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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
二章 シルキー城の一夜
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五千円獲得〜



 蛇のような竜のようなモンスターの首が、ズルズルと切り口にそってすべり、そのまま床に落ちる。

 石畳の床にあたって、ポキンと牙が一本折れた。牙だけでも四、五十センチはある。見ため象牙だ。


 ワレスさんはそれをひろって、首からさげた銀の懐中時計のふたをあけると、そのなかに牙を押しこんだ。


 えっ? ムリでしょ。入らないよと思ったものの、ちゃんと入った。入るんだ。そうか。それが、あなたの四次元ポケットなんですね。


「おれは、これだけでいい。金はやるよ。旅費が必要だろう?」

「竜の牙は武器素材ですからね。今の僕らが持っていても、しかたないものだ」と、蘭さん。


 そうなんだ。武器素材ってことは売るか、武器を作るかってことか。


 それにしても五千円もの大金、どこに? いや、そうだった。服を着てないモンスターはお腹のなかだった。


「えーと……お金は、どうしたら……」


 口から入るのは、ちょっと……しかもその口じたい、すでに胴体とひっついてないし。切り口から入るのは、あまりにもグロい……。


 すると、ワレスさんが黙って竜の体の中心あたりを剣で切りさいた。それから乱暴に編みあげのブーツをはいた足で何度も蹴った。


 ビュッと何かがドラゴンの体内から押しだされてくる。

 うーん、お金儲けがどんどんハードになってくる。


 血まみれの五千円札!

 使えない。

 あとで洗ってアイロンかけなくちゃ。


 と思って、よくよく見たら、それは見なれた五千円札ではなかった。見たことのない金色の硬貨だ。まんなかに5千って書かれて、表には誰かわからないけど女の人の横顔が浮き彫りになっている。そっか。この世界には紙幣はないのか。たしかに、モンスターからいちいち、この方法で取得した紙幣を洗ってたら、すぐにやぶれてしまう。


「これが……五千円」

「そうですよ。かーくんさん、見たことないの?」

「すいませんねぇ。貧乏人なもので」

「ふうん」


 王子様にはわからない悩みか。


 僕は五千円硬貨を、ありがたく財布にしまいこんだ。

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