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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
第六部 ミルキー城の決戦にむけて 十六章 まず鍛えよう
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銀晶石巨兵戦!5



 今度こそ、銀ちゃんもノックアウトでしょ?

 と思ったんだけど、銀ちゃん、バラバラになりながらも腕がモソモソして、ミダスタッチをやった。


 銀ちゃん、復活ー!


「傭兵呼び〜!」


 銀ちゃん、復活ー!


「傭兵呼び〜!」


 銀ちゃん、復活ー!


「傭兵呼び〜!」


 これを何回くりかえしたことだろうか?

 銀ちゃん、あきらめないな。

 一回で傭兵呼び、三百万も払うからさ。あんまり呼びたくないんだけど。


「ああー! せっかく拾ったお金が三千万も減ってしまったー!」

「所持金を銀行に預けないと、傭兵呼びの金額を減らせないですもんね」

「そうなんだよ。銀ちゃん、しつこい!」

「あのゴーレム。何かを守りたいんじゃないですか?」

「あっ、そうか。ゴーレムって何かを守るために造られるんだもんね」


 僕らはまわりをキョロキョロしてみた。

 ん? もしかして、アレか?

 銀晶石巨兵の背後に、布でくるまれたミイラみたいなものが置かれている。

 台車に載せられて、今にも運びだされようとしていたみたいだ。


 僕らがそれに近よろうとすると、銀ちゃんはフルスイングアームアタックをかましてくる。


「やっぱりそうだ。アレを守ってるんだよ」

「そうですね。いったい、何を守ろうとしてるんでしょうね?」

「あの状態、誰かが持ち去ろうとしたんだよね? ベベロンさんじゃないかな?」

「僕もそう思います」


 つまり、ベベロンさんがゴーレムの大切なものを盗もうとしたから、怒って反撃してきたんだ。

 僕らのこともドロボーだと勘違いしてるんだな。


「銀ちゃん! 僕らは君の大切なものを盗んだりしないよ。ベベロンさんをつれだしたいだけ。だから、もう戦うのよそうよ?」


 銀ちゃんは聞いてくれない。

 フルスイングアームアターック!

 まあね。今までさんざん三百万ダメージくらわせてきたんだから、怒るよね。


「腕でさわれないように、かーくんの『傭兵呼び』の直後、両腕だけ隔離してしまったら、復活できないんじゃないですか?」

「そうだね。ミダスタッチを無限にできるんだとしたら、僕の所持金もさすがに、いつかは底をつくし」


 話していたときだ。

 うーんと、うなり声をあげて、ベベロンさんが目をさました。そう言えば、この人、カンオケになってなかったから、完全に戦闘不能にはなってなかったんだな。


「あっ、くそ! ゴーレムめ。アイツさえいなけりゃ、あの像が運びだせるのに」


 僕は思わずたずねた。


「像ですか?」

「そうだよ。そりゃもうキレイな女の子の像なんだ。全身が銀晶石でできてるんだぜ? あれなら高く売れる」


 うーん。欲に目のくらんだ人間って、みにくい。

 それにくらべて、自分が何回こわれても、必死に像を守ろうとするゴーレムのなんてけなげなことか。


 僕はため息をついた。

 この人を助けにきたんだけど、なんか、ほっとけばよかったかななんて思ってしまう。だけど、この人のことを心配して待ってる家族がいるんだよな。


 しょうがない。

 僕はケロちゃんをダッコして、ベベロンさんに近づいていった。


「ケロちゃん。なめちゃっていいよ」

「ケロケロ〜!」


 ベロンと伸びるカエルの舌。

 ベベロンさんは石になった。

 悪いけど、街に帰るまでそのままでいてもらおう。

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