ポルッカ戦!6
二重らせんを描くまばゆい光がやんだとき、敵は一瞬で一掃されていた。
バジリスク隊長ABも、四体のケロよんも目をまわして倒れている。
ポルッカさんだけが白目をむきながら立っていた。
まだ倒れないんだ。
やけに強いな。
この人、ほんとにただの老婆なのか?
「あと少しですね。もう倒せますよ」
「そうだね」
僕らが剣をかまえなおしたときだ。
マルッカとムルッカがとびだした。
「ママー!」
「ママをいじめないで?」
うっ。いじめてるわけじゃないんだけどな。
痛い。子どもの涙目は痛い。
どうしようかと戸惑っていたときだ。
ポルッカさんが白目をむいたまま、笑いだした。
「ハハハーッ! きさまが勇者か! この子どもの命が惜しければ、おとなしく私めに殺されるがよい!」
おかしい。
コイツ、ポルッカさんじゃないぞ。
口調もさっきと変わったし、声が違う。
「悪のヤドリギだ!」
僕は気づいた。
ポルッカさんの喉のところがモコモコしてる。
ヤドリギのカケラだ!
ポルッカさんが失神してるから、あいつがポルッカさんの体をあやつってるんだ。
ヤドリギに支配されたポルッカさんは、ムルッカをつかんで、どっかからとりだしてきたナイフを喉元につきつけた。
ひ、卑怯な……。
ポルッカさんだって、ほんとはそんなことしたくないんだよ?
きっと心のなかでは泣いてるんだ。
蘭さんは歯ぎしりしている。
誰も動けない。
一歩でも動いたら、ムルッカが切りさかれてしまう。
でも、そのとき、僕はふと思いついた。
そうだ。あの技は残りHPが少ないほど高い確率で発動するんだよな。
僕がチラリと横目で見ると、アンドーくんはうなずいた。
アンドーくんの姿が、ふつっと消える。
「ハハハハーッ! さあ、勇者、観念するがいい! 私めが成敗してくれますよ?」
高笑いしてるけど、見えてないんだな。
もしかして白目むいてるから?
いやいや、でも僕らのことは見えてるみたいだからな。白目でも見えるんだ。
「ハハハハハーッ! さすがに勇者でも手出しできぬみたいよのぉ。ほほほ。おまえを殺して手柄にしてくれるわ!」
どうでもいいけど、えらく長広舌。
よくしゃべるなぁ。
あんまりいい気なって、そんなにひっぱってると、どんなめにあうかわかんないよ?
「ハハハ! ハハハハハハハハーッ!」
えい。ポコリ!
とつぜん、ポルッカさんは倒れた。
ポワーっとポルッカさんの口から、ヤドリギのカケラがとびだしてくる。
アンドーくん、隠れ身発動中!
やったね!