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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
第六部 ミルキー城の決戦にむけて 十六章 まず鍛えよう
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あきらめる



 ターン開始時、ケロちゃんの自動石化攻撃! ただし、狙われたのは僕ね。


「け、ケロちゃん? 僕、味方なんだけど?」

「ケロ?」


 ダメだ。ケロちゃん、見えてない。

 これはマズイぞ。今のメンバーは僕もロランもバランも、装備品のおかげで状態異常にならないけど、装備が整ってないメンバーがやられたら、仲間なのに石にされてしまう。

 ケロちゃんも早期に状態異常にならない装備にしとかないと、こっちが怖いよ。


「なるほどね。たかが目くらましって言っても、同士討ちになることもあるんだ」

「状態異常にならない装備って大事ですね」

「ケロ?」

「あっ、ケロちゃん。僕のこと、なめないでくださいね」

「ケロ?」

「いや、僕のこともなめないでよね」

「ケロケロ?」


 ダメだ。ケロちゃん、すっかりパニックになってる。


 そんなことを話していたときだ。

 急に「わあッ」と向こうのほうから悲鳴が聞こえてきた。


「どうする? 僕らも戦闘中なんだけどな」


 蘭さんは思案した。


「ちょっと、ゴーレムと交渉してみましょう」

「えっ? できるの?」

「わからないけど」


 蘭さんは銀晶石のゴーレムを真正面に見つめる。


「悪いんだけど、さきを急ぐから、戦いを待ってもらってもいい? あとで帰ってくるよ」


 そう言って、悲鳴の聞こえるほうに歩きだす。

 ゴーレムはつかのま、戸惑うように固まっていた。が、そのうち、テロップが流れる。



 銀晶石のゴーレムは戦いをあきらめた。

 引き分けとなった。

 銀晶石のゴーレムが仲間になった。



 えッ! あきらめるってアリ?

 そんなことで仲間になっていいの?

 やっぱり魅了の一種?

 ズルイ。なんかズルイ気がするけど、これも得意技のうちだ。


「銀晶石のゴーレムだから、銀ちゃんかな?」

「えっ? それはちょっとダサくありませんか?」

「えっ? ダメ?」

「ダメっていうか」

「ええ? いいと思うんだけど」

「ケロ?」

「ああっ、ケロちゃんはもう戦闘終わったから、なめないでね」

「ケロケロ」


 にぎやかに話しながら、悲鳴のほうへかけていく。

 何事かと思えば、ダルトさんたちだ。


「なんだ! こいつは。こんなやつ、これまでこの森にはいなかったぞ?」


 見れば、そっちも銀晶石のゴーレムと格闘中だ。見るからに悪戦苦闘してる。パーティーの全員が目くらましにかかって、好き勝手に武器をふりまわしてる。

 うーん。装備品って、大事だね……。


 あげくのはてに、ダルトさんはあの禁句を叫んだ。

「賭けてみる〜?」


 ああ……全滅しちゃったよ。

 あの人たち。


 人間が次々とカンオケになっていくさまを、僕らは見つめた。

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