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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
第六部 ミルキー城の決戦にむけて 十六章 まず鍛えよう
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美少女の石像



 僕らがベベロンさんを石にすると、銀ちゃんはおとなしくなった。



 チャララッチャチャー!


 銀晶石巨兵を倒した。

 経験値2000を手に入れた。

 2000円を手に入れた。

 銀晶石巨兵は宝箱を落とした。

 銀晶石のハープを手に入れた。



 銀晶石のハープ?

 そんなのないんですけど?

 お金は銀ちゃんが自ら、ププッと吐きだした。

 どうやら、僕らのことを認めてくれたようだ。


「銀ちゃんはこの像を持っていかれないように守ってたんだね。ごめんよ。わかってたら攻撃しなかったんだけど」


 銀ちゃんは首をクルクルと二回まわした。いいよ、いいよと言ってるようだった。


 蘭さんが思案する。


「この像、どこか別のところから運ばれてきたんじゃないですか?」

「そうだね。もとに戻しておこう」


 あたりを見まわすと、奥の壁にくぼみがあって祭壇のようになっている。

 僕と蘭さんは力をあわせて、そこまで台車を運んでいった。石像を祭壇に置き、布をとりはらう。

 なかから、ものすごい美少女の像が現れた!

 おおー! 美しいですねぇ。

 美しい……でも、なんだろ?

 誰かに似てる。

 以前に見た幻のたまりんに……?


「なんで、こんなところに石像があるんでしょうね? ここは古代の遺跡みたいだけど。古代にあがめられた女神の像でしょうか?」


 蘭さんの言葉に、僕は答えることができない。

 僕にも真実はわからない。

 かつて、この場所がなんだったのか。

 でもきっと、古い時代の大切な何かだったんだろうな。

 宗教上の神殿のようなところだったのかも?


 あれ?

 神秘的な銀晶石の像を見つめる僕らのよこを、なんかフワフワしてる。

 あっ、たまりんか。ビックリした。火の玉かと思った。いや、火の玉だけど。


 すうっと奥の祭壇のほうへ、たまりんは飛んでいく。


「……たまりん?」


 たまりんは銀ちゃんの肩の上を飛びこえ、祭壇のなかへ入った。


 たまりーん? 帰ってきなよ。

 キレイな石像だからって、そんな近くで見てたら、また銀ちゃんが怒るよ?


 と思って見てたら、ああー!

 たまりんが、たまりんが消えた?

 いや、石像のなかに入りこんだ?

 胸のあたりが、ぽうっと光ってる。

 その光がどんどん大きくなって、石像全体を包んだ。

 なんだか石像が……目の錯覚か?

 光のなかでそれは石ではなく、人の姿になっていた。

 やっぱり、あのときのたまりんだ。

 巻き毛の金髪の薄紫色の瞳の美少女。

 人間っていうよりは妖精みたい。


「かーくん。ここまで来てくれて、ありがとう。あなたやお兄さんや、ほかの多くの人たちをこの世界に呼びよせたのは、わたしです。今、この世界は滅びの道を歩み始めています。それを止めることができるのは、この世界にはない力を持つあなたがたです。どうか、世界を救ってください。あの人の呼びよせる滅びの火が、すべてを焼きつくす前に。あの人の心に巣食う憎しみの炎を消しとめてください。どうか……お願い……」


 ぽわーっと、像から光が失われていく。

 フワフワと、たまりんが出てきた。

 うーん? 今のは?

 たまりん? たまりんのほんとの姿?

 それとも、たまりんはただの得意技を使っただけ? 憑依ひょういからのあやつるで像の記憶を僕らに見せてくれた?


 てかさ。

 大事なのは、そこじゃないのか?

 今のがほんとなら、僕と兄ちゃんはこの世界の誰かに、異世界召喚されたってことなのか?

 ただの夢じゃなかったのかなぁ……?

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