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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
十八章 ほろ布ください
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降ってきた鳥



 まあ、勇者の新しい力も得られたんで、よかった。よかった。

 僕らはウールリカと交流が深いっていうオリヤ村をめざす。


 オリヤ村はまだ一度も行ったことがない。ウワサ話でもくわしい位置は聞いてない。

 うん。ここは、“街の匂い”だ。

 商人がおぼえる職業スキル。

 クンクンすると、北のほうから人間の集落の匂いがする。真北じゃなく、北東かな? 海岸沿いに歩いていけばよさげ。


「よーし。じゃあ、オリヤの村をめざそう!」

「馬車、広くできたらいいですねぇ。僕、まだまだ、たくさんのモンスターを仲間にしますから」

「なんか可愛い子ばっかりだよね。仲間になるの。このさい、可愛いのでそろえてもいいかなぁ」

「僕もそのほうがいいですね。虫とか、魚とか、死体とか、気持ち悪いのはイヤ」


 馬車でワールドマップを歩くのは気分いいよね。

 広大な青空〜

 風になびく草原〜

 くるりと輪を描くトンビ〜

 トン……トンビが……。

 違うぞ? トンビにしては色がハデ。

 赤というかオレンジというかピンクというか。むしろ、レインボー? 虹色に輝く長い尾っぽの、やたらデッカイ太ったヒヨコ!


「あれ? ふえ子?」

「落ちてきますね」

「だよね。飛んでるように見えない……」


 クルクルとらせん状にまわりながら、ふえ子は僕らの真上に落下してきた。


「ピーっ! ピーっ!」


 あっ、落ちた。

 馬車のほろの上だ。

 まあ、あそこなら、ほろがクッションがわりになって無傷ですむだろう。


「おーい。ふえ子? 大丈夫?」

「ピー……」


 ふえ子は目をまわしていた。

 フェニックスの子どものふえ子。

 お母さんといっしょに、どこか遠くへ旅立ったはずなのに、いったいどうしたんだろ?


 しばらくして、ふえ子は気がついた。

「ピー! ピーピー。ピーククゥ……クルルゥ」


 スズランが馬車から顔を出す。

「お母さんがいない。お母さん、どこ?——と言っています。どうやら、はぐれてしまったようですね」


 すごいな。フェニックス語まで解するんだ。すべての生き物の言語を話せる巫女!


「ふえ子。お母さんと離ればなれになっちゃったんですね? よしよし。僕らといっしょに旅しよう。どこかでお母さんに会えるかもしれないしね」


 蘭さんが優しく抱きあげて、ほろからおろす。

 ふえ子も僕らを見て安心したようだ。いちおう、おぼえてくれてた。


 それにしても、ふえ子のお母さん、心配してるだろうなぁ。

 ふえ子、前も人間にさらわれてたし、フェニックスは灰や羽がバトルや病気の治療に使えるから、狙われやすいんだよな。

 今回も何かあったんでなきゃいいけど……。

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