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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
一章 異世界転移しちゃった
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出た出た、スライム〜



 扉には鍵がかかっていなかった。

 なんでモンスターが出るような場所あけっぱなしにしてるのかなぁ?


「さ、行きますよ?」

「は、はい……」


 蘭さんは意気揚々と地下道へとふみこむ。僕はそのあとを、へっぴり腰でついていく。

 暗い……けど、こういうダンジョンって、なんか都合よく松明で照らされてるよね。まだ最初のダンジョンだから、松明買うお金もないからかなぁ?


「と、ところでさ。蘭さんはお姫様なんでしょ? なんでお城から逃げだしてきたの?」

「政略結婚させられるからです」

「えッ? 結婚?」

「ええ。兄がいるんですけどね。僕と仲が悪いんです」


 うんうん。蘭さん、実のお兄さんと険悪だったな。複雑な家庭だからなぁ。


「そ、それで?」

「となりの国の国王と僕を結婚させて、領土を倍にしたいみたいなんですよね。そんな結婚、絶対、絶対したくないんで」

「そうだよね。でも、逃げだして、どうするの?」

「兄に王位を譲って引退した父がいる城まで行くんです。父に頼めば、そんな結婚はとりやめにしてくれます」

「そうなんだ。そのお城、遠いの?」

「街を出て森をぬけた湖のほとりです」


 うーん。RPGっぽい。いい感じ。楽しい夢だなぁ。


 話しながら歩いてると、急に音楽が変わった。えっ? いつから音楽かかってた? あれ? もしかして最初から、ずっと? 恐るべし。ゲーム感覚。BGM自然すぎ。


 そして、モニターに文字が浮かぶ。



 ——野生のスライムが現れた!——




 *


 薄暗い地下道に、プルプルとふるえる青いゼリー。

 うん。グミっぽいな。

 これか。これがあの有名なロープレゲー最弱のスライムかぁ。

 大きさはスイカくらい。

 つぶらな黒い瞳が可愛い。

 可愛いのに戦わないといけないのか……。

 ちょっと胸が痛むなぁ。


「かーくんさん。ぼーっとしてないで、戦いますよ?」

「は、はい」


 チャラララララララララ。

 チャチャチャン、チャチャチャン、チャチャチャンチャン!


 にぎやかなBGMに後押しされて、僕は木刀をかまえる。ドロボーだけど、このさい、しょうがない。他に武器ないし。スマホで戦うわけにはいかない。


 ごめんね。スラちゃん。行くよ? 叩くよ?


「えい!」


 ぽこ。


「ピキィー!」


 あっ、スライムが苦痛の表情に……。

 なんか悪いことしてる気分。

 あれ? でも、次の瞬間、スラちゃん、怒った。うわっ、反撃してくるんですけど。体あたりをかましてきたー! ノーッ! 僕はスライムアタックを受けて尻もちついた。


 や、ヤバイ。それなりに痛い。

 これはかわいそうとか言ってる場合じゃない。向こうはマジだ。このままでは、られる……。


「えい! えい!」


 ぽこ。ぽこ。


「ピキィー。ピキィー」


 反撃。タックル。タックル。

 いてて、イテ。


「えい! えい! えい!」


 ぽこ。ぽこ。ぽこ。


「ピキィー。ピキィー。ピキ……」


 あっ、目をまわした。

 かっ、勝ったー!

 僕はスライムに勝ったー!


 テロップが流れる。



 ——スライムを倒した。経験値3、三円を手に入れた——



 んん、三円かぁ。スライム、やっすいな。木刀代を稼ぐためには、スラちゃんを十七体、倒さないといけないのか。体力……もたないぞ?

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