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東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
十四章 消えた勇者
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ポルッカ屋敷(二階大広間)



 僕らは急いで、野生の男の子が走っていったほうへ向かった。

 二階はカギのかかった部屋が多くて、ほとんどなかも見られない。さきを急ぐしかなかった。


「どこ行ったのかなぁ? このへんに行った気がしたんだけどなぁ」


 ろうかの奥にほかの部屋とは明らかに違う大きな両扉の部屋があった。

 なかでハデな音楽がかかってる。

 この場にそぐわないなぁ。

 怪しい。あまりにも怪しい。

 きっと、あそこだ。

 あそこに何かがいる。


 こっちは馬車なんで、ガラガラ車輪の音がするんだけど、にぎやかな音楽のおかげでかきけされてる。

 近づいていくと、僕、三村くん、アンドーくん、クルウの男ばっかり四人で扉を両側からあける。


 音楽がいっそう大きく流れてきた。

 すきまから、なかをのぞくと、なんと!


 ある意味、想像を絶するものを見た。

 いったい、誰がそれを予期しただろうか?

 だって、女の人たちがさらわれて、勇者がさらわれて、屋敷は魔王軍に占拠されてて、何かしら不吉なことが起こってるんだと予想するじゃないか。


 ところが広間のなかではステージが組まれて、今まさにファッションショーが開催されてる!

 ファッションショーっていうより、ミスコンかな?

 お姫様のドレスを着せられて、ステージでヒラヒラクルクルしてるのは、蘭さんだ。

 そのまわりで大勢の女の子たちが、さかんに拍手してキャーキャー言ってる。


 うーん? 心配することなかったのかな? けっこう楽しそう。


 しかーし! そのとき、急にふんいきが変わった。


「男だ……男の匂いがする。この美しいものだけを置いたあたしの屋敷のなかに不浄な匂いがする! みんな、つまみだしておしまい!」


 あっ、僕たちのこと?

 ヒドイなぁ。

 ちゃんと毎晩、宿屋でお風呂入ってるよぉー。

 と思ったら、違った。

 男の子だ。七、八さいくらいの人間の男の子が、ステージの真ん前にすわった女の人にとびついている。

 オーバーオール着て、ブラウンの髪の……麦わら帽子……。

 んん? これは、アレだよね?


「ママ! ぼくだよ。ムルッカだよ。なんでわからないの? 前の優しいママに戻ってよぉー!」


 あっ、しまった。マルッカが走っていく。


「お兄ちゃん!」

「マルッカ」


 だが、ポルッカさんは冷たい目で二人を見る。小さくて丸顔のおばあちゃんだけど、目がつりあがって、なんか怖い。


 僕は以前、出会ったころのアンドーくんを思いだした。ヤドリギのカケラにあやつられていたころのアンドーくん。なんだか、あのときのような気配が漂ってる。

 もしかして、ポルッカさんは悪のヤドリギにあやつられてるんじゃ?

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