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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
第六部 ミルキー城の決戦にむけて 十六章 まず鍛えよう
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お城のわが家



 ギルドを出て、ボイクド城へ帰ったころには、あたりはすっかり暗くなっていた。


 預かり所にも予備のアイテムを預けてきたし、ギルドに寄付もした。三百万寄付したけど、それでもまだ手元に百万以上残った。


 湯水のように湧いて出てくるお金。

 現実に持って帰れたら……いや、いいんだ。人並みの幸せはつかんでる。少なくとも真夏にクーラーのなかでアイス食いながら、ダラダラ休日をすごすことくらいはできる。


 ギルドを出てから、蘭さんのようすが沈んでる。街灯に浮かぶ白皙には憂いの影が。


 しょうがないよね。

 お兄さんが魔物にあやつられてるんだから。自分の国を追われて、お父さんとお母さんの行方も知れないし。


 お城の門をくぐって前庭に入る。

 前庭には、かがり火がたかれてる。

 僕らの部屋はどこかなぁ?

 この前、けっきょく部屋を教えてもらう前に出発しちゃったから。


 でも、たぶん、本丸の東側付近なんだと思う。クルウが部屋に案内すると言いながら、そっちにむかって歩いてたから。


 そのあたりに行くと、出入り口の前に僕の英雄が立っていた。もちろん、ワレスさんね。


「やっと帰ってきたか。クルウから事情を聞いた。疲れてはいるだろうが、今後のことについて重要な話がある。勇者に来てもらおうか」


 ああ、心配だなぁ。

 蘭さん、一人にしてもいいのかな?

 今、気落ちしてるから。


 スズランもそう思ったのか、

「わたしも行きます。わたしは祈りの巫女。勇者の妹です」と言いだした。


「いいだろう。二人は来てくれ」


 美しい三人がそろって去っていく。

 見ため美男美女カップルと、その妹だよ。またはワレスさんが両手に花をかかえてる?


「じゃあ、僕らは部屋に帰る? 部屋どこだろ。お腹へったよねぇ。食堂の位置はわかるよ」


 ボイクド城の設計したの僕だからね。


「まあ、待ちなさい」と、呼びとめたのは、もちろん、アンドーくんじゃない。

 クルウだ。

 いたんだ。


「あなたがたのことは兵士たちには秘密にしておきたいのです。こちらへ来てください」


 つれられていったのは裏庭だ。

 前に花壇を貸してもらった場所ね。

 裏庭は広いので、一部はちょっとした森みたいになってる。

 そのなかにロッジ風の小さな一軒家があった。


「ここなら周囲の目を気にする必要はないでしょう? 外からもちょくせつ帰れるし、裏には庭や井戸もある。馬車を置くこともできる」


 おおっ、たしかにいい。

 自由に出入りできるのもいいし、田舎の別荘風なのもいい。居心地よさそうな家だ。

 アンドーくんも、ぽよちゃんも嬉しそう。


「ああっ、ここに畑作ってもいいだぁか?」

「ピュイ〜ピュイピュイ」

「……ま〜」


 ん? クマりん、またしゃべった?


「食事はどうしたらいいんでしょう?」

「庭師たちの食堂に行ってもいいし、ここで自炊してもいい。街で外食をしてもかまいませんよ」

「わかりました。ありがとうございます」

「ご入り用のものがあればおっしゃってください」

「は〜い」


 僕を見て、くすくす笑いながら、クルウは立ち去った。

 どうせ、ぽよぽよですよぉー。

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