがつきる前に、なんとか倒せますように!



 *



 蘭さんは迷ったようだが、次のターンも「みんな、がんばろ〜」と呪文を唱えた。蘭さんの笑顔が僕らのやる気スイッチを押しまくる。


 三村くんは勢いよくブーメランをなげた。僕が頭をゴツンとした大ムカデはブーメランの直撃を受けて、クタッとくずれおちる。アナコンダにはあんまり効いた感じがない。

 でも、これでお供はもう一匹だ。


 僕はさっきと反対方向に走った。

 残る大ムカデのカチカチ牙を鳴らす口元めがけて、剣をつっこむ。

 すぐに走りさろうとしたものの……むっ? ぬけない。剣がぬけないんですけどぉ!


 あせった僕の目の前にズルズルとアナコンダが口をあけて迫ってくる。

 やだよぉ。また、これ? また食われる? なんか長いモンスターとは僕、相性悪いなぁ。


 すると、そのときだ。

 誰かがタタタッと走ってきた。僕の前にとびだしてくる。

 猛だ。兄ちゃ〜ん。

 猛が立ちはだかると、アナコンダはなぜか萎縮いしゅくした。

 困惑ぎみに、かま首をフラフラ動かしている。


 そのすきに、猛は僕をひっぱって逃げだした。

 助かった。やっぱり頼りになるなぁ。長男は。


 そしてまた、自分のポジションに帰ってきた僕は、ぽよちゃんの行動に気づいた。なんか、さっきと同じだ。また目をギュウっとしたあと、少し嬉しそうになった。


 あっ、まだ大ムカデの攻撃が残ってたっけ。

 ムカデ、どこに行った?


 あわてて探した僕はギョッとした。

 蘭さんが心配そうに僕と猛を見てる。

 そのすぐ真うしろに、巨大なムカデが迫っていた。


「蘭さん、危ない!」


 ふりかえった蘭さんは、急いでとびすさった。が、ムカデの牙が足元をかすめる。蘭さんの顔色がまたたくまに青くなっていく。

 いけない。

 毒にやられたんだ。

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