表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東堂兄弟の冒険録〜悪のヤドリギ編〜  作者: 涼森巳王(東堂薫)
十四章 消えた勇者
214/377

クマの事情



 野生の男の子。

 もちろん、これも人形だ。

 ブラウンの髪でオーバーオールを着ている。むぎわら帽子かぶってね。

 さっきの消えた女の子と対になってるようだ。


 子グマちゃんのほうは、今度はレモンイエロー。リボンはオレンジ。柑橘系な香りのするテディベア。


 またもや、クマりんがとびだしてきた。

 ああ……またナワバリ争いが始まってしまうのか。


 聞き耳をしてもらうまでもない。

 二体しかいないし、すぐに倒してしまおう。


 ところがだ。

 戦闘直後に男の子が消えた。

 よく見ると、ろうかの奥にむかってスターッと逃げていく。


「あっ、逃げた!」


 しかも、そのすきに、クマりんが仲間を呼んだ。

 ん? 違うぞ。いきなり、テディーキングがやってきた。水色のテディーキングだ。


「あれ? これって、さっきの水色の子? なんでキングで出てくるわけ?」

「変やなぁ。クマりんと合体したわけでもないのになぁ」


 おかしい。

 僕はもう一度、よくよくテディベアたちのステータスを見なおした。

 水色の子はやっぱり見れない。

 でも、クマりんの得意技を見て気づいたことがある。


「あれっ? 仲間を呼ぶのランクが上がってるね。ランク1は子グマ呼び。ランク2はパパ呼び。ランク3はまだ使えないけど……パパって、もしかして?」


 僕がつぶやくのを聞いて、クルウがクスクス笑う。


「かーくんさん。よくご覧になってください。水色も黄色も《《子グマちゃん》》ではありませんよ」


 ん? どれどれ?

 あっ、ほんとだ!

 子グマちゃんじゃない。

 クマちゃんだ。

 そう言えば今さらだけど、水色の子はクマりんより身長も少しだけ高いし、全身はひとまわり大きい……ような気がする。


 そうか。パパなのかっ!

 水色の子はクマりんのパパ!

 じゃあ、何?

 さっきの壮絶なバトルは反抗期!


「ということは、黄色いクマちゃんは、もしかして……ママ?」


 パパの次はママか。

 クマりん、ママ活中!

 勝たないとママになってくれないとは、テディベアの世界って、思ったよりシビアだ。


「ママ! ママだよね!」

「えっ? どなたですか?」

「クマりんだよ。ママ、どこ行ってたの? 会いたかったよ!」

「えっ? どなた……」

「ママ! クマりんのこと忘れちゃったの?」

「えっと、あの……」

「ママのバカー!」

「イタっ。イタタ! く……クマりん、ね?」

「ママー!」

「えっと、その、うん。まあ……」


 そんな会話が聞こえてくるかのようだ。

 クマりんは勝った。

 今回は楽勝だ。

 なにしろ、テディーキング二体がかりで、あばれるからのボディープレスに、がおーだし。


 黄色いクマも無事、クマりんのママになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ