表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
第六部 ミルキー城の決戦にむけて 十六章 まず鍛えよう
248/377

銀晶石の森の謎



 それにしても、これだけ戦っても、ちっともスライムの謎も解けないし、行方不明の息子も見つけられないなぁ。


 考えながら、森のなかを奥へ奥へと進んでいく。

 あっ、またスライムが出た。

 ほんとによく出るなぁ。



 スライムA〜Fが現れた。

 スライムAは逃げだした。

 スライムBは逃げだした。

 スライムDは逃げだした。



 出た瞬間に半分逃げていく。

 僕らは残りのスライムに必死で追いすがり、抱きつく。


 待ってェー。逃げないで。

 僕のプルプルゼリーちゃん。

 ストローチューチューさせてぇー。

 ……ヘンタイだな。僕。


 そのときだ。

 馬車から、ぽよちゃんがとびだした。

 なんだろ?


「キュイキュイ?」

「ピキぃー?」

「キュイ〜」

「ピー」


 あれ、ぽよちゃんがスライムCと話してる。両手をスライムのほっぺにあてて、なんとなく再会を喜んでるふうに見えた。


「ぽよちゃん、知りあいなの?」

「キュイ〜!」


 そういえば、ぽよちゃんって最初に会ったとき、スライムといっしょに戦闘に出てきたよね。


「そうか。始まりの街付近にいた友達なんだね?」

「キュイ!」


 ぽよちゃんの友達か。

 ということは、もしかして……。


「ここにいるスライムたち、みんな、もともとは始まりの街付近にいた子?」

「そうかもしれませんね。レベルも低いし、このあたりに生息してるモンスターとは思えない」

「キュイ、キュキュイ、キューイ」


 ぽよちゃんが説明してくれるんだけど、さすがにわからない。


 困っていると、ぽよちゃんは急に、うしろ足立ちになり、前足でガオーッというポーズになった。

 お、怒ったんだろうか?

 いや違うぞ。

 そのあと小さくなって、プルプルふるえだした。そして、泣きながら逃げだしていく。


「あっ、わかった。つまり、始まりの街の近くに強い魔物、かな? そういうものがいて、怖くて住んでいられなくなったから、スライムたちはみんなして逃げてきたってことなんだね?」

「キュイ〜」


 かしこいなぁ。ぽよちゃん。ボディーランゲージができるとは。


「ということは、この森がどうこうでスライムが急増したわけじゃないんだ。異変が起こってるのは始まりの街のほうか」


 たぶん、ミルキー城が悪のヤドリギに占拠されてることと関係してるに違いない。出現モンスターも以前とは、ガラリと変わったのかもしれないな。


「じゃあ、かーくん。これでスライムの謎は解けましたね」

「そうだね。でも、あの変な名前の行方不明者が見つからないねぇ。えーと、ペペロンチーノみたいな」

「ベロベロじゃなかったですか?」

「ベロベロはなくない? 人の名前として、どうかと思うよ?」

「えっ? そう?」

「だって、ロランがベロベロって名前つけられたら、どうする?」

「そんなの、イヤ!」

「だよね」


 なんか、もうちょっとマシな名前だった気がするんだけど。


「あれ? なんだろう? あそこにあるの、洞くつじゃないですか?」


 とうとつにロランが差し示したので、見ると、たしかに巨木の裏に洞穴が隠れていた。

 怪しい……。

 あそこに行けば、行方不明のベロベロなペペロンチーノがいるのでは?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ