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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
十七章 まだまだ鍛えよう
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大商人になりたい!



 僕は聞いてみた。

 こんなときしか、ワレスさんと話せない。いや、違うよ? ミーハーな気持ちからじゃないよ?


「僕も今、僧侶だから、戦士と盗賊をおぼえて、弓使いになれますか?」

「商人だったんだろ? なら、なれるだろう。むしろ、僧侶になれなくて断念するヤツが多い」


 そうなんだ。よかった。


「あっ、商人からなれる上級職ってありますか?」

「商人、盗賊、遊び人で大商人になれるんじゃなかったかな」

「ちなみに、それ、ワレスさんは?」

「ああ。マスターしたよ」


 この人、どんだけ職業マスターしてるんだ。職業集めるのが趣味なのかな?


「大商人になると、なんかいいことありますか?」

「戦闘勝利報酬が1.5倍になるな」


 それだけか! 後衛可能スキルみたいなスゴイのを期待したんだけど、そこまで美味しくはなかったか。ふつうの人なら喜ぶだろうけど、僕は外を歩けば金貨なんてザラザラ拾うしな。


 僕がガッカリしたのを察したのか、ワレスさんは笑った。


「モンスターのドロップする宝箱に複数の種類があるとき、必ずもっともレアなほうが手に入る。それと、ダンジョンに銀行員を召喚して、どこからでも貯金の出し入れができるようになる」


 なるほど。戦闘には役立たないけど、地味に嬉しいスキルばっかりだな。とくに銀行員呼びはありがたい。昨日みたいにお金をムダ使いしなくてすむからね。


 僕はそれだけでも満足だったんだけど、ワレスさんは恐ろしいことを言った。僕と相対するモンスターにとっては、死ぬほど恐ろしいことを、だ。


「それと、傭兵呼びの威力がパワーアップする。そのとき所持しているすべての金を払って、所持金の額のダメージを敵全体に与える『全財産なげうつ』という技が使えるようになる」

「えっ? 総額?」

「そう。総額」

「あの……僕、一回のダンジョン探索で二億円とか拾うんですが?」

「じゃあ、モンスターに二億ダメージだな」


 えへへ。へへ。

 二億ダメージだって。

 ふへへへへ……。


「僕、がんばって大商人になります!」

「ああ。がんばれ」


 二億ダメージなんて、ラスボスでも一瞬で倒せるんじゃないの?

 そのときの僕の勇姿を想像すると、もうヨダレが止まらない。

 人間って嬉しさのあまり壊れることもあるんだね。


「職業経験値は基本的には戦闘回数だ。ただし、モンスターが自分にくらべて弱くなりすぎると、どんなに戦っても習熟度が加算されなくなる。おまえたちのレベルなら、サンディアナ周辺あたりが楽に倒せて、習熟度をかせげるな。最初に到達したときからプラスレベル10くらいまでと考えるといい」


 なるほどね。弱い敵でよければスライム狩りでもいいことになっちゃうもんね。


「わかりました。明日からはサンディアナ付近で、職業ランクを上げる特訓をします!」


 僕はついでに、つまみ食いね。

 明日も楽しみだなぁ。

 どんどん強くなってく僕。


 だけど、そのとき、僕は気づいてなかったね。蘭さんの表情が沈んでることに……。

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