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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
三章 勇者ご一行の旅
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何かが、ついてくる



 破魔の剣に武器を持ちかえて、僕は地下の暗闇を歩いていく。

 先頭は蘭さんなんだけどね。

 パーティーのリーダーは勇者である蘭さんのようだ。


 男ばっかだなぁ。

 このパーティー。

 可愛い女の子の魔法使いとか入ってくれないかな?

 そう。僕らに不足してるのは魔法要員だ。物理攻撃にばっかりかたよりすぎてる。性別もかたよりすぎてる。


「せめて、ロランが女装してくれてたら、気持ちだけでもまぎれたのに」

「ドレスは動きにくいんです。戦闘中にドレスふんで転んだら、困るでしょ?」

「うーん。じゃあ、しかたないか」


 くだらないことを話しながら歩いていると、背後からヒタヒタと足音が……。

 何かが、ついてきてる?

 ま、まさか? だって、ここは王族しか入れないダンジョンだ。僕たち以外の人間なんかいるはずがない。

 人間じゃないなら、モンスターか?


「ねえ、ロラン。危険察知でモンスターが近くにいる感じしない?」

「いいえ。今はしませんね」


 じゃあ、この足音と気配はなんなんだ?


 薄暗い石畳の廊下。

 ヒタヒタとついてくる何者かの足音。

 こ、怖い。もしやホラーダンジョンに迷いこんじゃったんじゃないだろうね?


 トコトコトコ。


 ヒタヒタヒタ。


 トコトコトコ。


 ヒタヒタ……。


 やっぱり、空耳じゃない!

 ついてくる!


「ね、ねえ、なんか変な音しない?」

「変な音? そんなんせえへんで」

「よく聞いてよ。ほら、足音が」

「あっ、ほんまや」


 ヒタヒタ。ヒタヒタ……。


 僕らは立ちつくし、暗闇を見つめた。

 やがて、そこに赤く光る目が現れる——



 *


「ぎゃー! 出たー! オバケー! オバケ。オバケ。怖いよ。猛ぅー。助けて!」


 ところがだ。

 大騒ぎする僕の目の前に、何かがピョコンととびだしてきた。


「あっ……」

「なんや、こいつ?」

「ああ、そういうことか」


 三者三様のつぶやき。

 僕らは、ソレをながめた。

 嬉しそうに丸い尻尾をふりきる白いウサギを。いや、ただのウサギじゃない。ウサギ型モンスター。ぽよぽよだ。


「ん? もしかして、このぽよぽよ、さっきのバトルで蘭さんが倒したやつ?」

「そうです。僕の得意技の一つに、諸刃もろはの剣のような技があって」

「何、それ?」

「ストーカー製造機、です」


 忘れてた……。

 そうだった。

 このゲームでは現実の特技がそのまま個人のスキルになってるみたいだ。

 蘭さんの最大の特徴は、会う人を誰でもストーカーにしてしまうこと。現実では危険なだけの特徴なんだけど。


「子どものころからなんですよね。僕が戦闘で勝つと、モンスターがついてきたんです。次からの戦闘で仲間として、いっしょに戦ってくれるんですが、敵に倒されると、そのまま去っていきます。仲間のうちは敵じゃないので、危険察知では感知できなくて。こういうタイプのモンスターは邪魔にならないからいいけど、変に人型だったりすると、ついてこられると嫌じゃないですか」


 うーん。期間限定の魔物使いみたいなもんか。便利は便利だけど、たしかに盗賊とかと戦闘したあと、ついてこられると迷惑かも。


「とりあえず、ぽよぽよはつれていこうか?」

「そうですね」


 ぽよぽよ、ゲットだぜェー!


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