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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
第六部 ミルキー城の決戦にむけて 十六章 まず鍛えよう
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強くなるぞ〜



 翌日——

 さて、起きてきましたよ。

 僕の部屋には、ぽよちゃんとバランがいて、白いのと黒いのと、ぽよぽよにかこまれて目ざめる。

 うーん。ぽよぽよだまり!


「ぽよちゃん、くぽちゃん、バラン、おはよ〜」

「キュイ〜」

「キュイ」

「おはようございます。かぐわしき花の香ただよう、よい朝ですね」


 今日の予定はギルドに行って、合成屋のおばあさんの仕事依頼を受けてから、特訓のついでに銀晶石をとってくる。街に帰ったら合成。

 これで、どんどん強くなれるねぇ。


 居間に行くと、すでにほかのメンバーは集まっていた。


「かーくん。銀晶石の森に行くんですよね? 僕も同行していいですか? 魅了の特訓したいので」

「いいけど……仲間モンスターが増えすぎない? スライムばっかりに……」

「モンスターおじいのところに送るしかありませんね」


 そりゃそうだ。馬車のなかがスライムだらけになったら困る。


「かーくん。ロラン。今日は市場に行って買い物すうけん、わはやめとくわ。帰ったら畑作りもしたいけん」

「あっ、じゃあ、わたしも残ります」


 えっ? スズランさん……?

 なんで僕をさけるのぉ?

 嫌われてるのかなぁ?


 まあ、しょうがない。

 気になるけど、しょうがない。

 人間は僕と蘭さんだけ。

 モンスターをごっそりつれて、お出かけだ。


 ギルドに行くと、さっそく仕事斡旋所に。

「こんにちは。合成屋さんの依頼を受けたいんですけど」


 受付のおじさんは……これもサンディアナにいたおじさんにそっくりだね。ヒゲはふさふさ、頭はピカピカのマッチョ。


「おう。依頼、受けてくれるのか。ありがとよ。ところで、合成屋の依頼なら、銀晶石の森へ行くんだろ? あの森に関する依頼がほかにもあるんだが」

「どんなのですか?」

「一つは、スライムが異常増殖してるから心配だ。原因を調べてほしい」

「原因かぁ。解明できるかわからないけど、いちおうようす見てきますんで、受けときます」

「おう」

「ほかは?」

「もう一つは、息子のベベロンが銀晶石をとりに行ったまま帰ってきません。どなたか探しに行ってきてください」

「ふうん。じゃあ、それもいちおう受けときます」

「よろしく頼んだぜ」


 と、話していたときだ。

 出入口の扉があいて、誰かが入ってきた。ふりかえると……ああ、めんどいなぁ。ダルトさんだ。キルミンさんもいる。ほかの二人は知らない人。


「おい、ヤット。合成屋がまた依頼、出してるんだって? おれさまたちが受けてやるぜ」


 ものすごい上から目線で、ダルトさんは言いはなった。

 まあ、出てくるモンスターがスライムだけなら、彼らでも充分、倒せるに違いない。


「その依頼なら、たったいま、この人たちが受けてくれたよ」と、受付のおじさんが答える。おじさんはヤットさんって言うのか。


 ダルトさんは僕らを見て不機嫌になった。


「またおまえか。おれたちの足をひっぱるなと、あれほど言っただろう」


 いやいやいや。足ひっぱったの、あんたでしょ? まだ無敗の僕らを、あやうく全滅にさせるとこだったよ?

 いくら、事なかれ主義の僕でも、さすがに怒っちゃうよ?


「合成屋の依頼はいつも、おれたちが受けてるんだ。よそ者は手出しするな」

「そんなこと合成屋のおばあさんは言ってなかったですよ。あなたこそ、変な言いがかりつけないでください」

「なんだと。このガキ」


 いや、成人してるんですけど……。


「まあまあまあ」と、あいだに入ったのは、ヤットさんだ。

「この依頼は何人でも受けれるんだから、いいじゃないか。二人とも、それぞれに受ければ」


「まあ、そうですね。僕らはただのついでだし」


 正直言うと、僕はダルトさんのことをまったく意に介してなかった。

 あの戦いぶりを見たあとじゃ、本気で相手にするのがバカらしい。むしろ、哀れ。

 どうやって冒険者ランクAになれたのか不思議でならない。


 そういうのが態度に出てたのかな?

 ダルトさんは憤激で顔を真っ赤にして言いはなった。


「よし。勝負だ。日没までに、どっちがより多くの銀晶石を持ち帰るか競争しようじゃないか」


 勝手に決めつけて、ドカドカと足をふみならして去っていく。

 あーあ。めんどうなことになっちゃったなぁ。

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