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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
三章 勇者ご一行の旅
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ふたまたのさきには?



 しばらく歩いていくと、道がふたまたにわかれた。

 右。左。

 どっちに行くべきか?


「ロラン。どっちに行くの?」

「左ですよ。右の道は行き止まりなんだ」

「行き止まりか。宝箱とかないの?」

「あるのは鍵のかかった扉だけだよ。僕が手をあてても開かないんだ」

「扉?」


 僕はちょっと気になった。


「待って。僕らけっこう、このダンジョンのなかでは余裕で勝てるし、その扉の前まで行ってみてもいいかな?」

「いいですよ」


 というわけで、まずは右へと角を折れていく。

 何度か戦闘になった。

 でも、蘭さんのドラゴンテイルと三村くんのブーメラン、そして僕の破魔の剣で、なんなく撃退できた。今のところ、ぽよぽよは、そばでウロウロしているペットにすぎない。


 小銭もあいかわらず拾うけど、額はそれほど増えない。まあ、ある意味、異常なしという指標でもある。


 進んでいくと、入口にあったのとよく似た青い扉があった。


「ロラン。このさきは、どこにつながってるの?」

「さあ。僕も知りません。ただ、これまで、祖先のなかで一人だけ、そのさきに行ったことがあるって言い伝えられている人はいますが」

「ふうん。誰?」

「英雄王ソルティレージュです」


 ん? 英雄王……ソルティレージュ?

 んん。ソルティレージュは僕が書いた小説の主人公の一人だ。ワレスさんよりつきあいは短い。なぜなら、読みきり連作短編集なので、文庫一冊ぶんで完結してるからだ。


 ソルティレージュは悪魔なんだよなぁ。魔族なんだけど、高潔な性質のユニコーン。人間に化けてるときは白銀の髪の美青年。


 あの話には美女がたくさん出てくる!

 来い。来い。ソルティレージュ。

 おともの美女をひきつれてやってきてくれェー!


「その英雄王は、その後、どうなったの?」

「当時、人間界を侵略しようとしていた魔王を倒したあと、王国の姫と結ばれ、わが王家の始祖になったということです」


 なるほどねぇ。

 蘭さんの美しさは人じゃない血が入ってるからかもね。


 考えていると、足元にチャリンと金属が当たった。見ると、お金だ。それも、まだ見たこともない5万と書かれた金貨だ。


「あっ、五万円硬貨ですね。その上は十万円、五十万円、百万円まであります」と、蘭さん。


「な、な、なんで五万円?」

「きっと、この扉の向こうに、とんでもない強敵がひそんでいるからでしょう。境界上だから判定額があいまいになっているんです」

「そ、そっか」


 とにかく、今のところ鍵がかかってるし、どうにもならない。今の僕の行くべきところじゃないせいだろう。

 僕らは道をひきかえし、ふたまたのところまで戻っていった。



 *


 ふたまたの左手のほうへ進むと、少しさきに泉があった。噴水があって、そこから湧く清水を飲むと、疲れがすっかり、ふっとんだ。HPもMPも全回復だ。


「ああ、このまわりでレベルアップができるやつだぁ」

「ちょっとレベル上げといたほうがいいかもしれませんね。僕も、このさきには行ったことがないんです。なんだか、ここからさきに強い気配があるので」

「えっ……?」


 蘭さんの危険察知は絶対だ。

 今まで外れたことがない。

 ということは——


「もしかして、ダンジョンボス?」

「そうじゃないかと思います」

「どのくらい強いの?」

「離れてるので、ハッキリとはわかりませんが、レベルはたぶん20くらい。ミノタウルス……じゃないかと思います」


 ミノタウルスかぁ。

 会心の一撃をめちゃくちゃ、とばしてくるやつじゃないか。

 マズイぞ。僕はバグのせいで、クリティカル攻撃をまったく、かわせないんだよな?

 ヤバイ。それって僕の天敵だ。


「固定ボス?」

「じゃないかと」


 せめて、レベルをあげとこう。

 僕らは、いやしの泉を最大限に利用した。僕はレベル14に。蘭さんは17。三村くんは15になった。ワレスさんにいっぱいレベル上げといてもらってて、ほんとによかった。

 これなら、なんとかミノタウルスと戦える……かな?


 僕らは恐る恐る、出口へむかっていく。

 ドキドキドキ。

 前方が明るくなってきた。

 すると、そのさきに、やつがいた。

 頭にツノを二本生やした獣人。

 まちがいなく、ミノタウルスだ——

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