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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
十八章 ほろ布ください
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メロンソーダ味のスライム



 プルプルふるえるエメラルドグリーンのスライム。

 つぶらな瞳で可愛いなぁ。

 つまみ食いしちゃって、ごめん。


 森スライムはとつぜん、うにょんと伸びた。風船のようにふくらんで、変な形になっていく。


 あっ、思いだしたぞ。

 変身って技。

 そうだ。いっしょに出現した仲間モンスターの姿に化けるんだ。前に虹の谷にいた水スライムも使ってた。姿だけじゃなく、魔法やスキルなんかもマネするんだよな。


 森スライムが変身したのは、オラタンだ。澄んだエメラルドグリーンのオランウータンのできあがりだ。


「忘れてたよ。化けるんだった」

「オラタン、さっき行動パターンを見る前に倒しちゃったから、どんな技を使うのかわかりませんね」

「そうだね」


 話してる目の前で、森スライムの化けたグリーンオラタンは、「ヴォーッ!」と両腕をあげて叫んだ。


 うわッ。デッカイ声。ビックリした。

 あっ! ぽよちゃんが急にビクッとすくみあがった。そして、馬車にむかって走りこむ。


「ぽよちゃん?」


 見れば、ぽよちゃん、すっかり耳をふせてブルブルしてる。

 おびえだな。ステータス異常に、おびえってのがあった。

 以前、僕が動く死体に幻覚を見せられたときにかかったのも、この“おびえ”だったんだと思う。


「しょうがないね。他のメンバーで戦おうか。ロランの次の攻撃でやれるんじゃないの?」


 しかし、蘭さんは考えこんでいた。


「ねえ、かーくん。変身って技、パーティーの仲間の能力をそっくり写しとることができるんですよね?」

「そうみたいだね」

「じゃあ、僕らの仲間になれば、僕やかーくんの魔法や得意技もマネできるってことじゃないですか?」

「ん? それって……」


 もしかして、蘭さんのブレイブツイストや、みんなありがとうを使えるってこと?

 僕の傭兵呼びやつまみ食いや、なんならアンドーくんの隠れ身やトドメ、ケロちゃんのターン開始時自動石化とか?

 そんなの…………最強じゃないかッ!


「ロラン! 森スライム、仲間に欲しい!」

「ですよね!」


 次のターン。

 蘭さんの魅了が炸裂した!



 チャラララッチャッチャー!

 オラタンを倒した。

 火のグリーンを倒した。

 森スライムを倒した。

 戦闘に勝利した。

 経験値360を得た。

 270円を手に入れた。

 モンスターは宝箱を落とした。

 森の樹液を手に入れた。

 火のグリーンの記憶を手に入れた。

 森スライムが仲間になった。



 森の樹液というのは、琥珀こはくのことだ。おびえを無効にするようだ。ぽよちゃんは聴覚がいいから、大きな音がキライなんだな。あとで合成屋に行って、精霊のアミュレットにひっつけて、これをぽよちゃんに持たせよう。


 それより何より、森スライムがプルプルしながらついてくる。


「たのもしい仲間がまた増えたね!」

「あっ!」

「どうしたの? ロラン?」

「魅了のランクが上がりました! 魅了100%になったから、これ以上、成長しないのかなと思ってたけど。よかった……」


 どれどれ。

 蘭さんの得意技。


 魅了(ランク4)

 戦闘中、魅了状態になった敵を自由にあやつることができる。

 ただし、あやつられた敵モンスターは戦闘後、『ストーカー製造機』の影響を受けない。ボスにも有効。


 おおっ、ついにモンスターをあやつることができるように。

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