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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
十八章 ほろ布ください
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まだいた、オランウータン



 つかのま、涙が止まらなかった。


「ロラン。あんなことが二度と起きないように、絶対、僕らが魔王の進軍を止めようね」

「うん。僕はもう、どんなことがあってもくじけないよ」


 肩を叩きあってたんだけど、ウッホウッホと咳ばらいのような声が聞こえてくる。

 ん? あっ、まだ戦闘中だったっけ。

 オラタンと森スライムが、ぼーっと立ってる。森スライムはプルプルゆれてる。


「あっ、戦わないと」

「そうでした」

「僕のゼリーちゃんが待っててくれてる」

「じゃあ、オラタンからやっつけますよ?」

「お願い」


 蘭さんはふつうにムチをふるった。

 一、二、三回だ。

 ガブキングほどじゃないけど、モンスターの素早さが、これまでより上がってきてるみたいだ。蘭さんのステータスじたいがもっと上がれば、流星の腕輪の素早さ二倍効果が、また活きてくる。

 早くたくさん職業マスターして、ボーナス補正でステ上げないとな。


 オラタンは蘭さんのムチの前に倒れた。

 あとは森スライムだけか。

 僕は待ってるあいだも、ずっと足ぶみしてたんで、ぽよちゃんの素早さをぬいてしまっていた。ぽよちゃんが順番を待ってる。


 よしよし。じゃあ、ぽよちゃんの前にチューチューしよう。

 ランクアップしたから、三回吸えるんだよね。

 僕は「わ〜い、わ〜い」と言いながら、あたりを走りまわる。これ、何も知らない人には、僕が発狂したように見えるんだろうな……。


 充分、素早さが上がったところで、さっ、いざストローだ。

 チューチュー。

 チューチューチュー。

 も一回、オマケにチューチューチュー。

 うーん。森スライムはマスカットじゃないな。メロンソーダっぽい味だ。うまうま。

 攻撃はできなかった。

 素早さが上がりきってはいないらしい。


「じゃ、ぽよちゃん。お願い」

「キュイ〜」


 ぽよちゃんの通常攻撃。

 シャッ、シャッと青い軌跡が森スライムを襲う。キマった!——はずなんだけど、森スライムは倒れなかった。意外とHP高いのかな?


「かーくん。プルプルです! 森スライムは体をプルプルふるわせることで、受けた攻撃を拡散させ、ダメージを軽減してるんですよ」

「なるほど!」


 たしかに、ぽよちゃんの二連打を耐えるとなると、そうとう固くないといけないが、そうは見えない。固さ以外に原因があると考えられる。

 プルプルゆれることに、そんな秘密があったとは。


「じゃあ、最後はケロちゃんで」

「ケロ?」


 ケロちゃんは動けないようだ。

 そうか。さっき、たまりんが行動しちゃったから、僕らのターンが終わったことになったのか。

 森スライムだけ生き残っちゃったな。

 ま、いっか。

 どうせ、メロンソーダ味のスライムだ。たいした攻撃はできないだろう。

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