銀晶石巨兵戦!5
今度こそ、銀ちゃんもノックアウトでしょ?
と思ったんだけど、銀ちゃん、バラバラになりながらも腕がモソモソして、ミダスタッチをやった。
銀ちゃん、復活ー!
「傭兵呼び〜!」
銀ちゃん、復活ー!
「傭兵呼び〜!」
銀ちゃん、復活ー!
「傭兵呼び〜!」
これを何回くりかえしたことだろうか?
銀ちゃん、あきらめないな。
一回で傭兵呼び、三百万も払うからさ。あんまり呼びたくないんだけど。
「ああー! せっかく拾ったお金が三千万も減ってしまったー!」
「所持金を銀行に預けないと、傭兵呼びの金額を減らせないですもんね」
「そうなんだよ。銀ちゃん、しつこい!」
「あのゴーレム。何かを守りたいんじゃないですか?」
「あっ、そうか。ゴーレムって何かを守るために造られるんだもんね」
僕らはまわりをキョロキョロしてみた。
ん? もしかして、アレか?
銀晶石巨兵の背後に、布でくるまれたミイラみたいなものが置かれている。
台車に載せられて、今にも運びだされようとしていたみたいだ。
僕らがそれに近よろうとすると、銀ちゃんはフルスイングアームアタックをかましてくる。
「やっぱりそうだ。アレを守ってるんだよ」
「そうですね。いったい、何を守ろうとしてるんでしょうね?」
「あの状態、誰かが持ち去ろうとしたんだよね? ベベロンさんじゃないかな?」
「僕もそう思います」
つまり、ベベロンさんがゴーレムの大切なものを盗もうとしたから、怒って反撃してきたんだ。
僕らのこともドロボーだと勘違いしてるんだな。
「銀ちゃん! 僕らは君の大切なものを盗んだりしないよ。ベベロンさんをつれだしたいだけ。だから、もう戦うのよそうよ?」
銀ちゃんは聞いてくれない。
フルスイングアームアターック!
まあね。今までさんざん三百万ダメージくらわせてきたんだから、怒るよね。
「腕でさわれないように、かーくんの『傭兵呼び』の直後、両腕だけ隔離してしまったら、復活できないんじゃないですか?」
「そうだね。ミダスタッチを無限にできるんだとしたら、僕の所持金もさすがに、いつかは底をつくし」
話していたときだ。
うーんと、うなり声をあげて、ベベロンさんが目をさました。そう言えば、この人、カンオケになってなかったから、完全に戦闘不能にはなってなかったんだな。
「あっ、くそ! ゴーレムめ。アイツさえいなけりゃ、あの像が運びだせるのに」
僕は思わずたずねた。
「像ですか?」
「そうだよ。そりゃもうキレイな女の子の像なんだ。全身が銀晶石でできてるんだぜ? あれなら高く売れる」
うーん。欲に目のくらんだ人間って、みにくい。
それにくらべて、自分が何回こわれても、必死に像を守ろうとするゴーレムのなんてけなげなことか。
僕はため息をついた。
この人を助けにきたんだけど、なんか、ほっとけばよかったかななんて思ってしまう。だけど、この人のことを心配して待ってる家族がいるんだよな。
しょうがない。
僕はケロちゃんをダッコして、ベベロンさんに近づいていった。
「ケロちゃん。なめちゃっていいよ」
「ケロケロ〜!」
ベロンと伸びるカエルの舌。
ベベロンさんは石になった。
悪いけど、街に帰るまでそのままでいてもらおう。