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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
十五章 やっと再会
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クピピコたちとお別れ?



「こんなにたくさん買ってくださるお客さまが来てくださったのは、ほんとに久しぶりだこと。貿易商の血が湧きましたわ。これからは少しずつ入荷商品を増やしていきますわね。またいらしてくださいませ」


 今度こそ、僕らはポルッカさんの屋敷を去ることになった。

 ところがだ。

 さあ、玄関扉をあけて出ていこうというときになって、三村くんが言いだす。


「おれ、ちょっとのあいだ、ここに残ってもええかな?」

「えっ? なんで?」

「ポルッカさんと商談があんねん」

「ああ。それならしかたないね」

「おまえらが旅に出るときにはいっしょに行ったるさかい、迎えに来てや」

「ふうん。わかった」


 三村くんは一時離脱だ。

 まあ、しょうがないよね。

 三村くんは本職が商人だし。


「じゃあ、僕らだけで、さきにボイクド城へ行こうか。まだ城下町のシルバースターも歩いてないし」


 僕は言ったんだけど、蘭さんも考えこむ。


「ちょっと待ってください。その前に一度、マーダー神殿へ行きませんか?」

「えっ? なんで?」


 スズランがいるから転職はいつでもできるはずと思ったけど、蘭さんが行きたがるのは別の理由からだった。


「クッピピとピコピラーは戦士だからいいんだけど、ピコッピは早く村に帰りたいと言ってるので、コビット村に送りとどけてあげたいんですよ」


 ああ。そうだった。僕ら、その子を助けるためにキャラバンを追っていったんだもんね。


「コビット族の村長の娘だね」

「そうです。コビット村にも魔法で飛べるなら、ちょくせつ送っていくんですが、前にアイテムを使おうとしたとき、行けなかったので」


 僕は旅人の帽子をかざしてみたけど、蘭さんの言うとおり、コビット村には魔法ではいけない。マーダー神殿が一番近い移動魔法の拠点だ。


「いいよ。じゃあ、マーダー神殿へ行って、虹の谷のコビット村まで移動しようか。で、帰りはちょくせつ、シルバースターへ魔法で飛ぶ」

「そうしましょう」


 ダンジョンじゃなくなったから、ポルッカランドのなかは、どこからでも移動魔法が使えた。ピュンと飛んで、馬車ごとマーダー神殿まで移動する。

 神殿の前まで来ると、スズランが嬉しそうに言った。


「お兄さま。わたし、少しの時間、お師匠さまと話していてもいいですか?」

「ああ。いいよ。帰りにまた寄るから」


 ああ、スズランさん……仲よくなる機会がない!


「僕、ついでに帰りにマーダー神殿で転職しとこう。もう商人はマスターしたしさ」

「わも魔法使いはマスターしたよ。次は何がいいかなぁ?」

「アンドーくんは魔法使いを活かせるような職がよくない?」

「そげだねぇ」


 虹の谷は一回、攻略したところだ。経路もわかってるし、出てくるモンスターが今の僕らにとっては、てんで弱い。つまみ食いなんかしながら、気楽にコビット村についた。


「ピコッピ! クピー!」

「ピコッピ」

「ピコッピ!」

「ピーコクピコピ」

「コピコピ。クピコー」


 なにやらコビット語で感動の再会を果たす小さい人たち。


 僕は彼らにまざるクピピコをながめた。

 クピピコには、いろいろ助けてもらったからなぁ。

 ちょっとさみしいけど、村長の娘を見つけてつれ帰るっていう彼らの目的は、これで果たした。村に残るつもりかもしれない。


「コピピー。コピクピピ。ピコピコ」

「ピコピコ」


 しきりに頭をさげる村長と村長の娘。

 よかった。よかった。

 これでコビット村はもう安心かな。


「じゃあね。クピピコ。元気でね。いっしょに旅ができて楽しかったよ」


 僕は言ったんだけど——


「コピ。クピピコ、ピクコピー」


 クピピコは走ってきて、ぽよちゃんの頭にとびのった。コビット王の剣をかかげてクピクピ話している。


「いっしょに行くって言ってるみたいですね」と、蘭さん。


 ピコピラーとクッピピもあわてて、やってきた。

 三人は僕らの旅についてくるようだ。

 コビット語はわからないけど、彼らも大事な旅の仲間だ。

 いっしょに行けるのは、やっぱり嬉しい。

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