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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
十五章 やっと再会
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A Aな情報



 ほかにも知りたい情報はあるにはある。けど、なんだか外が暗くなってきた。

 そろそろ、ボイクド城に向かわないと。

 なので、最後に一つだけ聞いてみる。


「僕、ダブルAランクになったんですけどね。ダブルAで聞ける一番高額な情報ってなんですか?」


 たしか、前にランクCだったとき、ルベッカさんにこの質問をしたときは、情報料は二千円だったはずだ。ランクが三つも昇格してるから、金額も上がってるだろうな。それだけ耳よりな情報に違いない。


「へえ。ダブルAはなかなかのもんね。今なら五万の情報があるわ」

「はい。五万円」

「…………」


 ラベッカさんは僕の手渡した五万円玉を見つめた。


「ふっ。やるじゃない。この金額をサラっと出せるなんて、ダブルAランクは伊達じゃないってことね」


 いや、どっちかっていうと、すべてお金の力ですけどね。

 小銭拾いが、まさか、ここまでチートな技だとは、最初は自分でも思ってなかったなぁ。


「じゃあ、話すけどね」

「はい!」

「あたしの知りあいが先日、ミルキー城に潜入したんだ」

「えっ? ミルキー城?」


 蘭さんのお兄さん、ブラン王の城だ。

 僕らが逃げだしてきた始まりの街でもある。

 なんてタイムリーな情報。

 それは今、一番、知りたいことだ。


「ミルキー城って魔物に占拠されてるってウワサがあるじゃないですか。よく潜入なんてできましたね」

「まあ、どこの国にもいるんだよ。スパイっていうの? そいつから、ちょくせつ聞いた話さ」


 そ、それは期待できる!


「ブラン王のようすが日に日におかしくなってるって話は以前からあった。城内にもあきらかに魔物っぽいのがウロついてるし、人相のよくないヤツらも出入りしてる。それで、知りあいはブラン王を見張ってた。ブラン王は夜になると、どっかに消えるんだ。つけていくと、一人で地下に行って、変な鏡の前でブツブツ話してるんだって。そのうちブラン王の口から、ぼうっと黒いものが出てきて鏡のなかへ入っていく。すると、王は気を失ってしまうんだってさ」


「鏡……」


 つぶやいたのは、蘭さんだ。

 何か思いあたるふしがあるような顔つきだ。


 しかし、ラベッカさんは蘭さんがブラン王の弟だとは知らないので、そのまま話を続ける。


「そのとき鏡に映るブラン王の顔が、まるで邪悪な魔物みたいだったって」


 ブラン王が悪のヤドリギにあやつられてるのは間違いないだろう。

 そのことと鏡が関係あるんだろうか?


 情報屋を去ったあと、蘭さんは言った。


「僕が生まれる前のことなんだけど、兄上の母上がまだ生きてたころに、遠い外国からやってきた商人が、それは立派な鏡を献上したらしいんです。兄上の母上はその鏡をとても気に入っていた。だけど……その鏡が来てから、急に健康が優れなくなって、お亡くなりになってしまった。それで鏡は不吉なものとして、地下にしまわれたと聞いたことがあります。もしかしたら、その鏡のことかもしれない」


 不吉だけど、母の形見の品でもある鏡か。

 ブラン王なら、その鏡を母の代わりと思って、毎晩、話しに行くってことはあるだろうな。

 でも、その鏡がもしも、ほんとに不吉なものだとしたら?

 何かいわくがあるんじゃないだろうか……?




 第五部 完

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