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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
三章 勇者ご一行の旅
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ミノタウルス戦!4



 ミノタウルスの斧が目の前に迫る!

 ああ、もうダメだ。

 ここまでだったか。

 僕のゲームライフ。

 もうちょっと遊びたかったよ。

 兄ちゃんもいないし、やっぱり僕一人じゃ……。


 すると、そのときだ。

 何かが僕の前にとびだしてきた。

 三村くんか?

 いや、違う。もっと小さい。


「キュイーンッ!」


 ミノタウルスの斧を体で受けて、ボトリと地面に落ちたのは、ぽよぽよだ。僕らのあとについてきてた、あのぽよちゃん。


 みるみる赤い血があふれてくる。


「ぽよちゃんッ!」

「キュウ……」


 そうだった。すっかり忘れてたけど、蘭さんの得意技で仮の仲間になっていた、ぽよぽよ。


 なんで、こんなことを……。

 僕をかばってくれたのか。

 ごめんよ。ぽよちゃん。


 蘭さんの鞭が二度、鳴った。

 バシン、バシンとミノタウルスを強打する。

 最後にブーメランが、ミノタウルスの胴体の上を往復する。

 ミノタウルスは地に伏した。

 完全に失神している。


 なんか音楽がチャラチャラ鳴って、みんなレベルアップしたみたいだけど、僕はそれどころじゃない。


 血を流すぽよちゃんを前に、けんめいに「元気になれ〜」「元気になれ〜」とくりかえした。MPが底をつくまで。

 だが、ぽよちゃんは目をひらかない。


「ぽよちゃん……」


 蘭さんが僕の肩に手をおいて首をふる。

 僕はそれでも、あきらめきれない。


「ぽよちゃん。死んだんじゃないよね? そうだ。いやしの泉に戻ろう。MPを回復したら、また呪文が唱えられる」

「ムダですよ。だって、かーくん。笑ってないよ。呪文は記号の顔で言わないと」

「だって……笑えないよ。こんなときに」

「教会で蘇生してもらいましょう。このぽよぽよは、まだ僕らの仲間だ。だから、蘇生そせい魔法で生き返るかもしれない」

「わかった」


 ぽよちゃん。きっと君を生き返らせてあげるよ。待っててね。

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