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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
十八章 ほろ布ください
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オリヤの村で



 北東にむかって草原を歩いていくと、やがて南北に走る街道に出た。

 どうやら隣国ウールリカとシルバースターを結ぶ道のようだ。

 オリヤもウールリカに近いらしいので、街道に乗って馬車は進む。


 道々はキツネッコやガブガブ草ね。

 キレイな蝶のモンスターも出てきた。虫嫌いの蘭さんが青い顔しながらも逃げださずに戦っていた。


 たまに以前、ボスで出てきたアナコンダの色違いが出現する。黄色と黒のシマシマもよう。ブンブンとセットで出てくることが多い。工事現場の危険注意コンビだ。


「わ〜い。今日もだいぶ吸えたなぁ。レベルも上がったし、早くほかの得意技も使えるようになってほしいんだけどなぁ」


 僕の“泣きマネ”と“逃げ足の速さ”は、まだ使えない。これまでの得意技がネーミングのわりにチートだったので、ちょっと期待してるんだけどなぁ。


 ちなみにレベルは24になった。

 その直後の数値がコレ。

 HP300(270)『181』、MP240(216)『68』、力102(92)『36』、体力103(93)『40』、知力121(109)『3』、素早さ100(90)『32』、器用さ113(102)『14』、幸運99998(89999)。


 そして、さっきからの戦闘でつまみ食いして、今の数値がコレだ。

 HP330(297)『211』、MP255(230)『83』、力110(99)『44』、体力107(97)『44』、知力121(109)『3』、素早さ109(99)『41』、器用さ113(102)『14』、幸運99998(89999)。


 職業が遊び人なんで、すべてのステータスにマイナス10%の補正がついちゃってるのが残念でならない。

 早く遊び人を卒業したいもんだ。


「あっ、かーくん。あれがオリヤ村じゃないですか? 屋根が見える」

「ほんとだ」


 森のなかに小さな家がポツポツと建っている。木造の家が風景のなかに溶けこんでいる。

 村のなかを歩く人たちはウールの織物の民族衣装を着ていた。じゅうたんっぽいとか思っちゃいけない。うん。


「こんにちは。この村に織物名人がいると聞いて来たんですが、ご自宅はどちらですか?」


 蘭さんが折り目正しくたずねる。

 けど、村人は、どの人も「うーん。うーん」とうなるばかりだ。

 なんだろなぁ?

 また何かあったのかなぁ?

 RPGの宿命とは言え、行くさきざきで必ず問題が起こるんだよな。

 そろそろダンジョンに入らないといけないころなんだろなぁ。


「あの、すいません。織物名人の家はどこですか?」


 僕は腕組みして寝てるみたいなおじさんの耳元で叫んだ。

 おじさん、やっと気づいてくれた。

 ハッと目をさましたふうで僕を見る。


「やっ、すまん。すまん。じつは北のウールリカから、もう長いことウールが届かなくなってしまったんでな。村人みんな困りはててるんだよ」

「ウールリカは魔物に襲われたって話ですよ。ウールリカから逃げてきたって人が言ってました」

「そうか。やっぱり、そうなのか。とすると、困ったことになった」

「何がです?」

「じつはその織物名人がたしかめに行くと言って、国境の関所に向かっていったんだ。かれこれ二日になるが帰ってこんのだよ」

「ええー! なんで止めなかったんですか? まさか一人で?」

「織物名人のオンドリヤさんはたいそう気短かで、言いだしたら聞かない人でなぁ」


 なるほど。今度は名人を助けに行かなくちゃいけないのか。

 しょうがない。馬車のためだ。

 いや、人命救助だ。


「わかりました。僕らが探しに行きます。関所っていうのは、どのへんなんですか?」

「森のなかを北にむかうと、国境の川があってな。そこに橋がかかっているんだが、関所があって、通行証がないと渡れないんだよ」

「名人は通行証持ってるんですか?」

「いや、ないよ。だから心配してるんじゃないか。まさかと思うが、魔物が出るっていう古いトンネルを通ったんじゃなかろうなぁ」


 まさかじゃないね。きっとそうだ。

 RPGあるある〜

 まあ、行くんだけどさ。

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