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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
十七章 まだまだ鍛えよう
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衝撃の職業スキル



 せっかく都に来たのに、まだ抽選もしてないし、カジノにも行ってない。

 ちょっと行ってみたいんだけど、あんまり遅いとアンドーくんたちに心配させてしまうかもしれない。夕食作って待ってるって言ってたしね。


 僕らは急いでお城の裏庭に帰った。

 王都は広大だからだろう。

 移動魔法の拠点が、ギルド前と王城前の二ヶ所あるのだ。ありがたい。

 さっと魔法で帰って、裏庭のわが家へ入る。


「ただいま〜」

「ただいま」

「お帰りなさい。お兄さま」

「かーくん。ロラン、お帰り」


 アンドーくんの手料理はなかなかのもの。すいとんの入った味噌汁と、天ぷら。ほかほかの五目ご飯だ。日本食だなぁ。


 みんなで夕ご飯をかこっていたときだ。

 外から玄関の扉をたたかれた。

 誰だろうと思っていると、入ってきたのはワレスさんだ。

 はぁ。いつ見てもカッコイイなぁ。美青年だ。


 ワレスさんは鋭利な刃物みたいな青い瞳で、つかのま僕と蘭さんをながめていた。


「なるほど。見違えるほど強くなったな。おまえは、とうぶん、今日と同じカリキュラムをこなしていればいい」というのは、僕に言ったんだろうな。

 蘭さんに対しては何も言わなかったから。


「ところで、銀晶石の巨兵との戦いぶり。悪くはないが、せっかく仲間の数が多いのに、あまり役に立っていないな」


 居間に入ってきて、ソファーに腰かけながら、ワレスさんは言う。

 戦いぶりって、見えたんだろうか?

 見えたんだな。

 いいなぁ。ミラーアイズ。


「そうですね。いつも同じメンバーでの戦いになります」と、僕は従順に答える。

 蘭さんはワレスさんのこと許してないからなぁ。しゃべらない。


「おまえたちのなかには、後衛援護スキルを持っている者がいないのか?」

「後衛?」

「援護スキル?」


 僕と蘭さんの声がそろった。

 さすがに蘭さんもしゃべったか。

 でも、質問するのは僕。


「なんですか? それ」


 ワレスさんは肩をすくめた。

 ああ、こういう仕草、似合うよね。

 僕も美青年に生まれたかった。


「やっぱり知らなかったんだな。これは冒険者というより、軍隊での戦法になるからな。職業のいくつかは、マスターすると後衛からの援護が可能になる。馬車のなかから魔法やスキルを使えるんだ」

「えッ? それじゃ、パーティーの行動人数が増えるってことですか?」

「ああ。ただし、後衛は補助と回復の魔法やスキルしか使えない。攻撃ができるのは前衛だけだ。例外的に弓使いは後衛からも攻撃できる」


 いやいや。攻撃ができなくたってスゴイよ。だって、今日の巨兵戦のとき、メンバーの誰かが後衛援護できてれば、石化されたぽよちゃんを治せてたってことになる。

 それに、たまりんは詩人だけど、詩人は補助スキルしか覚えないから、外では使いにくいんだよね。


「どうやったら、その後衛援護スキルってやつを覚えられるんですか?」

「詩人、踊り子、遊び人をマスターすると、詩聖という職につける。詩聖のマスタースキルが後衛援護可能だ。そのほかの職業からだと、盗賊、武闘家、魔法使いをマスターして、その上の弓使いになるかだな。弓使いのマスタースキルも後衛援護可能だ。弓使いの場合、個人によっては武闘家のかわりに戦士、魔法使いのかわりに僧侶でもなれるらしい」


 僕は急いでスマホにメモった。書き書き書き……。


「たまりんが今、詩人だから、たまりんにぜひ覚えてもらおうかな」

「魔法使いなら、僕やアンドーもなってますよ。アンドーは今、武闘家だし」

「そうだね。なれる職業は個人で違うから、みんなが覚えられるわけじゃないと思うけど」


 後衛援護スキルかぁ。

 それがあれば、ステータスの低いモンスターや女の子が、馬車のなかから戦えるようになるね。

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